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*[[所有権]]の変動時期について、段階的物権変動説を採用している。
段階的物権変動説とはそれ以前、からねてより大きな争いがあった物権(特に所有権)の移転時期について、法理論上特定の時期に決める必要はなく、明確に決めることはできない、取引慣習や当事者の意思により決めればよいため、そして結果として物権は段階的に移転することとなる、とする理論である。例えば、売買の場合、売買契約書を交わした時点で契約から発生した買主の権利義務により所有権の一部が買主に移転したと考えることもできるし、登記以外の公示によって外部には所有権の移転がさらに進み、登記によって所有権の移転が完璧にあった、というようなことである。問題が生じた場合にその段階に応じて物権利者を決めればよいのであって、物権の移転時期を画一的にある一点に特定することは意味がないとするのである。発想としては[[我妻榮|我妻]]説に近く、それをさらに徹底したものといえる。
この同説は実際上の取引慣習や実務を法律構成しようとするものであった。現実の売買契約においては、所有権の移転時期が契約書の約款に明記されているのが通常である。万一それが明記されていなかったなどの理由で所有権の移転時期そのものが争点となっても、最終的には、当該契約の解釈(事実認定)によって決められることになり、所有権の移転時期に関する法理論が争われることはほとんどない。鈴木はこの実際を正面から受け止め理論を構成しようとしたのである。それまでの学説が所有権の移転時期をどの一点にするかという議論を行っていたことと比して考えると、コペルニクス的転回であったといえる。
しかし同説は学界において一時期有力とながらったものの、多数の学界で説は、理論的・一義的に所有権の移転時期を決定する必要があると主張する学説が大多数であしており、この説が現在では大きな支持をは得ることはていなかったい。またなお近年、この[[内田貴]]が同説は、訴訟法分野における各種の理論との整合性においを採用して、必ずしも明らかではないものを含んでいることもいえが注目される。
*請求権競合に関しては、契約がある特定人間では、契約法が物権法を排除して適用されることを述べている。
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