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[[Image:J58 AfterburnerT.jpeg|240px|thumb|right|アフターバーナーを点火した戦闘機用ジェットエンジンJ58]]
'''アフターバーナー''' (afterburner, A/B) は、[[ジェットエンジン]]の[[排気ガス|排気]]に対してもう一度燃料([[ケロシン]])を吹きつけて燃焼させ、高推力を得る装置である
 
== 原理 ==
[[ガスタービンエンジン]]の理論空燃比は、だいたい[[空気]] : [[燃料]] = 15 : 1であり、熱効率やエンジンの小型化の面ではこの混合比で燃焼させ。しかのが最も望まいが実際は60 : 1程度薄い(リーンな)混合比で燃焼させている<ref>濃い混合比で燃焼させるということは、質量および体積当たりの発熱量が多いということであり、それだけ燃料ガスが高温となって、21世紀初頭現在の技術では高速回転による遠心力と圧縮・膨張するガス圧力に抗しながらさらに高熱に曝され続けても耐えられる強靭な[[ジェットエンジン#タービン|タービンブレード]]が融けの製造は極めて困難であほど。本来燃焼に消費するより多めに吸入した空気の一部は、ジェットエンジン内にあって高温に曝され続けるタービンブレードや燃焼室いった構成要素を冷却するために利用され実際は60 : 1程度排気筒内でも高温燃焼ガスを取り巻くように概ね外周部に沿って排気される。結果としてジェットエンジンのコア部分からの排気は冷却用空気によって希釈されるために理論空燃比に比べると薄い(リーンな)混合比で燃焼させているのと同等になる。</ref>。そのため、燃焼室とタービンを通過してきた排気には、吸気時の約75%の[[酸素]]が残っている事となる。この十分に酸素を残した高温の排気に燃料を改めて噴射点火することにより燃焼させることで[[推力]]増加を狙ったものがアフターバーナーである。
 
アフターバーナーを使用の状態にない場合と比べると、50%程度の推力向上が期待できるが、<!--二度目の燃焼を効率的に推進力に変換する機構を有していないため、-->得られる推力に比べ燃料消費が非常に大きい。例えば[[F-15 (戦闘機)|F-15]]は[[ミサイル]]などの武装を一切積まずに巡航速度で飛べば数時間は飛行可能だが、アフターバーナーを全開にし続けると15 - 20分で燃料を使い切ってしまう。
 
ガスタービンエンジンはその構造上、単独では急激な出力の増減ができないため、このように非効率的な補助装置の存在も許される。[[発電]]や[[船舶]]、[[車両]]での使用においては、[[クラッチ]]の切り離しや[[減速機|減速歯車]]の使用で対応できるため、この特性はさほど問題とならないが、[[航空機]]、特に[[戦闘機]]で空中戦を行う場合においては加速の鈍さは致命的な弱点となる。この弱点を補うためにアフターバーナーが装備されている。
 
また[[ターボファンエンジン]]の場合は、ターボジェットエンジンに比べて特性がより低速向けになってしまったため、超音速戦闘機にターボファンエンジンを搭載した場合は、音速突破においてもアフターバーナーが必須になった。一方でターボファンエンジンは排気に含まれる酸素量の割合が大きいため、アフターバーナーによる出力増大効果が大きい反面、燃料消費もさらに増大する結果となった。[[コンコルド]]のような超音速旅客機が、ターボファンエンジンでなくターボジェットエンジンとアフターバーナーの組み合わせを選んだ理由はこの点にある。しかしアフターバーナーの出力増大効果が大きい事は、出力増減幅が大きい事をも意味し、超音速戦闘機におけるターボファンエンジンの導入理由にもなっている。
 
== 構造 ==
アフターバーナー部はジェットエンジンのコア部分、つまり、圧縮機と燃焼室、膨張タービン部とエクゾーストノズル部の間に位置しており、タービンからの高温高速の排ガスをノズルまで導く経路の途中で燃焼空間を確保するために、ノズル前方に幾分長いエクゾーストパイプを備えてその内部にアフターバーナーが納められる。エクゾーストパイプ部分の冷却のために円筒部分が2重構造にされるものもある。
 
エンジン・コアのタービンからの排ガスは高速流であるためそのままではアフターバーナーの火炎は維持できない。アフターバーナーは短時間のみ使用することが前提とされるため、エンジン・コアからの排ガスに対して流路の抵抗が大きくなるのは好ましくないが、エンジン・コアの燃焼室と同様にアフターバーナー部でも流速を局所的に低下させるための複数個のフレームホルダーが設けられ、火炎を維持して燃焼が持続するようになっている。フレームホルダー上流側やフレームホルダー内に燃料ノズルが複数個開口しており、噴射された燃料が素早く涙滴状から霧状になるよう工夫されている。フレームホルダーには2箇所程度に点火プラグが備わり、アフターバーナー動作時にはアフターバーナー側の燃料噴射の直後に点火される。アフターバーナー専用の点火プラグを持たない形式も存在するが、そのようなものは特定のフレームホルダー近傍にコアからの排ガスが希釈されずに特に高温のまま直接吹き付けることでアフターバーナーの燃料を点火するように設計されており、特定の燃焼室から意図的に高温なまま排ガスが出され、それを受けるタービンブレードなども冷却が満足に行えないので耐熱強度などがいっそう強く要求されて、ブレード類の寿命がかなり短くなる<ref>見森昭編 『タービン・エンジン』 社団法人日本航空技術協会、2008年3月1日第1版第1刷発行、ISBN 9784902151329</ref>。
 
アフターバーナー使用時には排ガスの圧力と流速が不使用時に比べて大きく変わるため、推進力を最大化するためにエクゾーストノズルの形状が可変式にされることが一般的である。
 
== 装備状況 ==
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また、[[ロールス・ロイス]]社のジェットエンジンにおいては'''リヒート'''(reheater, reheat jetpipe, 再燃焼装置)、[[プラット・アンド・ホイットニー|プラット&ホイットニー]]社は'''オグメンタ'''(augmentor,(推力)増強装置)という言葉が用いられている。
 
== 出典・脚注 ==
<references/>
 
== 関連項目 ==
* [[スーパークルーズ]]
{{DEFAULTSORT:あふたはな}}
[[Category:航空機の構成要素]]