「エリザベス・ギャスケル」の版間の差分

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== 主要作品 ==
[http://www2.osk.3web.ne.jp/~daikyopb/gaskell.html#volumetop 編]短篇を問わず、すべて[http://www2.osk.3web.ne.jp/~daikyopb/zensyu/info_zensyu/gaskell_bekkangaskell.html 短編]を問わず、すべて日本語訳]がある)
*『メアリ・バートン』(''Mary Barton'', 1848)
*: 1834-40年のマンチェスタを舞台に、工場主の息子ハリー・カースンを殺害するに至った労働者ジョン・バートンの愁苦と、ハリーを捨て幼なじみのジェム・ウィルスンを選ぶ彼の娘メアリ・バートンの恋路を軸に、労働者階級の日常を克明に描いた作品。殺人犯の嫌疑をかけられたジェムを救うためにメアリが証人探しをするくだりの冒険小説なみの迫力もさることながら、注目すべきは、ジョンとエスタという二人の罪人の描写に投影された、作者の人間愛である。冷酷な工場主たちへの見せしめという大義名分も、息子を失った苦痛を切々と訴える父親の前では、何の意味も持たない―そのことを知ったジョンは、慚愧と自責の念に苛まれながら死んでいく。私生児となった娘を救うために春をひさいだエスタは、更生させようとするジェムの優しさを拒み、別れのキスをしようとするメアリを突き放して、自己の罪の重圧に泣く。そのような二人を、読者は知らず知らずのうちに赦している。