「ワンダーフォーゲル」の版間の差分

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===小史===
日本には[[第二次世界大戦]]前のドイツとの国家的友好関係とその影響の元に、[[1933年]](昭和8年)[[文部省]]内に「奨健会ワンダーフォーゲル部」が設けられ、国による健全な青少年運動として宣伝と普及が開始された。それらに触発され[[1935年]](昭和10年)に発足した[[立教大学]]ワンダーフォーゲル部が日本での最初の学生団体である。その後、戦争をまたいで高度経済成長と登山大衆化を背景として各地の大学に広く設立されるに至る。
 
===活動内容===
日本の大学のワンダーフォーゲル部の活動は、若者が集団で[[徒歩]]を基本に野外活動を行うことを除き戦前のドイツの活動との共通性は高いとはいえない。
 
一般に[[テント]]や[[調理道具]]を持参し[[山小屋]]での宿泊を避け、出来得る限り自立的なパーティ(多くは十人以内、男女混成もしくはその別は場合による)を組み、縦走登山形式の[[合宿]]を主要な活動に据える場合が多い。またはそういった活動形態を伝統的に一つのあるべき姿とする傾向があるが、その活動実態・活動フィールドは各大学各団体ごとにまちまちである。
 
あくまで一例として、比較的近場の山岳地での春~初夏にかけての繰り返して行われる新人練成合宿(1~3泊程度)といったものから始まり、[[夏休み]]の時期の夏山縦走、つまり[[日本アルプス]]や[[北海道]]の山などの国内では比較的大規模な山岳地・山脈でのだいたい1~2週間に及ぶテント連泊形式の縦走登山を行う夏合宿([[冬山]]合宿が無ければ1年で最も主要な活動)を経て、秋の中規模(2~5泊前後)な合宿(次代のリーダーを養成を兼ねている場合が多い)へと至り、冬の降雪期は[[スキー]]などを行い、春休みには無(もしくは少)雪地での中規模な合宿を行う。また、各合宿時以外は合宿に向けてのトレーニングや準備・企画といった活動が精力的に行われる。以上のような活動が典型的である。
 
しかし、伝統的に冬山登山や、[[里山]]ワンダーフォゲル(里ワン)・島ワンダーフォゲル(島ワン)と称される活動も行う団体もある。さらに近年の野外活動や[[スポーツ]]・[[レクリエーション]]の多様化にともないそれらの活動実体は非常に多岐にわたる。それはいわゆる[[体育会]]に所属してる部であるか否かやサークルかといった大学内での存立形態の多様さおいても如実に現れている。
 
====ワンダーフォーゲル部と山岳部====
活動内容において、山岳部との差異は一般的にはない。差異はむしろ歴史的・思想的背景にある。活動の類似性において山岳部(時に[[探検部]]その他のアウトドア系団体)と混同されることを避ける為、あえてその活動内容から背景思想において違いを求めると次の様に解されなくもない。ただし、以下の傾向は、全てのワンダーフォーゲル(部)に当てはまる一般的なものではない。
 
山岳部が[[ザイル]]ワーク([[ロープワーク]])といった[[登攀]]技術を要し、より困難なルート開拓といった課題のある先鋭的な登山に意義求める傾向が強いのに対し、ワンダーフォーゲルはもし目的地が決まっているならば登攀などは行わないで済むより安全なコース(自ずと既存のコースとなる)を利用し、より安全な登山の完遂に意義を求めようとする傾向が強い。その際、リーダーらは計画段階から多くの議論を重ねて最善のコースを間違いなく導こうと注力する。
 
つまり、山岳部は自ら選ぶ行為から困難を引き出し、ある部分でリスクを冒してもその目的を達せようとする。いわばスリルのともなった冒険的行為を楽しもうとする。これに対して、ワンダーフォーゲルは登山(野外活動)を行う上で生じる避けられない困難を確実にクリアしていくことを楽しもうとする。この考え方は、登山であるために生じる日常生活とは別種のリスクを最小限にコントロールしうる利点がある反面、その活動が硬直化・形骸化しやすいデメリットもある。
 
しかし、先に述べた通り[[フリークライミング|クライミング]]や[[沢登り]]、[[トレッキング]]といった各種の登山様式の多様化にともない、その活動実態は一様ではなく、一概にワンダーフォーゲル部と称するだけで山岳部や各種の[[アウトドアサークル]]との差異を求められない場合も多い。極端な場合には、同一学内で山岳部が並存するにも関わらず、山岳部をはるか凌ぐより先鋭的な登山(海外での活動を含む)を行うワンダーフォーゲル部も見受けられる。
 
また、登山合宿にともなう[[野営]]を単なる[[キャンプ]]と称するに抵抗感を持つ向きも多い。これはテントなどによる野営は、時に手段として[[ビバーク]]も辞さないとするなど、あくまで登山行為遂行の為の手段であって、それ以上の目的は少ないと考えられ、その点においてキャンプとは大きく趣を殊にすると考えられるからである。このようなストイックさ、また一部においては体育会所属であることを誇りとする傾向、などにおいて多くの山岳部などと共通する点も多い。ただし、単に野外・自然の中での活動を謳歌しようとするワンダーフォーゲル運動の原点から素直に導かれる思想と体育会的気質(思想)はある部分では相容れない。そのため一定のルールのもと他者と競う一般的な[[スポーツ]]競技とは異なる点を重視してとらえ、逆に[[体育会系]]であることをよしとしない考え方も一方には存在する。
 
====連帯と交流====
各地方に学生ワンダーフォーゲル連盟といった組織が存在するものの、その組織率は低く一部にとどまっているほか全国組織は現在存在しない。しかし、連盟組織によらない各大学各団体間の交流は単なる合同飲み会レベルから[[インカレ]](インターカレッジ)と称されたりする合同キャンプ合宿に至るまで様々に行われている
 
==高校・高専のワンダーフォーゲル==