「ミニアチュール」の版間の差分

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現存する最古のミニアチュールは[[アンブロジア版イーリアス]](3世紀ごろの、イーリアスの挿絵付き写本)から切り出された一連の彩色画である。これらの一連のミニアチュールは古代ローマの絵画と似た技法で描かれ、扱われ方も同様である。作品それぞれの質にはかなりばらつきがあるが、人物の書き方などは古典らしい情趣があり、これ以前の技巧から影響を受けているものと推測される。背景に関しては様式的な表現ではなく、[[ポンペイ]]その他ローマ時代の[[フレスコ画]]に見られるような、不完全ながらも自然に学ぼうとする古典的なスタイルがとられているようだ。
 
芸術的に見てより価値があるのは、[[ヴァチカン版ヴェルギリウス]]として知られる、5世紀ごろのヴァチカンのヴェルギリウス写本である。アンブロジアの断片よりも大きなサイズで描かれている上に保存状態もよく、よって手法や技術の検証がしやすくなっている。描写はきわめて古典的な様式であることから、ヴァチカン版ヴェルギリウスのミニアチュールはそれ以前の写本からそのまま模写したものと思われる。着色の技法についてはよく分かっていない。というより、初期の写本のミニアチュールの色遣いはどれもほとんど同じなのである。異なるシーンをひとつのページに配置する方法はこれ以前の作者が考案したと思われるが、この技法はその後のミニアチュールの伝統に大きく影響した。描き方の特徴としては、まずページ全体に背景が書き込まれた後、あきらかに上書きする形で大きな人や物が描かれ、その上に小さいディテールが書き込まれている。([[絵描きのアルゴリズム]]([[:en:painter's algorithm|en]])。)また、遠近法的な効果を高めるため、人や物は水平線上に整列しており、線より上の物は下の物に比べて小さく描かれている。
 
[[Image:ViennaDioscoridesFolio3v7Physicians.jpg|thumb|200px|[[ヴィエナ・ディオスコリデス]](6世紀前半)より、七人の医者のミニアチュール]]