「シグナル伝達兼転写活性化因子」の版間の差分

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'''シグナル伝達兼転写活性化因子'''あるいは略して'''STATタンパク質'''(すたっと-、{{lang-en-short|Signal Transducers and Activator of Transcription, Signal Transduction and Activator of Transcription, STAT}})は、細胞増殖、[[分化 (細胞)|分化]]および生存などの過程を制御する[[タンパク質]]であり、その名の通り[[シグナル伝達]]と[[転写 (生物学)|転写]]活性化の双方において働く[[分子]]である。STATは非活性化状態においては[[細胞質]]に存在するが[[JAK]](ヤーヌスキナーゼ)が活性化されることによって[[リン酸]]化を受け、[[細胞核|核]]内へ移行して目的[[遺伝子]]を活性化する[[転写因子]]として機能する。この活性化経路は'''JAK-STAT経路'''と呼ばれており、JAK-STAT経路の制御不全は[[悪性腫瘍]]形成の初期の過程などにしばしば見られ、[[血管新生]]や腫瘍の生存延長、[[免疫]]抑制などを引き起こす。
 
== STATファミリー ==
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これまでに同定されたSTATファミリーに属する分子として[[STAT1]]、[[STAT2]]、[[STAT3]]、[[STAT4]]、[[STAT5A]]、[[STAT5B]]、[[STAT6]]の7種類が存在している。これらの全ての分子はホモ二量体を形成することができる。また、STAT1/2やSTAT1/3、STAT5A/5Bなどのヘテロ二量体が存在することも知られており、いずれも[[シグナル伝達]]に関与している。STATの構造中にはDNA結合[[タンパク質ドメイン|ドメイン]]やJAKによりリン酸化された受容体との結合部位に当たる[[SH2ドメイン]]を有し、[[カルボキシル基]]末端側には保存されたチロシン残基が存在してSTAT二量体の形成に関与している。
 
サイトカイン受容体とSTATとでは数的に1対1で対応しているわけではなく、複数の[[サイトカイン]]分子が同一のSTATを活性化しうる。例えば[[IL-6]]と[[インターフェロン]]-γは共にSTAT1を活性化するが、[[生理活性]]は異なる。このことはIL-6がSTAT1以外にSTAT3をも活性化しうるためであることから説明がつき、実際にSTAT3を欠いた細胞においてはIL-6はインターフェロン-γと類似した作用を示す<ref>Costa-Pereira AP, Tininini S, Strobl B, Alonzi T, Schlaak JF, Is’harc
H, Gesualdo I, Newman SJ, Kerr IM and Poli V.(2002)"Mutational switch of
an IL-6 response to an interferon-gamma-like response."''Proc.Natl.Acad.Sci.USA.'' '''99''',8043-7. PMID 12060750</ref>。