「GNU Free Documentation License」の版間の差分

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'''GNU FDL'''は、'''GNU Free Documentation License'''の略称であり、'''GFDL'''とも表記される。日本語では'''GNUフリー文書利用許諾契約書'''と訳されることがある。[[フリーソフトウェア財団|FSF]]により[[GNUプロジェクト]]の一環として[[コピーレフト]]を実現する法的に有効なライセンスとして配布されている。主に、文書を改変する権利を共有することにより多人数で共同して創造的発展をもたらすことを目的に用いられる。
 
文書やウェブページなどについて、[[著作権者]]以外の利用者が改変、複製、頒布、商業利用することを一定の制約条件の下に許可する。これは既存の[[著作権法]]に基づいた法的に有効な[[ライセンス]][[契約]]の形をとって行われる。
 
大まかに言えば、[[GPL]]と同様に著作権者が次のような許可を与えるライセンスである。
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ただし、GPLが主に[[プログラム (コンピュータ)|コンピュータプログラム]]の配布を目的としたライセンスであるのに対し、GFDLは文書の配布を目的としており、文書に特化した複雑な条項が定められている。
 
==ライセンスの概要==
『[http://www.autopenhosting.org/gnu/fdl.ja.html GNU フリー文書利用許諾契約書]』は非公式の日本語訳であるが、日本人が GNU FDLを理解するのに役立つだろう。法的に有効性が確認されているのは英語のライセンスのみなので、適用するときは英語のライセンス文書を使うことになっており、日本語訳はあくまで参考として示すことになっている。詳細は英文の正式な文書を参照のこと。英文のライセンスの正式な文書は、この文章執筆の時点では、2002年11月に公開されたversion 1.2が最新のものである。ウィキペディア内で使用されているライセンス(version 1.1)は[[Wikipedia:Text of GNU Free Documentation License]]で見ることができる。
ここでは'''GFDL'''の概要を述べる。簡単のため必ずしも厳密でない表現も用いた。また割愛したところもある。そのため、詳細についてはオリジナルの英文や非公式日本語訳を参照する必要がある。
 
===言葉の定義===
GNUのサイト内の以下のページにおいても、ライセンスの全文が公開されている。
* 以下で'''文書'''とは、GFDLの利用許諾条件の下で配布されている著作物を表す。
* http://www.gnu.org/licenses/fdl.html
* 文書の'''改変版'''とは、その文書の複製や、その文書を元に作成された著作物を表す。
* '''透過的な複製'''とは、機械によって読みとりが可能で変更に適した形式の複製を表す。例えば[[ウィキウィキ]]や[[Hypertext Markup Language|HTML]]がそうである。
* '''非透過的な複製'''とは、機械で自動的に読みとることが難しかったり、誰もが自由に編集できるわけではない形式の複製を表す。たとえば紙に印刷した文書や商用アプリケーションの専用形式がそうである。
 
===共有の骨格===
文書が共有され自由に発展し、また共有状態が失われないためにこのような規定がある。
* GFDLの条件に従う限り、誰でも自由に文書を複製したり改変したり、有料・無料を問わず配布・貸出をして良い(第2条)。GFDLの下の複数の文書を結合してもよい。
* 改変版を配布する際にはGFDLの下に配布しなければならない(第4条)。
* もし文書の非透過的な複製を100部以上配布するならば、一緒に透過的な複製も配布するか、または誰もが自由に透過的な複製をダウンロードできるような場所を設けなければならない(第3条)。
 
===原著作者の名誉===
Aという人物がGFDLで文書を公開したとする。Bという人物がその文書を自分で書いたかのようにみせて配布したとすると、Aの「創造者としての名誉」が失われてしまう。
また、Bがその文書の'''改悪版'''を作ってそれをAが書いたかのように見せて配布したとすると、これもまたAの名誉を損ねてしまう。これを避けるために改変する際には次のような規定がある(第4条)。
* 原著作者の許可を得ない限り、''題扉''や''表紙''には元の版と見分けが付くような題名やバージョンを付けること。
* 変更を行った1人以上の人物や団体の名前を''題扉''に記載しておくこと
* ''題扉''に出版者名を記載すること。
* 文書にある全ての著作権表示を残すこと。
* 元の著作権表示の近くに、行った変更に対する適切な著作権表示をすること。
* ''履歴''と題された章に、適切な題名(バージョン)・著作者名・出版年・出版社名を付け加えること。
* ''謝辞''や''献辞''のような題の章は、その趣旨を損ねないようにすること。
* ''推薦の辞''のような題の章は削除すること(推薦者は改変版を推薦しているわけではないので)
 
==思想的背景==
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これに対して'''GNU FDL'''は、特に文書としての扱いをいろいろと指定出来るようになっている。GNU FDLはソフトウェアではなく、特にフリーソフトウェアに付属するマニュアル、例えばGNUプロジェクトの文書などをコピーレフトな共有物として扱うためにFSFにより作られたものである。
 
==ライセンスの概要原文及び日本語訳==
『[http://www.autopenhosting.org/gnu/fdl.ja.html GNU フリー文書利用許諾契約書]』は非公式の日本語訳であるが、日本人が GNU FDLを理解するのに役立つだろう。法的に有効性が確認されているのは英語のライセンスのみであり、公式の日本語訳は存在しので、使用するときは英語のライセンス文書を使うことになっており、日本語訳はあくまで参考として示すになどまっている。詳細は [http://www.gnu.org/licenses/fdl.html 英文の正式な文書] を参照のこと。英文のライセンスの正式な文書は、この文章執筆2005年10月の時点では、2002年11月に公開されたversion 1.2が最新のものである。ウィキペディア内で使用されているライセンス(version 1.1)は[[Wikipedia:Text of GNU Free Documentation License]]で見ることができる。
ここでは'''GFDL'''の概要を述べる。簡単のため必ずしも厳密でない表現も用いた。また割愛したところもある。そのため、詳細についてはオリジナルの英文や非公式日本語訳を参照する必要がある。
 
日本語訳は、2005年10月現在、バージョン1.1の訳として「[http://www.autopenhosting.org/gnu/fdl.ja.html GNU フリー文書利用許諾契約書]」が、バージョン1.2の非公式な訳として『フリーソフトウェアと自由な社会 − Richard M. Stallman エッセイ集』(ISBN 4756142818)の巻末に「GNU 自由公開文書使用許諾諸」が存在する。いずれも非公式の日本語訳であるが、日本人が GNU FDLを理解するのに役立つだろう。
===言葉の定義===
* 以下で'''文書'''とは、GFDLの利用許諾条件の下で配布されている著作物を表す。
* 文書の'''改変版'''とは、その文書の複製や、その文書を元に作成された著作物を表す。
* '''透過的な複製'''とは、機械によって読みとりが可能で変更に適した形式の複製を表す。例えば[[ウィキウィキ]]や[[Hypertext Markup Language|HTML]]がそうである。
* '''非透過的な複製'''とは、機械で自動的に読みとることが難しかったり、誰もが自由に編集できるわけではない形式の複製を表す。たとえば紙に印刷した文書や商用アプリケーションの専用形式がそうである。
 
===共有の骨格===
文書が共有され自由に発展し、また共有状態が失われないためにこのような規定がある。
* GFDLの条件に従う限り、誰でも自由に文書を複製したり改変したり、有料・無料を問わず配布・貸出をして良い(第2条)。GFDLの下の複数の文書を結合してもよい。
* 改変版を配布する際にはGFDLの下に配布しなければならない(第4条)。
* もし文書の非透過的な複製を100部以上配布するならば、一緒に透過的な複製も配布するか、または誰もが自由に透過的な複製をダウンロードできるような場所を設けなければならない(第3条)。
 
===原著作者の名誉===
Aという人物がGFDLで文書を公開したとする。Bという人物がその文書を自分で書いたかのようにみせて配布したとすると、Aの「創造者としての名誉」が失われてしまう。
また、Bがその文書の'''改悪版'''を作ってそれをAが書いたかのように見せて配布したとすると、これもまたAの名誉を損ねてしまう。これを避けるために改変する際には次のような規定がある(第4条)。
* 原著作者の許可を得ない限り、''題扉''や''表紙''には元の版と見分けが付くような題名やバージョンを付けること。
* 変更を行った1人以上の人物や団体の名前を''題扉''に記載しておくこと
* ''題扉''に出版者名を記載すること。
* 文書にある全ての著作権表示を残すこと。
* 元の著作権表示の近くに、行った変更に対する適切な著作権表示をすること。
* ''履歴''と題された章に、適切な題名(バージョン)・著作者名・出版年・出版社名を付け加えること。
* ''謝辞''や''献辞''のような題の章は、その趣旨を損ねないようにすること。
* ''推薦の辞''のような題の章は削除すること(推薦者は改変版を推薦しているわけではないので)
 
==ウィキペディア==