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=== 軍事科学の新しい問題 ===
二次大戦の末期における[[核兵器]]の開発によって軍事学では核戦略研究が重要な焦点となっていった。イギリスの軍事学者[[ベイジル・リデル=ハート|リデル・ハート]]は[[大戦略]]と[[間接アプローチ戦略]]の視座を示す『[[戦略論 (リデル=ハート)|戦略論]]』の中で大戦略の下位概念として軍事戦略を位置づけ、また武力行使においても間接アプローチを採択する意義を主張した。アメリカの[[バーナード・ブローディ (軍事戦略家)|バーナード・ブロディ]]は核兵器が開発された間もなく『絶対兵器』を発表し、今後の軍事的目標は戦争の勝利でなく抑止であると考察している。[[核戦略]]の理論構築のために[[核戦争]]に至らない程度の戦争として[[限定戦争]]という概念が[[オズグード]]により考案され、さらに[[ヘンリー・キッシンジャー|キッシンジャー]]も『[[核兵器と外交政策]]』の中で限定的な核攻撃を活用することを論じた。作戦研究・戦略分析(Operations Research/Strategic Analysis, ORSA)などの数学的な研究方法は軍事学の中心的な方法論として確立され、戦略理論、計画立案、兵站支援、教育訓練などの領域へ導入された。例えば[[ランド研究所]]の[[フォン・ノイマン]]、[[ハーマン・カーン]]、[[アルバート・ウォルステッター]]、[[トーマス・シェリング|シェリング]]はアメリカ軍事学において特に核戦略の領域で重要な研究業績を残している。しかしソビエトや社会主義国では革命戦略の成立が促され、二次大戦中に[[毛沢東]]が記した『[[遊撃戦論]]』の影響の下でキューバ革命の指導者[[チェ・ゲバラ]]による『[[ゲリラ戦争]]』、[[ヴェトナム戦争]]の指導者[[ボー・グエン・ザップ]]の『[[人民の戦争・人民の軍隊]]』が書かれた。また革命や反乱が発生する国家に対して国際連合の下で効果的に介入するために国連事務総長[[ブトロス・ブトロス=ガーリ]]は提言書『[[平和への課題]]』で[[平和維持活動]]の改革を提起している。
 
核兵器、革命、平和構築という新しい軍事問題は軍事科学の伝統的な領域にとどまらない幅広い問題を提起しているが、同時に従来の問題領域においても新しい進展が認められる。通常作戦において現代ではエアパワーの役割はさらに大きくなっている。弾道ミサイルや航空機の研究開発が進んだことによって、地球上のあらゆる地点に対して従来にない速度で打撃を加えることが可能となった。冷戦期においてレーガン政権は実用化には至らなかったものの、敵のミサイルを地上から撃墜する国家ミサイル防衛の構想を示し、ブッシュ政権では[[ミサイル防衛]]として引き続き開発されている。さらにアメリカの[[ジョン・ワーデン]]は『航空作戦』の中でステルス技術や精密誘導爆撃などの技術革新を踏まえながら新しい戦略爆撃の概念を定義している。[[情報革命]]に起因する[[軍事における革命]]についても、アメリカの[[エリオット・コーエン]]などはハイテク兵器により戦争に迅速かつ少ない犠牲で勝利する可能性を指摘している。実際に[[湾岸戦争]]ではアメリカを中心とする多国籍軍はイラク軍に対して絶対的制空権を駆使した軍事作戦を実行した。電撃戦の教義を発展させ、航空戦力と機甲部隊を組み合わせたエアランド・バトルの教義が成果を挙げた。
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