削除された内容 追加された内容
Greatlock (会話 | 投稿記録)
Greatlock (会話 | 投稿記録)
文章を部分修正
1行目:
{{出典の明記|date=2007年1月以前}}
[[ファイル:Starfire_Optical_Range_-_sodium_laser.jpg|thumb|right|300px|[[スターファイア光学実験場]]([[:en:Starfire Optical Range|en]])において調整中の[[色素レーザー]]([[:en:Dye laser|en]])。'''LIDAR'''[[レーザーガイド星]]([[:en:laser guide star|en]]) 実験のために用いられる[[色素レーザー]]を調整しているところ。レーザーの波長は[[フラウンホーファー線]]に合わされ、大気上層の[[ナトリウム層にあるナトリウム]]原子を励起させるの最適な、ナトリウムの[[フラウンホーファー線]]の波長用いら設定さてい]]
 
'''LIDAR''' (英語: ''Light Detection and Ranging''、''Laser Imaging Detection and Ranging'' 「光検出と測距」ないし「[[レーザー]]画像検出と測距」) は、光を用いた[[リモートセンシング]]技術の一つで、[[パルス]]状に発光するレーザー照射に対する[[散乱]]光を測定し、遠距離にある対象までの距離やその対象の性質を分析するものである。日本語では'''ライダー'''、'''ライダ'''とカタカナ書きされることも多い。軍事領域ではしばしば[[アクロニム]] '''LADAR''' (''Laser Detection and Ranging'') が用いられる。
 
この技法は[[レーダー]]に類似しており、レーダーの電波を光に置き換えたものである。対象までの距離は、発光後反射光を受光するまでの時間から求まる。そのため、レーザーレーダー (Laser rader) の語が用いられることもあるが、電波を用いるレーダーと混同しやすいので避けるべきである。
31行目:
#'''レーザー''' — 科学研究以外の分野では波長 600-800 [[ナノメートル|nm]] のレーザーが最も一般に用いられる。安価で大出力のものが得られるが、「目に優しく」はない(失明の可能性がある)。「目に優しい」ことは軍事利用ではしばしば必要となる。1550 nm のレーザーは「目に優しい」が、十分な出力のものを得るのが難しく、一般的ではない。航空機搭載型ライダーは一般的に 1064 nm のものを用いる。海底探査システムの中には水中透過性の高い 532 nm のレーザーを用いる場合がある。波長の他にも、発光間隔(データ収集速度を決めることになる)と発光時間(距離方向の分解能に関係する)も適当に設定しなければならない。
#'''スキャナと光学系''' — データ収集速度は、システムのデータ走査速度にも影響される。走査は二次元的に行われるが、その方法は様々である。二枚の平面鏡を振動させるもの、多角形の鏡を用いるもの、スキャナが二軸をもつものなどである。光学系の性能は、角度方向の分解と、検出できる距離の限界に影響する。反射光の分離には、穴の開いた鏡を用いる方法と[[ビームスプリッター]]を用いる方法がある。
#'''受光器と電子機器''' — 受光器にはさまざまな物質が用いられる。[[ケイ素]]と[[インジウム]][[ガリウム砒素]]を用いた[[フォトダイオード|ピンフォトダイオード]]や[[アバランシェフォトダイオード]]が一般的であるが、波長によっては[[光電子倍増]]も使われる。受光器の感度は、ライダーの他の部分の設計とうまくバランスを取らなければいけない。
#'''ポジショニングとナビゲーション''' — ライダーを可動型のプラットフォーム(航空機や人工衛星)に搭載する場合は、センサの絶対的な位置と方向を決定する装置が必要である。[[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]]と[[慣性誘導装置]]が用いられる。
 
== 応用 ==
地質学や地震学では、航空機搭載型ライダーとGPSを組み合わせ、[[断層]]や[[隆起と沈降|隆起・沈降]]に伴う[[地殻]]の変位([[:en:Tectonic uplift]]参照)を測定するのに極めて役立っている。このシステムを用いれば、地殻変動を樹木越しに測ることすらできる。[[ワシントン州|ワシントン]]の[[シアトル断層]]([[:en:Seattle Fault|en]])を発見したシステムとして有名になった。2004年の噴火によって発生した[[セント・ヘレンズ山]]の隆起の程度も、噴火前後のデータを比較することで示すことができた。
 
航空機/衛星搭載型ライダーシステムは[[氷河]]の観測にも役立っている。わずかな消長を測定することができる。[[アメリカ航空宇宙局]](NASA)の[[ICESat]]([[:en:ICESat|en]])には、この目的でライダーが搭載されている。
 
[[林業]]においてもライダーはさまざまに応用される。航空機/衛星搭載型ライダーによって、[[林冠]]の高さ、[[バイオマス]]の測定、leaf area の測定が行える。他の産業、例えばエネルギー産業、鉄道、運輸関連分野でも、手早いサーベイ法として用いられる。
53行目:
科学用途以外では、速度超過に対する交通取締(いわゆるネズミ捕り)用としてレーダーの代わりに用いられることがある。レーダー取締り機は携帯するには大型であり、特定の車両を分離して測定することがしばしば困難であるが、ライダーを用いると小型のカメラ式取締機によって、沢山走っている車両の内一台を狙い撃ちにすることができる。レーダー取締機は[[ドップラー効果]]を用いて対象の速さを直接測定するが、ライダーの場合、二点間を通過する時間から速さを計算する。
 
軍事応用を詳述するにはまだ時期尚早であるが、イメージングに関するかなりの研究が進んでいることが知られている。空間分解能が高いため、対象([[戦車]]など)の細かな特徴を捉えることができる。この軍事分野では '''LADAR''' が用いらのアクロニムで呼ばれることの方が多い。
 
[[:en:DARPA・グランド・チャレンジ|2005 DARPA Grand Challenge・グランドチャレンジ]]を制した自動運転自動車[[スタンレー]]([[:en:Stanley (vehicle)|en]])には5台の独[[Sick AG]]([[:en:Sick AG|en]])社製ライダーが搭載されており、短い距離の探査に用いられる。
 
レーザージング装置大きく二種類に分けられる。一つは走査型、もう一つは非走査型である。前者は更にレーザーの走査法によっていくつかのサブグループにわけられる。細いビームを用いる LLS (Beam-scanner, Laser Line Scanner) と扇形のビームを用いる Fan-beam scannerである。
 
走査型、非走査型を問わず、立体イメージングが可能である。非走査型の場合、いわゆる gated viewing technique を用いる。この方法はパルスレーザーと、高速にゲートするカメラを組み合わせたものである。[[スウェーデン]]、[[デンマーク]]、[[アメリカ合衆国]]、[[イギリス]]で軍事応用が研究されており、数キロメートル先の対象の立体像を10 cm 以下の誤差で描出することができる。