「イトカワ (小惑星)」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
m robot Adding: ca, es, fr, it, pl, ru |
ニュースリリース、記者会見([http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/cat4895752/index.html])をもとに加筆。 |
||
1行目:
{{現在進行}}
|-
| colspan="2" |[[Image:Itokawa.jpg|center|250px|レーダー画像を元に作られた糸川の3D画像]]
|-
! bgcolor="#ffc0c0" colspan="2" | 発見<small><sup>[http://cfa-www.harvard.edu/iau/lists/NumberedMPs.html A]</sup></small>
|-
| 発見者 || [[LINEAR]]
|-
| 発見日 || [[1998年]][[9月26日]]
|-
| 仮符号 || 1998 SF36 <small><sup>[http://cfa-www.harvard.edu/iau/MPDes.html B]</sup></small>
|-
| 分類 || [[アポロ群]],<br>[[火星横断小惑星]]
|-
! bgcolor="#ffc0c0" colspan="2" |[[軌道要素]]<small><sup>[http://asteroid.lowell.edu/ C]</sup></small><br><small>[[元期]] 2005年8月18日([[ユリウス通日|JD]] 2453600.5)</small>
|-
| [[離心率]](e) || 0.280
|-
| [[軌道長半径]](a) || 1.324 [[天文単位|AU]]
|-
| [[近日点]](q) || 0.953 AU
|-
| [[遠日点]](Q) || 1.695 AU
|-
| [[公転周期]](P) || 1.52 年
|-
| [[平均軌道速度]] || 25.37 km/s
|-
| [[軌道傾斜角]](i) || 1.622 度(deg)
|-
| [[昇交点黄経]](Ω) || 69.095 度(deg)
|-
| [[近日点引数]](ω) || 162.760 度(deg)
|-
| [[平均近点角]](M) || 294.502 度(deg)
|-
! bgcolor="#ffc0c0" colspan="2" |物理的性質
|-
| [[直径]] || 540×270×210 [[メートル|m]]
|-
| [[質量]] || ~4.8×10<small><sup>10</sup></small> [[キログラム|kg]]
|-
| [[密度]] || 2.3±0.3 [[グラム|g]]/[[立方センチメートル|cm<small><sup>3</sup></small>]]
|-
| 表面[[重力]] || 0.07 - 0.1 [[ミリメートル|mm]]/s<small><sup>2</sup></small>
|-
| [[脱出速度]] || ~0.0002 km/s
|-
| [[自転周期]] || 12.1 [[時間 (単位)|h]]
|-
| [[スペクトル]]分類 || [[S型小惑星|S型]]
|-
| [[絶対等級]](H) || 19.2
|-
| [[アルベド]] || 0.53
|-
| 平均表面[[温度]] || ~206 [[ケルビン|K]]
|}
'''糸川'''(いとかわ、25143 Itokawa)は、[[太陽系]]の[[小惑星]]であり、[[地球近傍小惑星]]のうち[[地球近傍小惑星#アポロ群|アポロ群]]に属する。[[1998年]][[9月26日]]、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]・[[ニューメキシコ州]][[ソコロ]]で[[マサチューセッツ工科大学]]リンカーン研究所・地球近傍小惑星研究チーム([[LINEAR]])により発見された。
[[日本]]の工学実験宇宙機[[はやぶさ (探査機)|はやぶさ]](MUSES-C)の探査対象となったことから、[[宇宙科学研究所]](当時)が日本のロケット開発の父・[[糸川英夫]]の名前を付けてくれるようLINEARに依頼し、[[2003年]][[8月6日]]に[[国際天文学連合]]により承認されて同協会の『小惑星会報』(MPC)で発表された。
== 観測の歴史 ==
糸川はアメリカ・[[カリフォルニア州]][[ゴールドストーン]]のゴールドストーン天文台により[[レーダー]]観測されており、細長い楕円体に近い形状をしていると推測された(画像参照)。
2005年9月に、宇宙機はやぶさが糸川近傍に到着し、可視光での撮影、近赤外線スペクトルの測定、レーザー高度計による測地、および蛍光X線の観測を行った[http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2005/1101_hayabusa.shtml]。はやぶさから送られた写真により、糸川はレーダー観測による予想よりも細長く曲がった形状であることが分かった。はやぶさは今後、ホッピングロボット「ミネルバ」による表面の観測と、小惑星表面の物質のサンプルリターンを行う予定である。
== 物理的性質 ==
糸川はそれまで一般的に考えられていた小惑星の姿とは異なり、表面は[[レゴリス]](砂礫)に覆われた部分と、岩石が露出した部分に分かれている。この違いは、表面重力の違いに応じている。また、特異な岩塊が存在し、最大のものは長さ50mに達する。これらの岩塊は、糸川にクレーターを作るような天体の衝突では生成しない大きさである。表面にはクレーターも存在するが、このような岩塊のため、サイズや数を把握することが困難となっている。
近赤外線による観測では、糸川は[[輝石]]や[[カンラン石]]に特徴的なスペクトルが得られている。一方、推定された密度は2.3g/cm<small><sup>3</sup></small>程度であり、従来考えられていたS型小惑星や、地球上の岩石の密度より小さい値となっている。これは、糸川が内部に多くの空隙を含むためと考えられている。ただし空隙というのが、岩石と岩石の隙間なのか、岩石自体が軽石のような構造になっているのかは不明である。糸川の質量中心は幾何学的な重心とよく一致しており、自転のふらつきもほとんど無いため、質量は均一に分布していると考えられる。
糸川はその特徴的な形状から、より大きな母天体が破壊されたときの破片ではないかと考えられている。一部の研究者は、二つの小惑星が合体してできたと考えている。なお、衝突によって糸川表面が融解したような形跡は観測されていない。
== 軌道の特徴 ==
糸川の軌道は、典型的な地球近傍小惑星の軌道進化の途上にある物である可能性が高いと考えられている[http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2005/1026.shtml]。
糸川は現在、地球と火星の軌道を横切るように公転している。そのためこれらの惑星の重力により、軌道はカオス的で不安定となっている。
過去には小惑星帯の内縁部に存在し、火星か木星の重力による影響を受けて現在の軌道に移ったものと考えられている。その後、少なくとも現在より5000年前からは、現在と同じような軌道を取っていた可能性が高い。
また将来的には、1億年のうちに太陽か、水星、金星、地球、火星のうちいずれかに衝突して消滅するだろうと考えられている。ちなみに、地球に衝突する確率は100万年に1度程度である。
== 主な地名 ==
現在、JAXAでは糸川に確認された3つの地形に『内之浦』、『ミューゼスの海』、『ウーメラ砂漠』という地名をつけることを提案している[http://www.hayabusa.isas.jaxa.jp/j/index.html]。
==外部リンク==
*[http://neo.jpl.nasa.gov/cgi-bin/db_shm?sstr=25143 糸川の軌道(英語)]
*[http://echo.jpl.nasa.gov/~ostro/itokawa.html Radar Observations of Asteroid 25143 Itokawa (1998 SF36)]
*[http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/hayabusa/relate.shtml はやぶさ関連記事(JAXA)]
[[Category:小惑星|いとかわ]]
|