「専制政治」の版間の差分

専制政治と独裁政治は混同される事が多いが、実際には明確な違いがある。上記の通り「身分的支配層が被治者と無関係に営む統治」が専制政治である。それに対して独裁政治は、国民の大多数の支持によって権力を付与された独裁者による政治であり、つまり統治者と被統治者が密接につながっているのである。もっとも国民の支持が得られず、弾圧に走る独裁者も存在するが、そういった独裁者による弾圧的行為もある意味、統治者と被統治者が密接につながっている証左であ事によって生じる。

そうした専制政治の理想の典型例が、古代中国の伝説の帝王・[[堯]]の「鼓腹撃壌」の逸話である。老百姓が「帝の力がなんであろう。居ても居なくてもおなじことさ。」と楽しげに歌っているのを見て、堯は天下が平和に治まっている事を悟ったとされる。専制政治においては、国民が専制君主を熱狂的に支持する事も望ましい事ではなく、専制君主とも無関係であると認識するのが理想だという事である。堯の逸話は伝説であるが、[[秦]]の[[商鞅]]が国政改革を行った際に、改革を批判された場合に留まらず、民衆が改革を支持した場合にすらこれを弾圧したという逸話がある。つまり独裁者による弾圧と違い、統治者と被統治者の分離を徹底させるものである。これは国民が政治に対して、どんな形であろうとも関るべきではないという専制政治の真髄を表したものと言える。