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== ドイツの取締役会 ==
[[ドイツ]]の[[株式会社 (ドイツ)|株式会社 (AG)]]では、取締役会({{lang-de-short|Verwaltungsrat}})の役割と権限を[[#ドイツの監査役会|監査役会 {{lang|de|(Aufsichtsrat)}} ]]と[[#ドイツの執行役会|執行役会 {{lang|de|(Vorstand)}} ]]の二つの機関に分かち、人的にも[[監査役#ドイツの監査役会構成員|監査役会構成員 {{lang|de|(Aufsichtsratsmitglied)}} ]]と[[#ドイツの執行役会構成員|執行役会構成員 {{lang|de|(Vorstandsmitglied)}} ]]の兼任を禁じて、監査役会が執行役会を監督するという二層型取締役会が採用されている。
この制度は普通ドイツ商法典([[1861年]]制定)によって導入され、[[1870年]]に株式会社の必要的機関構成とされた。
また、ドイツの会社には従業員の代表を監査役会構成員に含める制度があり、500人超の従業員を有する株式会社 (AG) では株主総会で選任される監査役会構成員とは別に、従業員代表の監査役会構成員が選任される。
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==== ドイツの監査役会構成員 ====
株式法第95条に従い、ドイツの会社の監査役会構成員({{lang-de-short|AufsichtsratsmitgliedMitglied des Aufsichtsrats}})、すなわち監査役会構成員({{lang-de-short|Mitglied des AufsichtsratsAufsichtsratsmitglied}})の員数3名以上(3の整数倍、監査役({{lang-de-short|Aufsichtsrat}}; 監査役会と同語とも呼ばれるが基礎資額により、最大限21名までである。[[株式会社 (日本)|株式会社]]の[[監査役会構成員#日本|監査役]]と株主総会で選任され大きく異なる。
ただし、一般に従業員数が500人を超える会社では、監査役会構成員の3分の1は従業員の直接選挙によって選任される。
 
詳細は''[[監査役#ドイツ]]''を参照。
さらに、一般に従業員数が2,000人を超える会社では、[[1976年]][[5月4日]]産業共同決定法 {{lang|de|(Mitbestimmungsgesetz)}}(以下「共同決定法」という)が適用されるので、下記の構成になる。
*一般に従業員数が10,000人以下の会社の場合は、監査役会構成員の員数は12名である。その内訳は、株主の代表6名及び従業員の代表6名(そのうち4名は会社の従業員とし、2名は労働組合の代表)である。ただし、定款で員数を16名又は20名(株主の代表と従業員の代表を同数とする)と規定することができる。
*一般に従業員数が10,000人超20,000人以下の会社の場合は、監査役会構成員の員数は16名である。その内訳は、株主の代表8名及び従業員の代表8名(そのうち6名は会社の従業員とし、2名は労働組合の代表)である。ただし、定款で員数を20名と規定することができる。
*一般に従業員数が20,000人を超える会社の場合は、監査役会構成員の員数は20名である。その内訳は、株主の代表10名及び従業員の代表10名(そのうち7名は会社の従業員とし、3名は労働組合の代表)である。
 
監査役会構成員の任期は、当該監査役会構成員の就任後4会計年度中の同監査役会構成員の免責につき決議する株主総会をもって終了する期間、すなわち約5年を超えることはできない。
 
株主代表であると従業員代表であるとを問わず、個々の監査役会構成員については、かかる正規の監査役会構成員とともに補欠を選任することができる。かかる補欠は、正規の監査役会構成員が任期満了前に退任した場合に監査役会構成員になる。
 
監査役会構成員の報酬は、定款又は株主総会決議により決定されなければならない。
 
==== ドイツの監査役会の運営 ====
監査役会 {{lang|de|(Aufsichtsrat)}} は、[[監査役#ドイツ|監査役会構成員 {{lang|de|(Aufsichtsratsmitglied)}} ]]の中から監査役会会長({{lang-de-short|Aufsichtsratsvorsitzender}})、すなわち監査役会の会長({{lang-de-short|Vorsitzender des Aufsichtsrats}})1名及び1名以上の副会長({{lang-de-short|Stellvertretender Vorsitzender}})を選任しなければならない。一般に会長は株主代表の監査役会構成員から選任される、大きな会社では副会長は従業員代表の監査役会構成員から選任することが多い。
 
法律に別段の定めがない限り、決議の定足数は、全監査役会構成員の半数以上である(共同決定法第28条)。他の監査役会構成員が代理して投票することも当該決議への参加とみなされる。別段の定めがない限り、決議には投票数の過半数が必要である。可否同数の場合は再度の投票を行うことができるが、この場合も可否同数であれば監査役会会長が決定権を有する。監査役会副会長には、かかる決定権はない(共同決定法第29条)。
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==== ドイツの執行役会構成員の選任 ====
共同決定法第31条に従い、[[#ドイツの執行役会構成員|執行役会構成員 {{lang|de|(Vorstandsmitglied)}} ]]の選任における監査役会 {{lang|de|(Aufsichtsrat)}} の決議には3分の2の多数を必要とする。かかる多数が得られない場合、[[監査役#ドイツ|監査役会構成員 {{lang|de|(Aufsichtsratsmitglied)}} ]]4名から成る専門委員会は、1か月以内にかかる選任の提案をしなければならない。その後は、かかる提案が受諾されると否とにかかわらず、監査役会決議を過半数で採択することができる。可否同数となれば監査役会会長 {{lang|de|(Aufsichtsratsvorsitzender)}} が決定権を有する。
 
=== ドイツの執行役会 ===
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==== ドイツの執行役会構成員 ====
執行役会構成員({{lang-de-short|Vorstandsmitglied}})、すなわち執行役会の構成員({{lang-de-short|Mitglied des Vorstands}})の員数は1名以上(ただし、基礎資本金300万ユーロ超の会社は、定款により1名と定めない限り、2名以上)。執行役会構成員は[[自然人]]であり、かつ、完全な[[行為能力]]を有する者に限られる。また、[[監査役#ドイツの監査役会構成員|監査役会構成員 {{lang|de|(Aufsichtsratsmitglied)}} ]]は執行役会構成員を兼任することができない。
執行役会構成員は、任期を最長5年として[[#ドイツの監査役会|監査役会 {{lang|de|(Aufsichtsrat)}} ]]により選任される。再任又は任期の延長は、それぞれ最高5年を限度とする。
 
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==== フランスの取締役会の取締役 ====
フランスの会社の取締役会 (CA) は3名以上18名以内の取締役 {{lang|fr|(Administrateur)}} で構成される。ただし、吸収ないし新設合併の場合は、取締役の数は合併から3年以内であれば最大24名に増加することができる。
 
詳細は''[[役員 (会社)#アドミニストラトゥー|取締役 {{lang|fr|(Administrateur)}} ]]''を参照
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=== フランスの監査役会と執行役会 ===
[[1966年]]のフランス商法改正により、フランスの[[株式会社]] (SA) は[[#ドイツの取締役会|ドイツの二層型取締役会]]を参考にした新たな機関設計を選択できるようになった。株式会社 (SA) は株主総会で三分の二以上の決議により従来の[[#フランスの伝統的な取締役会|取締役会 (CA) ]]と[[役員 (会社)#取締役会 (CA) のプレジダン|取締役会長 (PCA)]]、及び[[役員 (会社)#取締役会 (CA) を設置する会社のディレクトゥー・ジェネラル|執行役(社長、DG)]]を設置する代わりに、[[#フランスの監査役会|監査役会 {{lang|fr|(Conseil de surveillance)}} ]]と[[#フランスの執行役会|執行役会 {{lang|fr|(Directoire)}} ]]を設置することができる。
 
*日本語表記について
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フランスの[[株式合資会社]] (SCA) では、[[1856年]]から監査役会({{lang-fr-short|Conseil de surveillance}})の設置が義務付けられている。株式合資会社 (SCA) では、[[商人 (商法)|商人]]資格を有することにより[[商行為]]を為し得る無限責任社員 {{lang|fr|(Commandités)}} と、会社の業務執行を委任された[[役員 (会社)#ジェラン|取締役 {{lang|fr|(Gérant)}} ]]による経営が行われ、監査役会は会社の業務執行を監査する。
 
フランスの[[株式会社]] (SA) では、[[1966年]]のフランス商法改正により監査役会 {{lang|fr|(Conseil de surveillance)}} が導入された。監査役会 {{lang|fr|(Conseil de surveillance)}} に関係する規定の大部分は、[[#フランスの伝統的な取締役会|取締役会 (CA) ]]に適用されるものと同様であるが、監査役会は[[#フランスの執行役会|執行役会 {{lang|fr|(Directoire)}} ]]を単に監督するのに対して取締役会 (CA) は経営機能を有する点が異なる。
[[#ドイツの監査役会|ドイツの監査役会]]と同様の機関であり、日本の[[株式会社 (日本)|株式会社]]の[[監査役会設置会社|監査役会]]とは大きく異なる。
 
===== フランスの監査役会構成員 =====
フランスの[[株式合資会社]] (SCA) では、監査役会 構成員({{lang|-fr-short|(Membre du Conseil de surveillance)}} 5名以上の株主監査役会 {{lang|fr|(CommanditairesConseil de surveillance)}} 構成され員である。
[[監査役#ドイツ|ドイツの監査役]]と同様の機関であり、日本の[[株式会社 (日本)|株式会社]]の[[監査役#日本|監査役]]とは大きく異なる。
なお、[[監査員 (会社)#コミッセール・オ・コフラスの会計監査役|会計監査役 {{lang|fr|(Commissaire aux comptes)}} ]]は[[#フランスの伝統的な取締役会|取締役会 (CA) ]]や監査役会に出席するが監査役会構成員とは別の役員である。
 
詳細は[[監査役#フランスの監査役会構成員]]を参照。
フランスの株式会社 (SA) では、監査役会 {{lang|fr|(Conseil de surveillance)}} は3名以上18名以内(吸収ないし新設合併の場合は合併から3年以内は24名以内)の監査役会構成員({{lang-fr-short|Membre du Conseil de surveillance}})から構成され、任期は最長6年(非上場会社の場合、定款において選任された場合は3年)で、株主総会により選任・解任される。
監査役会構成員には法人もなることができるが、法人が監査役会構成員である場合は、その法人は[[自然人]]をその常任代表者として定めなければならない。
各監査役会構成員は定款に定めがある場合に限り、会社の株式を一定数保有しなければならない。
なお、[[役員 (会社)#コミッセール・オ・コント|会計監査役 {{lang|fr|(Commissaire aux comptes)}} ]]は[[#フランスの伝統的な取締役会|取締役会 (CA) ]]や監査役会に出席するが監査役会構成員とは別の役員である。
 
==== フランスの執行役会 ====
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===== フランスの執行役会構成員 =====
執行役会 {{lang|fr|(Directoire)}} は1名以上5名以内(上場会社の場合は7名以内)の執行役会構成員({{lang-fr-short|Membre du Directoire}})からなり、その執行役会構成員は自然人であることを要し、[[#フランスの監査役会|監査役会 {{lang|fr|(Conseil de surveillance)}} ]]により選任されるが、定款で定められている場合を除き、株主である必要はない。また、[[監査役#フランスの監査役会構成員|監査役会構成員 {{lang|fr|(Membre du Conseil de surveillance)}}]]は執行役会構成員を兼任することはできない。
執行役会構成員の任期は定款に定めがなければ4年で、定めがあるときは最低2年かつ最長6年である。
執行役会構成員は、通常株主総会および定款で定められている場合において監査役会により解任される。