「衛星測位システム」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
編集の要約なし
96行目:
時系誤差に関連するものに位相Wind-Up効果がある。航法信号を乗せた搬送波は円偏波を受けており、受信側が電波の軸方向に対して回転運動をしていれば、位相がズレて受信される。
 
=== 衛星軌道へふらつき摂動 ===
人工航法衛星の多くほぼ地球重力の[[中心力]]の下で円運動を行っているが<!--ほとんど真空中を主に地球の引力に引かれて円運動を行っているが-->、月の引力や地球重力の不均一性(地表面/海底面の起伏や質量不均一性などに起因)による地球重力の中心力からのずれ<!--地球の引力の変化-->によって常にり衛星軌道は[[摂動]]をうける<!--がわずかな擾乱を受け続けている。月のような太陽系内の質量からの影響は計算によって除外できるが、地球表面の起伏等の変化による重力の影響をすべて取り除くことは難しく、起伏等に起因する重力変化を可能な範囲で近似している-->
 
月のような太陽系内の質量からの影響は計算によって除外することは容易だが、地球重力の不均一性の影響は可能な範囲で近似的に除外することができる。
<!--地球表面の起伏等の変化による重力の影響をすべて取り除くことは難しく、起伏等に起因する重力変化を可能な範囲で近似している。-->
 
=== 電離圏遅延 ===
大気の屈折率は大気中を伝播する衛星電波信号の伝播遅延を生じ、これを大気遅延(もしくは習慣上、大気圏遅延と呼んでいる。

この大気の屈折率を決める大きい要因は、大気を構成する気体中の電離電子の量:TEC(Total Electron Content、である'''総電子数'''(total electron content、TEC)であり、電離電子は主に電離圏及びプラズマ圏に存在する。電離電子に起因する伝播遅延を指して習慣上、電離圏遅延と呼んでいる。TECは太陽黒点活動、季節変化、日変化、高度と位置による変化があり、これを推定し影響を取り除くことは容易ではない。
 
日本では長年の電離層観測による「臨界プラズマ周波数値」によって、TECとの相関を利用した高い精度の補正値が得られており、他国も同様の研究を行っている。
 
=== 対流圏遅延 ===
中性大気とは大気中の電離電子を排除して考えた大気成分を言い、主に対流圏及び成層圏に存在する。この中性大気成分も屈折率を生じ、ずる。中性大気に起因する衛星電波信号の伝播遅延を指して習慣上、対流圏遅延と呼んでいる。

中性大気はさらに気体としての水(水蒸気)とそれ以外の気体成分とへ二分でき、湿潤成分及び乾燥成分と呼んでおり、対流圏遅延の90%は乾燥成分で起き10%が湿潤成分で起きる。
 
<!--対流圏<ref>衛星測位では簡略化のために、対流圏と成層圏の両方含めて「対流圏」として扱っている。</ref>がある中性大気層には、「対流圏遅延」と呼ばれる大気中での遅延が増大する現象があり、-->
推定できない屈折によって航法信号の伝播経路が延びるため誤差が生じる。対流圏屈折は15GHzまでの周波数帯に対して一様に影響を及ぼすため、衛星測位に使用される電波帯では周波数差から対流圏屈折の影響を感知することはできない。
112 ⟶ 121行目:
 
=== その他 ===
<!-- 一般相対論を勉強した人にしては言葉足らずなので誤解の虞れあり:
* 測地線の時空間曲率の影響も考慮されなければならない -->
* 受信アンテナの形状に応じてアンテナ平均位相中心が変わるため、フィールド研究のような精密な測量を行う場合には、キャリブレーションが必要になる<!--精度阻害要因の出典すべてが「GNSSのすべて」である。--><ref group="出典" name = "GNSSのすべて"/>