「取締役会」の版間の差分

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*[[株式分割]]([[b:会社法第183条|183条]]2項)
*[[株式無償割当て]]に関する事項の決定([[b:会社法第186条|186条]])
*単元株式数についての[[定款]]変更([[b:会社法第195条|195条]]1項)
*所在不明株主の株式の競売もしくは売却または買取([[b:会社法第197条|197条]])
*公開会社における新株発行とその内容の決定([[b:会社法第201条|201条]]、[[b:会社法第202条|202条]])
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=== 招集 ===
:取締役会は、各[[取締役]]が招集する。ただし、招集権者を[[定款]]又は取締役会で定めたときは、その取締役が招集する。この場合、招集権者以外の取締役は、招集権者に対し、取締役会の目的である事項を示して、取締役会の招集を請求することができる([[b:会社法第366条|366条]])。
:招集する者は一週間を下回る期間を定款で定めた場合以外は、取締役会の日の一週間前までに、各取締役及び[[監査役設置会社]]にあっては、[[監査役]]に対してその通知を発しなければならない([[b:会社法第368条|368条]]1項)。
:取締役会は、取締役及び監査役設置会社にあっては、監査役の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる(368条2項)。
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=== 決議 ===
:取締役会の決議は、議決に加わることができる[[取締役]]の過半数が出席し、その過半数をもって行うのが原則であるが、[[定款]]でこれを上回る割合を定めることができる([[b:会社法第369条|369条]]1項)。
:ただし、決議について特別の利害関係を有する取締役は取締役会の決議に参加できない(369条2項)。
:取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない(369条3項)。
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''[[役員 (会社)#米国企業のオフィサー]]も参照''
 
[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[株式会社]]は[[役員 (会社)#ディレクター|取締役 {{lang|en|(director)}} ]]によって組織される取締役会 {{lang|en|(Board of Directors)}} が[[株主]]の[[代表]]として経営する。しかし、日常業務は[[役員 (会社)#オフィサー|役員 {{lang|en|(officer)}} ]]が取り仕切る。役員はその与えられた役割に応じて[[最高経営責任者]] {{lang|en|(Chief Executive Officer; CEO)}}、[[最高執行責任者]] {{lang|en|(Chief Operating Officer; COO)}}その他の名称を付す。大株主が自ら経営する会社の場合はCEOが[[役員 (会社)#プレジデント|プレジデント {{lang|en|(President)}} ]]を兼ねる場合が多いが、上場会社においては会社の私物化を防ぐ目的で、CEOが[[役員 (会社)#チェアマン|取締役会長 {{lang|en|(Chairman of the Board of Directors)}} ]]を兼任することは本来望ましくないとされているが、実際には少なからぬ有名上場会社で会長 {{lang|en|(Chairman)}} とCEOの兼任が見られる。また取締役会の過半数は[[社外取締役]] {{lang|en|(Outside Director)}} である。
[[イギリス]]では[[役員 (会社)#最高経営責任者(CEO)|経営責任者 {{lang|en|(Chief Executive)}} ]]と取締役会長は別人であること、取締役会の過半数は社外取締役 {{lang|en|(Outside Director)}} であることが法律で義務付けられている。
 
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[[ドイツ]]の[[株式会社 (ドイツ)|株式会社 (AG)]]では、取締役会({{lang-de-short|Verwaltungsrat}})の役割と権限を[[#ドイツの監査役会|監査役会 {{lang|de|(Aufsichtsrat)}} ]]と[[#ドイツの執行役会|執行役会 {{lang|de|(Vorstand)}} ]]の二つの機関に分かち、人的にも[[監査役#ドイツ|監査役会構成員 {{lang|de|(Aufsichtsratsmitglied)}} ]]と[[#ドイツの執行役会構成員|執行役会構成員 {{lang|de|(Vorstandsmitglied)}} ]]の兼任を禁じて、監査役会が執行役会を監督するという二層型取締役会が採用されている。
この制度は普通ドイツ商法典([[1861年]]制定)によって導入され、[[1870年]]に株式会社の必要的機関構成とされた。
また、ドイツの会社には従業員の代表を監査役会構成員に含める制度があり、500人超の従業員を有する株式会社 (AG) では[[株主総会]]で選任される監査役会構成員とは別に、従業員代表の監査役会構成員が選任される。
 
なお、ドイツの[[株式合資会社]] (KGaA) では、取締役会や執行役会は設置しないが、株式会社 (AG) と同様の監査役会を設置する。
 
また、ドイツの[[有限会社 (ドイツ)|有限会社 (GmbH)]](有限責任事業者会社(UG (haftungsbeschränkt) を含む))では、取締役会や執行役会は設置せず、監査役会は必置の機関ではないが[[定款]]の定めにより設置することができる。ただし、500人超の従業員を有する有限会社 (GmbH) では、株式会社 (AG) と同様に従業員代表を監査役会構成員に含める制度が適用されるので、監査役会を設置しなければならない。
 
*日本語表記について
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=== ドイツの監査役会 ===
ドイツの会社の監査役会({{lang-de-short|Aufsichtsrat}})の役割は会社の業務執行を監査し、[[#ドイツの執行役会|執行役会 {{lang|de|(Vorstand)}} ]]に対して一般的業務について助言し、[[#ドイツの執行役会構成員|執行役会構成員 {{lang|de|(Vorstandsmitglied)}} ]]を選任・解任することである。日本の[[株式会社 (日本)|株式会社]]の[[監査役会設置会社|監査役会]]とは大きく異なる。
監査役会は、会社の財産のほか会社の帳簿及び記録を閲覧・監査することができる。また、会社の利益のために必要な場合は、[[株主総会]]を招集しなければならない。
業務執行の権能を監査役会に委譲することはできないが、[[定款]]又は監査役会は、一定の取引をするには監査役会の同意を要する旨定めなければならない。
 
==== ドイツの監査役会構成員 ====
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==== ドイツの監査役会の運営 ====
監査役会 {{lang|de|(Aufsichtsrat)}} は、[[監査役#ドイツ|監査役会構成員 {{lang|de|(Aufsichtsratsmitglied)}} ]]の中から監査役会会長({{lang-de-short|Aufsichtsratsvorsitzender}})、すなわち監査役会の会長({{lang-de-short|Vorsitzender des Aufsichtsrats}})1名及び1名以上の副会長({{lang-de-short|Stellvertretender Vorsitzender}})を選任しなければならない。一般に会長は[[株主]]代表の監査役会構成員から選任される、大きな会社では副会長は従業員代表の監査役会構成員から選任することが多い。
 
法律に別段の定めがない限り、決議の定足数は、全監査役会構成員の半数以上である(共同決定法第28条)。他の監査役会構成員が代理して投票することも当該決議への参加とみなされる。別段の定めがない限り、決議には投票数の過半数が必要である。可否同数の場合は再度の投票を行うことができるが、この場合も可否同数であれば監査役会会長が決定権を有する。監査役会副会長には、かかる決定権はない(共同決定法第29条)。
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==== ドイツの執行役会構成員 ====
執行役会構成員({{lang-de-short|Vorstandsmitglied}})、すなわち執行役会の構成員({{lang-de-short|Mitglied des Vorstands}})の員数は1名以上(ただし、基礎資本金300万ユーロ超の会社は、[[定款]]により1名と定めない限り、2名以上)。執行役会構成員は[[個人|自然人]]であり、かつ、完全な[[意思能力・行為能力|行為能力]]を有する者に限られる。また、[[監査役#ドイツ|監査役会構成員 {{lang|de|(Aufsichtsratsmitglied)}} ]]は執行役会構成員を兼任することができない。
執行役会構成員は、任期を最長5年として[[#ドイツの監査役会|監査役会 {{lang|de|(Aufsichtsrat)}} ]]により選任される。再任又は任期の延長は、それぞれ最高5年を限度とする。
 
==== ドイツの執行役会の運営 ====
執行役会 {{lang|de|(Vorstand)}} は業務規程を制定することができる。ただし、[[定款]]が[[#ドイツの監査役会|監査役会 {{lang|de|(Aufsichtsrat)}} ]]に業務規程の制定権を与えている場合、又は既に監査役会が執行役会のために業務規程を作成している場合はこの限りでない。
 
==== ドイツの執行役会の代表権 ====
執行役会 {{lang|de|(Vorstand)}} は、裁判上及び裁判外において会社を[[代表]]する。執行役会が数人から成る場合、全執行役会構成員 {{lang|de|(Vorstandsmitglied)}} が共同してのみ会社を代表する(日本の[[代表取締役#旧共同代表取締役制度|旧共同代表取締役制度]]に近い)。ただし、[[定款]]に別段の規定がある場合はこの限りでない。定款は、執行役会構成員が単独で又は委任状を有する者と共同で代表権限を有する旨定めることができる。共同代表権を有する執行役会構成員は、各自の間における職務分担を定めることができる。執行役会構成員の[[代理人]]を定めることができ、これら代理人の代表権限は第三者に対する関フランスの監査役会と執行役会係においては、正規の執行役会構成員のそれと同じである。
執行役会又は代表権限の変更は、その都度、[[商業登記]]簿に登記しなければならない。
 
== フランスの取締役会 ==
フランスの[[株式会社]] (SA) では、[[株主総会]]で三分の二以上の決議により[[#フランスの伝統的な取締役会|伝統的な単層型取締役会]]と[[#フランスの監査役会と執行役会|ドイツ式の二層型取締役会]]とのどちらかを選択できる。また、後から変更する場合も株主総会で三分の二以上の決議による。なお、どちらの機関設計を選択しても、[[定款]]の定めにより株主総会で選任される役員とは別に、従業員が直接選挙により選任する役員を取締役会 {{lang|fr|(Conseil d'administration)}} または[[#フランスの監査役会|監査役会 {{lang|fr|(Conseil de surveillance)}} ]]の構成員に含めることができるが、その員数は三分の一を超えず最大5名までである。
 
=== フランスの伝統的な取締役会 ===
伝統的な取締役会({{lang-fr-short|Conseil d'administration (CA)}})を設置する会社の場合、取締役会 (CA) は会社の業務の方向性を定めその実施を管理する。
会社の目的の範囲内で、かつ法律により明示的に[[株主総会]]に付与された権限に従い、取締役会 (CA) は会社の経営に影響を及ぼす一切の事柄を扱い、協議の上これを決定する。
取締役会 (CA) は[[役員 (会社)#取締役会 (CA) のプレジダン|取締役会長 (PCA) ]]の選任・解任、[[役員 (会社)#取締役会 (CA) を設置する会社のディレクトゥー・ジェネラル|執行役(社長、DG)]]の選任・解任、会社の代表権を取締役会長 (PCA) または執行役 (DG) のいずれに付与するかの決定等の権限を有する。
 
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==== フランスの取締役会の運営 ====
取締役会 (CA) の決議は、出席した[[役員 (会社)#アドミニストラトゥー|取締役 {{lang|fr|(Administrateur)}} ]]または委任状により代理された取締役の多数決により決せられる。
可否同数の場合は[[定款]]に別段の定めがない限り[[役員 (会社)#取締役会 (CA) のプレジダン|取締役会長 (PCA) ]]が決定権を有する。定足数は取締役の総数の半数である。
なお、国営会社とその50%以上の持分を有する子会社では従業員代表が取締役会 (CA) における協議権を有する。
 
=== フランスの監査役会と執行役会 ===
[[1966年]]のフランス商法改正により、フランスの[[株式会社]] (SA) は[[#ドイツの取締役会|ドイツの二層型取締役会]]を参考にした新たな機関設計を選択できるようになった。株式会社 (SA) は[[株主総会]]で三分の二以上の決議により従来の[[#フランスの伝統的な取締役会|取締役会 (CA) ]]と[[役員 (会社)#取締役会 (CA) のプレジダン|取締役会長 (PCA)]]、及び[[役員 (会社)#取締役会 (CA) を設置する会社のディレクトゥー・ジェネラル|執行役(社長、DG)]]を設置する代わりに、[[#フランスの監査役会|監査役会 {{lang|fr|(Conseil de surveillance)}} ]]と[[#フランスの執行役会|執行役会 {{lang|fr|(Directoire)}} ]]を設置することができる。
 
*日本語表記について
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==== フランスの執行役会 ====
執行役会({{lang-fr-short|Directoire}})の権限は広汎で、会社の目的および[[株主総会]]および[[#フランスの監査役会|監査役会 {{lang|fr|(Conseil de surveillance)}} ]]に法律上留保された決定による制約を受けるのみである。
執行役会の権限に[[定款]]で加えた制限は、会社内部では拘束力を有するが、第三者に対抗することができない。
執行役会は、四半期毎の営業報告書を監査役会に提出しなければならない。
 
===== フランスの執行役会構成員 =====
執行役会 {{lang|fr|(Directoire)}} は1名以上5名以内(上場会社の場合は7名以内)の執行役会構成員({{lang-fr-short|Membre du Directoire}})からなり、その執行役会構成員は[[個人|自然人]]であることを要し、[[#フランスの監査役会|監査役会 {{lang|fr|(Conseil de surveillance)}} ]]により選任されるが、[[定款]]で定められている場合を除き、[[株主である]]必要はない。また、[[監査役#フランスの監査役会構成員|監査役会構成員 {{lang|fr|(Membre du Conseil de surveillance)}}]]は執行役会構成員を兼任することはできない。
執行役会構成員の任期は定款に定めがなければ4年で、定めがあるときは最低2年かつ最長6年である。
執行役会構成員は、通常[[株主総会]]および定款で定められている場合において監査役会により解任される。
 
===== フランスの執行役会の運営 =====
執行役会によりなされる経営上の決定に関する規則は[[定款]]に定められる。
執行役会は合議制の経営機関である。
[[#フランスの監査役会|監査役会 {{lang|fr|(Conseil de surveillance)}} ]]は、第三者に対して会社を代表する者として、執行役会構成員1名を選定しなければならない。