「水源林」の版間の差分

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==水源涵養機能==
<!--[[File:Groundwater flow times usgs cir1139.png|thumb|森林の保水機能]]-->
森林への降雨は、[[木|樹木]]の樹冠や森林[[土壌]]などで滞留し、河川への流出量や流出時間がコントロールされる。また、一部は地下の[[地層]]や基岩へ浸透し[[地下水]]を形成する。森林自体は、水を生産する能力がない上、生理現象により水分を放出、消費するため、その機能には限界があるが、水源林として整備された森林を流域に持つ河川では、渇水時にも水量が確保されることが古くから知られている<ref>[http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/shimon-18-1.pdf 地球環境・人間生活にかかわる農業及 び森林の多面的な機能の評価について (日本学術会議答申)(PDF)]</ref>
 
==水源林の森林像==
[[ステレオタイプ]]の水源林のイメージとして、[[広葉樹]]の巨木が茂る森林が引き合いに出されることが多いが、[[森林総合研究所]]の試験林などにおける観測結果によれば、[[針葉樹]]林と広葉樹林、[[人工林]]と[[天然林]]の間では水源のかん養能力([[浸透能]])の明確な差は確認されていない。浸透能の善しあしについては立木の違いよりも、地域の気象条件や長年形成されてきた土壌の質などによる影響が大きい<ref>林地の水および土壌保全機能に関する研究(1)林試研究報告第274号1975年、森林総合研究所研究報告Vol6,No2(No.403),p116.2007年7月など</ref>。
 
==日本の水源林==
===保安林制度===
*日本では水源の上流域にあたる森林を[[森林法]]の[[保安林]]制度に基づき、伐採や開発行為の制限などが行われる'''[[水源かん養保安林]]'''に指定して保全を図っている。[[2006年]]現在、日本の森林の約45%にあたる1,142万[[ヘクタール|ha]]が水源かん養保安林に指定されている。[[人造湖|ダム湖]]の周辺山林も対象となる。保安林が風水害等で荒廃した場合には、国や都道府県により[[治山事業]]が実施される。
*後背に山地を抱える都市部では、水源の安定確保を目的に水源林の整備が行われている。[[東京都]]や[[神奈川県]]の例では、県境を越えた[[山梨県]]内のそれぞれ[[丹波山村]]、[[小菅村]]、[[甲州市]]([[多摩川]][[水系]])、[[道志村]]([[相模川]]水系)などに森林を確保して保全を行っている。
 
*[[1976年]]、[[日本水道協会]]誌で丹保憲仁が示した目安によれば、都市住民1人当たり[[飲料水]]確保のために300-500[[平方メートル|m&sup2;]]、[[下水道|下水処理]]水の希釈のために900-1,000m&sup2;の水源林が必要としている。
===水源林造成事業===
[[1961年]]、森林開発公団([[緑資源公団]]を経て現在[[森林農地整備センター]])が、山間奥地で自発的な森林整備が進まない水源林(都道府県、市町村有林を含む民有林)を対象に[[分収林]]による森林整備の制度を導入。2008年までに全国で約46万haの契約を結び水源林の整備を進めている<ref>http://www.green.go.jp/gyoumu/zorin/index.html 造林に関する業務(森林農地整備センターホームページ)</ref>。
 
===自治体の取り組み===
*後背に山地を抱える都市部では、水源の安定確保を目的に水源林の整備が行われている。[[東京都]]や[[神奈川県]]の例では、県境を越えた[[山梨県]]内のそれぞれ[[丹波山村]]、[[小菅村]]、[[甲州市]]([[多摩川]][[水系]])、[[道志村]]([[相模川]]水系)などに森林を確保して保全を行っている。必要となる森林面積については、[[1976年]]、[[日本水道協会]]誌で[[丹保憲仁]]が示した目安によれば、都市住民1人当たり[[飲料水]]確保のために300-500[[平方メートル|m&sup2;]]、[[下水道|下水処理]]水の希釈のために900-1,000m&sup2;の水源林が必要としている。
 
==関連項目==
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[[Category:森林]]
[[Category:水道]]
[[Category:土地]]
[[Category:都市問題]]
[[Category:環境問題]]