「惑星の定義」の版間の差分

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===小惑星===
[[ファイル:Giuseppe Piazzi.jpg|thumb|upright|ケレスの発見者ジュゼッペ・ピアッツィ]]
{|class="wikitable" align="right" style="font-size:small"
ハーシェルによる天王星の発見の予期せぬ結果の1つが、[[ティティウス・ボーデの法則]]が実証されたことだった。天文学者達はこの「法則」を偶然の一致で意味のないものだと考えていたが、天王星はこの法則が予測した距離と非常に近い位置に発見された。ティティウス・ボーデの法則はまた、当時何も観測されていなかった火星と木星の間の軌道にも天体が存在すると予測しており、天文学者達はこの法則を再び実証するためにその領域の観測を続けた。1801年、[[ジュゼッペ・ピアッツィ]]がまさにその場所に[[ケレス (準惑星)|ケレス]]を発見した。この天体は、新しい惑星として認められた<ref name=Hilton>{{cite web | author=Hilton, James L. | title=When did asteroids become minor planets? | work=U.S. Naval Observatory | url=http://sd-www.jhuapl.edu/weaver_projects/GPD/Contributed_Talks/hilton_gpd_poster.pdf |format=PDF| accessdate=2006-05-25}}</ref>。
|+太陽系の惑星数の変化({{仮リンク|スティーヴン・ソーター|label=ソーター|en|Steven Soter}} による)<ref name="Tyson">[[ニール・ドグラース・タイソン]] ({{interlang|en|Neil deGrasse Tyson}}) 『かくして冥王星は降格された 太陽系第9惑星をめぐる大論争の全て』2009年、邦訳: [[早川書房]] 2009年</ref>
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! 年 !! 惑星数 !! イベント
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| || ******* 7 || [[七曜]]
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| style="text-align:center" | 1543 || ****** 6 || [[太陽]]・[[月]]を除外、[[地球]]が加わる
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| style="text-align:center" | 1782 || ******* 7 || [[天王星]]発見
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| style="text-align:center" | 1801 || ******** 8 || [[ケレス (準惑星)|ケレス]]発見
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| style="text-align:center" | 1802 || ********* 9 || [[パラス (小惑星)|パラス]]発見
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| style="text-align:center" | 1804 || ********** 10 || [[ジュノー (小惑星)|ジュノー]]発見
|-
| style="text-align:center" | 1807 || *********** 11 || [[ベスタ (小惑星)|ベスタ]]発見
|-
| style="text-align:center" | 1845 || ************ 12 || [[アストラエア (小惑星)|アストラエア]]発見
|-
| style="text-align:center" | 1846 || ************* 13 || [[海王星]]発見
|-
| style="text-align:center" | 1847 || **************** 16 || [[ヘーベ (小惑星)|ヘーベ]]・[[イリス (小惑星)|イリス]]・[[フローラ (小惑星)|フローラ]]発見
|-
| style="text-align:center" | 1848 || ***************** 17 || [[メティス (小惑星)|メティス]]発見
|-
| style="text-align:center" | 1849 || ****************** 18 || [[ヒギエア (小惑星)|ヒギエア]]発見
|-
| style="text-align:center" | 1850 || ********************* 21 || [[パルテノペ (小惑星)|パルテノペ]]・[[ヴィクトリア (小惑星)|ヴィクトリア]]・[[エゲリア (小惑星)|エゲリア]]発見
|-
| style="text-align:center" | 1851 || *********************** 23 || [[イレーネ (小惑星)|イレーネ]]・[[エウノミア (小惑星)|エウノミア]]発見
|-
| style="text-align:center" | 1852 || ******** 8 || [[小惑星]]の除外
|-
| style="text-align:center" | 1930 || ********* 9 || [[冥王星]]発見
|-
| style="text-align:center" | 2006 || ******** 8 || 冥王星の除外
|}
 
ハーシェルによる天王星の発見の予期せぬ結果の1つが、[[ティティウス・ボーデの法則]]が実証されたことだった。天文学者達はこの「法則」を偶然の一致で意味のないものだと考えていたが、天王星はこの法則が予測した距離と非常に近い位置に発見された。ティティウス・ボーデの法則はまた、当時何も観測されていなかった火星と木星の間の軌道にも天体が存在すると予測しており、天文学者達はこの法則を再び実証するためにその領域の観測を続けた。[[1801年]]、[[ジュゼッペ・ピアッツィ]]がまさにその場所に[[ケレス (準惑星)|ケレス]]を発見した。この天体は、新しい惑星として認められた<ref name=Hilton>{{cite web | author=Hilton, James L. | title=When did asteroids become minor planets? | work=U.S. Naval Observatory | url=http://sd-www.jhuapl.edu/weaver_projects/GPD/Contributed_Talks/hilton_gpd_poster.pdf |format=PDF| accessdate=2006-05-25}}</ref>。
1802年、[[ハインリヒ・オルバース]]が、おおよそ太陽とケレスの間の距離と同じ軌道を公転している2つ目の「惑星」である[[パラス (小惑星)|パラス]]を発見した。2つの惑星が同じ軌道を共有できるということは、これまでの長年の考え方を覆すものであり、[[ウィリアム・シェークスピア]]でさえ、「1つの天球上で2つの星が同じ動きをすることはできない」とその考え方を冷笑した<ref>{{cite book|title=King Henry the Fourth Part One in The Globe Illustrated Shakespeare: The Complete Works Annotated|author=William Shakespeare|publisher=Granercy Books|year= 1979|page= 559}}</ref>。さらに1804年、同じような軌道に[[ジュノー (小惑星)|ジュノー]]が発見され<ref name=Hilton/>、1807年にはオルバースが同じ軌道の4つ目の天体[[ベスタ (小惑星)|ベスタ]]を発見した。
 
[[1802年]]、[[ハインリヒ・オルバース]]が、おおよそ太陽とケレスの間の距離と同じ軌道を公転している2つ目の「惑星」である[[パラス (小惑星)|パラス]]を発見した。2つの惑星が同じ軌道を共有できるということは、これまでの長年の考え方を覆すものであり、[[ウィリアム・シェークスピア]]でさえ、「1つの天球上で2つの星が同じ動きをすることはできない」とその考え方を冷笑した<ref>{{cite book|title=King Henry the Fourth Part One in The Globe Illustrated Shakespeare: The Complete Works Annotated|author=William Shakespeare|publisher=Granercy Books|year= 1979|page= 559}}</ref>。さらに1804年、同じような軌道に[[ジュノー (小惑星)|ジュノー]]が発見され<ref name=Hilton/>、1807年にはオルバースが同じ軌道の4つ目の天体[[ベスタ (小惑星)|ベスタ]]を発見した。
ハーシェルは、これらの4つの天体を「[[小惑星]]」という新しい分類に含めることを提案したが、多くの天文学者はこれらを惑星と呼び続けることを好んだ<ref name=Hilton/>。この考え方は、ほとんどの小惑星は[[星表]]に未掲載の恒星と区別することが難しいため、1845年までに発見された小惑星が4つだけであった事実により定着した<ref name=18planets>{{cite web
 
ハーシェルは、パラス発見直後の1802年には新たなカテゴリの必要性を指摘し<ref name="Tyson"/>、のちにはこれらの4つの天体を「[[小惑星]]」という新しい分類に含めることを提案したが、多くの天文学者はこれらを惑星と呼び続けることを好んだ<ref name=Hilton/>。この考え方は、ほとんどの小惑星は[[星表]]に未掲載の恒星と区別することが難しいため、1845年までに発見された小惑星が4つだけであった事実により定着した<ref name=18planets>{{cite web
|title=The Planet Hygea
|year=1849
|work=spaceweather.com
|url=http://spaceweather.com/swpod2006/13sep06/Pollock1.jpg
|accessdate=2008-06-24 }}</ref><ref name=police>{{cite journal|title=Call the Police! The story behind the discovery of the asteroids|journal=Astronomy Now|first=Keith|last= Cooper|pages=60?61|volume=21|issue=6|month=June | year=2007}}</ref>。ハーシェルの死後の1828年の科学の教科書では、まだ小惑星を惑星として数えていた<ref name=Hilton/>。星表が充実してきたことによって小惑星の探索が再開され、1845年と1847年に5番目と6番目の小惑星が[[カール・ヘンケ]]によって発見された<ref name=police />。1851年までに小惑星の数は15個までに増え、天体の名前の前に発見された順番に番号を付けるという新しい分類方法が受け入れられ、これらの天体を別の分類体系に含めるということが主流になった。例えばケレスは"(1) Ceres"、パラスは"(2) Pallas"等のように表されるようになった。

そして、1950年代には(1つの目安として1852年ともされる<ref name="Tyson"/>)これらの天体を別の分類体系に含めるということが主流になった。1860年代までに、発見された小惑星の数は100を越え、ヨーロッパやアメリカの観測所ではこれらをまとめて"minor planets"や"small planets"と呼ぶようになった<ref name=Hilton/>。この頃は、"minor planet"という用語は太陽の周りを公転する小さな天体全てを表す公式な名称となっていて、新しく発見された天体には、国際天文学連合の小惑星カタログに従った番号が付けられた<ref>{{cite web|title=The MPC Orbit (MPCORB) Database|url=http://www.cfa.harvard.edu/iau/MPCORB.html|accessdate=2007-10-15}}</ref>。
 
===冥王星===
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[[ファイル:InnerSolarSystem-en.png|thumb|内太陽系に存在する小惑星]]
この問題に関する主なポイントの1つは、「軌道上から周囲の天体を一掃する」という用語の正確な意味である。アラン・スターンは、「[[褐色矮星]]と惑星の間に上手く線を引くことは不可能だ」と言ってこれに反対し、地球、火星、木星、海王星も軌道領域から塵を完全に一掃してはおらず、国際天文学連合の定義では、適切に惑星に分類される天体は1つもないと主張した<ref>{{cite news|author=Paul Rincon|url=http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/5283956.stm| title=Pluto vote 'hijacked' in revolt|work=BBC News|year=2006|accessdate=2007-02-28 | date=2006-08-25}}</ref>。
 
しかし{{仮リンク|スティーヴン・ソーター|en|Steven Soter}}などによる定量評価によれば、(少なくとも太陽系に関する限り)惑星と準惑星の差は圧倒的であり違いは明確である<ref name="Tyson"/>。惑星の中でも小天体を比較的一層できていない[[火星]]でも、その質量の合計は火星質量に比べ微々たるものであるのに対し、準惑星の場合は自身の質量の何倍にもなる(そもそも[[エリス (準惑星)|エリス]]と[[ケレス (準惑星)|ケレス]]以外は最大ですらない)。
 
===静水圧平衡===
[[ファイル:Proteus (Voyager 2).jpg|thumb|left|海王星の衛星[[プロテウス (衛星)|プロテウス]]は、十分な質量を持つにもかかわらず、不規則な形をしている]]
定義では、惑星は自身の重力によって[[静水圧平衡]]と呼ばれる状態を形成するまで大きくなければならないと要求しているが、これは惑星の形が球体か[[回転楕円体]]でなければならないことを意味する。この程度の質量に達するまでには、天体の形は不規則になることがあるが、ある点を超えると重力が重心の向きに物質を引きつけ始め、物体は崩壊して球になる。

しかし、木星、土星やその衛星である[[ミマス (衛星)|ミマス]]、[[エンケラドゥス (衛星)|エンケラドゥス]]、[[ミランダ (衛星)|ミランダ]]や準惑星は、おそらくは過去ハウメア等巨大衝突太陽系の中で十分結果、比較的大き質量表面の凹凸を持つ大きな天体でも、速い自転による潮汐力で[[扁球]]や{{仮リンク|長球|en|Prolate spheroid}}。準惑星候補潰れているという事実があるためこの基準はもっと緩める必要激しい凹凸を持つものがあるかもしれない
 
なお、[[自転]]が速い[[土星]]や[[ハウメア (準惑星)|ハウメア]]が[[遠心力]]により比較的平らな[[扁球]]型をしているのは、静水圧平衡になっていないのではなく、静水圧平衡の結果である。
 
===二重惑星と衛星===
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[[ファイル:Moon trajectory1.png|thumb|月と地球の共軌道のダイヤグラム]]
しかし、月はそれでも惑星と呼ぶにふさわしいと主張する者もいる。1975年、[[アイザック・アシモフ]]は、月の軌道は地球の太陽の周りの軌道と歩調を合わせている(絶対空間における月の軌道は太陽に向かって凸にならない、ということ)と述べている。
 
太陽系の他の多くの衛星でも、直接太陽の周りを公転してはいないが、真の惑星と共通の特徴を持つものもある。例えば太陽系には、静水圧平衡に達する質量を持つ衛星が19個あり、物理的なパラメータだけを考えれば惑星と見なすことができる。木星の衛星の[[ガニメデ (衛星)|ガニメデ]]と土星の衛星の[[タイタン (衛星)|タイタン]]は水星よりも大きく、タイタンには地球のものよりも厚い[[大気]]まである。[[イオ (衛星)|イオ]]や[[トリトン (衛星)|トリトン]]には地質活動があり、ガニメデは[[磁場]]を持つ。恒星の回りを公転する恒星はやはり恒星と呼ばれるが、惑星の周りを公転する惑星と同じ特徴を持つ天体も惑星と呼ぶべきであると主張する天文学者もいる<ref name=Buie2005>{{cite web
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{{DEFAULTSORT:わくせいのていき}}
[[Category:惑星科学|ていき]]
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[[Category:惑星|ていき]]
[[Category:天文学史]]
[[Category:定義]]
 
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