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|英名 = [[:en:Denisova hominin|Denisova hominin]]
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'''デニソワ人'''(デニソワじん、''Denisova hominin'')は、ロシア・アルタイ地方の[[デニソワ洞窟|デニソワ(Denisova)洞窟]](ロシア、中国、モンゴルの国境に近い地域)に約4万1千年前に住んでいたとされる[[ヒト属]]の一種の個体および同種の[[ヒト属]]の[[人類]]である。
 
[[2010年]]12月現在の最新研究では、[[ネアンデルタール人]]と並んで、我々現生人類である[[ヒト|ホモ・サピエンス]] (''Homo sapiens'') に最も近い[[化石人類]]である。また現生人類の一部([[メラネシア人]])と遺伝子情報を部分的に共有する可能性が高いとしている。
 
== 概要 ==
[[2008年]]、[[ロシア]]西シベリア[[アルタイ山脈]]のデニソワ(Denisova)洞窟で子どもの骨の断片が発見され、放射線炭素の年代測定により約41,000年前のものと推定された<ref name="one">[http://en.wikipedia.org/wiki/Denisova_hominin Denisova Hominin - Wikipedia]</ref>。また、同じ場所で、大人の臼歯も発見されている<ref name="three">[http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20101224001&expand&source=gnews ナショナルジオグラフィック公式サイト - デニソワ人、現生人類と交雑の可能性]</ref>。
 
[[2010年]][[3月25日]]付のイギリスの科学雑誌『ネイチャー』([[:en:Nature (journal)|Nature]])において、[[マックス・プランク進化人類学研究所]]の研究チームは、発見された骨の[[ミトコンドリア]][[デオキシリボ核酸|DNA]]の解析結果から、デニソワ人は100万年ほど前に現生人類から分岐した未知の新系統の人類と発表した<ref>[http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2713491/5535489 AFPBB News - 人類に未発見の新系統か、4万年前のシベリアに]</ref>。
 
[[2010年]][[12月23日]]、マックス・プランク進化人類学研究所などの国際研究チームにより『ネイチャー』に論文が掲載された。見つかった骨の一部は5~7歳の少女の小指の骨であり<ref name="three">[http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20101224001&expand&source=gnews ナショナルジオグラフィック公式サイト - デニソワ人、現生人類と交雑の可能性]</ref>、[[細胞核]]DNAの解析の結果、デニソワ人は[[ネアンデルタール人]]と近縁なグループで、80万4千年前に現生人類である[[ホモ・サピエンス]]との共通祖先からネアンデルタール・デニソワ人の祖先が分岐し、64万年前にネアンデルタール人から分岐した人類であることが推定された<ref name="two">[http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101223-00000014-jij-soci 時事通信社 - 「デニソワ人」、アジアにも分布か=5万~3万年前―細胞核ゲノム解読・国際チーム]</ref>。メラネシア人のゲノムの4~6%4~6%がデニソワ人固有のものと一致することから<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20101223-OYT1T00205.htm?from=navr 読売新聞 - 現代人の祖先、別人類「デニソワ人」と交雑]</ref>、現在のメラネシア人にデニソワ人の遺伝情報の一部が伝えられている可能性が高いことが判明した<ref name="two" />。ネアンデルタール人と分岐した年数も、35万年ほど前との説も浮上している<ref name="three">[http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20101224001&expand&source=gnews ナショナルジオグラフィック公式サイト - デニソワ人、現生人類と交雑の可能性]</ref>。[[ジョージ・ワシントン大学]]の古人類学者のブライアン・リッチモンドは、デニソワ洞窟で見つかった大人の臼歯からデニソワ人は体格はネアンデルタール人と同じか、それよりも大きいとみている。<ref name="three">[http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20101224001&expand&source=gnews ナショナルジオグラフィック公式サイト - デニソワ人、現生人類と交雑の可能性]</ref>。
 
現生人類との関連などは、2010年12月現在のところ仮説を科学的に検証している段階であり、これからの発見により変更される可能性もある。デニソワ人の体格などの外形、生活様式、人口などはこれからの研究が待たれる。
 
概略のところは、4040~30~30万年前にアフリカを出、中東を経てヨーロッパに拡がった集団がネアンデルタール人に、中東を経てアジア内陸部に移動した集団がデニソワ人になった。それに遅れて6~5~5万年前にアフリカを出た我々現生人類の祖先は、中東やアジア内陸部で先住者のネアンデルタール人やデニソワ人と交雑しながら全世界に拡がり、現在に至った。ネアンデルタール人やデニソワ人はその後絶滅してしまったが、アフリカ土着の[[ネグロイド]]を除く現在の現生人類人類遺伝子のうち数%は彼ら由来である。
中東での現生人類祖先とネアンデルタール人との交雑を示す研究成果は2010年5月に発表されているが、2010年12月にアジア内陸部におけるデニソワ人とも現生人類祖先は交雑したとする研究結果が出たことから、この結果が正しければ、過去には異なる種の人類どうし同士の交雑・共存も一般的だった可能性が出てきた。
 
なお、アジア内陸部でデニソワ人と交雑した現生人類祖先は、そののち長い期間をかけてメラシアなどに南下していったと考えられる。
 
== 脚注 ==