「テクノロジーアセスメント」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
Gy20 (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
15行目:
 
こうした問題への反省から、新しいTAはより活動的で戦略的な意識を高めるようになり、これまでの伝統的TAが「番犬」であったのに対して、「猟犬」と称されるようになった。これは'''戦略的TA'''と呼ばれ、1970年代後半から発展した概念である。特定の関係者に焦点を当てることで、社会的目標やニーズを見極め、技術開発を望ましい変化へと戦略的に管理していくというものである<ref>Smits, R., Leyten, J. and Hertog, P.D. (1995) "Technology assessment and technology policy in Europe: new concepts, new goals, new infrastructures", ''Policy Sciences'' 28(3): 271-299.<br />Cronberg, T. (1996) "European TA-discourses: European TA?" ''Technological Forecasting & Social Change'' 51(1): 55-64.<br />van den Ende, J. et al. (1998) "Traditional and modern technology assessment: toward a toolkit", ''Technological Forecasting & Social Change'' 58(1-2): 5-21.</ref>。
 
さらに、1990年代に入り、原子力や遺伝子組み換えの問題を背景に欧州で議会TA機関の活動が盛んになると、一般市民による意思決定への参加や課題設定の重要性がクローズアップされるようになった。これにより'''参加型TA'''(participatory TA; pTA)が誕生し、コンセンサス会議や市民陪審などの手法もデンマークやオランダを中心に発達した。参加型TAはアセスメントの過程をより透明にし、公的議論や社会的学習を促進する目的で行われる<ref>Joss, S. and Bellucci, S. Eds. (2002) ''Participatory Technology Assessment: European Perspectives''. Centre for the Study of Democracy, University of Westminster.</ref>。日本でも1990年代末より、主にコンセンサス会議という手法に注目する形で民間や政府系機関で実施されるようになり、一般に広まった。
 
参加型TAが主に新しいTAのあり方を実践的に規定していることに対し、'''構築的TA'''(constructive TA; CTA)は概念的に規定している。ここで「構築的」とは2通りの意味合いがあるとされ、1つは技術の与える影響を予見しながら技術のあり方を構築していくことと、もう1つは技術開発とそれが適用される環境を整備していくことにより、アセスメントのあり方を構築していくという意味がある。従来のアセスメントのように分析だけではなく、介入も含めた統合的な活動ということになる。これは科学技術論(STS)と進化経済学の繊細な統合であり<ref>Green, K. (1999) "The construction of the techno-economic: networks vs. paradigms", ''Research Policy'' 28(7): 777-792.<br />Hull, R., Walsh V., Green, K. and McMeekin, A. (1999) "The techno-economic: perspectives for
analysis and intervention", ''Journal of Technology Transfer'' 24(2-3): 185-195.</ref>、振興的と規制的な政策機能を架橋するものでもある<ref>Rip, A., Misa, T.J. and Schot, J. (1995) "Constructive technology assessment: a new paradigm for managing technology in society", pp. 1-12 in ''Managing Technology in Society: The Approach of Constructive Technology Assessment''. London and New York: Pinter.<br />Stirling, A. (2006) "Precaution, foresight and sustainability: reflection and reflexivity in the governance of science and technology", pp. 225-272 in J.-P. Voß, D. Bauknecht and R. Kemp, eds., ''Sustainability and Reflexive Governance''. Cheltenham: Edward Elgar.</ref>。
 
===評価との混同===