「クラウディングアウト」の版間の差分

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[[通貨]]の[[変動相場制]]を前提とした経済においては、財政政策によって、金利上昇に伴う消費や投資の落ち込み<!--というクラウディング効果-->ではなく、通貨高による純輸出の減少という<!--[[マンデルフレミングモデル|マンデルフレミング効果]]による財政政策効果の相殺が発生する。-->形でのクラウディングアウトが発生する。公共投資を行う場合、上述のように[[金利]]を上昇させる圧力が発生するが、これは[[開放経済]]においては他国からの資金の流入を呼ぶことになる。この資金流入によって[[金利]]は一定に保たれる一方で、変動相場制では自国通貨が増価することになる(日本でいえば[[円高]]になる)。自国通貨高は[[輸出]]減と[[輸入]]増をもたらすため[[総需要]]が減少し、公共投資によって増えた内需を相殺することになる<ref>直接の引用「週刊文春2008年9月18日号P.30 自公2兆円バラマキは完全に意味がない」</ref>。このような変動相場制の下では、[[財政政策]]が一時的なショックを除き無効になる一方で[[金融政策]]の効果は高まる(→[[マンデルフレミングモデル]]参照)。なお、変動相場制の下でのクラウディングアウトにおいては、金利上昇が観察されないことに注意が必要である。すなわち、金利上昇が見られないことを以てして、財政政策は無効でなかったと言うことは出来ない。
 
[[藤井聡]]<ref>京都大学大学院工学研究科教授</ref>は、このような[[マンデルフレミングモデル|マンデルフレミング]]の効果は[[インフレ]]であることが前提となっており、[[デフレ]]下では全く通用しないとの批判を述べ、デフレ下の日本では財政政策は無効にならないという主張をしている<ref>[[日刊建設工業新聞]]コラム。[http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10744168130.html ここ]でも読める。</ref><ref>ただし一般にマンデルフレミングモデルは物価水準が一定のケインズ経済学の枠組(IS-LM分析)で説明されるものであり、中長期的な物価変動を前提としないことが通例(短期モデル)である。藤井の論については、インフレが前提であるという根拠について解説されていないので注意。物価変動を考慮したものとしてWeb上のペーパーとして神谷2007.12.6[http://web.econ.keio.ac.jp/staff/dikamiya/pdf07/macroII/1206.pdf]、南山大学2010[http://www.tyoshimi.com/teaching/nanzan/2010/macro_2/macro2_19.pdf]</ref>。[[中野剛志]]も資金需要が不足しているデフレにおいてはクラウディングアウトによる金利の大幅な上昇はありえず、自国通貨高になどならないと主張している<ref>[http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10656537835.html 内需拡大が円高を止める]</ref>(現実の[http://www.boj.or.jp/theme/research/stat/market/forex/jikko/index.htm 実効為替レート]も参照)。<!--なお、現実の[[為替レート|実質実効為替レート]]のデータを見てみると、[[橋本龍太郎|橋本]]、[[小泉純一郎|小泉]]政権の時期に[[円安]]が、[[小渕恵三|小渕]]政権の時期に[[円高]]が進行していたことが読み取れる<ref>[http://www.boj.or.jp/theme/research/stat/market/forex/jikko/index.htm [[日本銀行]]実効為替レート]</ref>。-->
 
==実際の例==