「カーボ・ローディング」の版間の差分

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'''カーボ・ローディング'''とは、[[スポーツ]]などの場面で、運動エネルギーとなる[[グリコーゲン]]を通常より多く体に貯蔵するための運動量の調節及び[[栄養]]摂取法である。
 
== 目的 ==
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例えばマラソンなどで、大会の数日前からトレーニングの強度を落とし、休息日も設けるなどして十分に体力を回復させると大会で疲れが出にくくなり、日頃とは比べ物にならないほど速く長く走れ、好成績となる場合がある。これは休息によって、日頃のトレーニングで痛んだ筋繊維が修復されるとともに、体内で枯渇気味になっていたグリコーゲンが十分に蓄積されるため、身体が本来の能力を発揮出来るようになるからである。大会前における体内のエネルギー管理を「カーボ調整」という。
 
体内での蓄積量以上にグリコーゲンを消費し枯渇した場合には、通常、1日程度では十分に回復が出来ない。グリコーゲンが十分回復するまでには数日間(3日程度)かかるので、この間は著しいパワー・持久力の不足に陥る。体内グリコーゲンの消費や貯蔵、エネルギー収支をよく理解せず、大会直前まで通常のトレーニングを行ったり、休息時間を1日しか設けないなどの誤った調整を行うと、必然的にパフォーマンスを低下させることになる。なお、カーボ・ローディングは、単に持久スポーツに対応したグリコーゲンを大量に貯蔵するのみでなく、疲労回復や身体能力の維持・向上などといったスポーツにおける身体コンデション管理の方法としてもとても有効な概念である。
 
== 摂取方法 ==
=== 古典的方法 ===
古典的な例としては、体にあるグリコーゲンを一度枯渇させ、それによってグリコーゲンを早急に回復・貯蔵する反応(リバウンド)体に起こさせた上で利用して大量の[[炭水化物]]を摂取し、通常以上の効率よくグリコーゲンを貯め込む方法である。
 
大会(試合)など運動能力を最大限に発揮したい日の1週間程度前から4日程度前まで、ごはんや麺類、パンなどの[[炭水化物]]の摂取を制限し、代わりにステーキやフライドチキンなど、[[タンパク質]]と[[脂質]]によって必要エネルギーを確保しながら、加えて無理の無い程度に運動を行い、一旦、体からグリコーゲンを消費し枯渇させる。そして、3日前からは逆に控えていた炭水化物を大量に摂取し、無駄に消費しないよう運動控えつつ最大限にエネルギーを貯め込む。
 
ただし、この方法は、3日前からの高炭水化物摂取期において、体調を崩した場合(特に[[消化器|消化器官]]の不調など)にはグリコーゲンの蓄積が目的通り出来なくなる等の[[リスク]]も大きくなる。
近年では炭水化物の制限を行わず、単に大会の3日程度前から運動を控えつつ大量の炭水化物を摂取して、グリコーゲンを蓄える方法を用いる事が多い。こちらの方が体に掛かる負担が少なく、実施も容易である。また必要な調整期間が短い為、練習量をあまり落とさずに済み、短い期間に何度も大会に出場する場合(サッカーやバドミントンのトーナメント大会など)にも調整がしやすい。
 
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単に大会前に炭水化物を多めに摂るだけでも1.1~1.2倍程度のグリコーゲン貯蔵量増大は見込めるが、カーボ・ローディングでは1.4~1.5倍程度の貯蔵が可能である。
|+ ''' 古典的なカーボ・ローディングの例 '''
|-
! 大会(試合)日を基準とした時期 || 運動量 || 食事 || 備考
|-
| 約1週間前~4日前 || やや減らす || 高タンパク質・低炭水化物 || 体内グリコーゲンを枯渇させる
|-
| 3日前 || 減らす || 高炭水化物 || リバウンド効果によりグリコーゲン蓄積
|-
| 2日前~前日 || 減らす・休む || 高炭水化物 || リバウンド効果によりグリコーゲン蓄積
|}
 
=== 現在の方法 ===
現在では炭水化物の制限を行わず、大会(試合)の約1週間前から運動を控えてグリコーゲンの消費を押さえつつ、3日前から大量の炭水化物を摂取して、グリコーゲンを体内に蓄える方法が用いられる方法が推奨されている<ref>[http://www.clubwgh.jp/carboloading2.html パスタ・カーボローディング講座・理論編(管理栄養士)]</ref>。こちらの方が体に掛かる負担が少なく、調整リスクも少ない。
 
{| class="wikitable" style="text-align:center"
|+ ''' 現在のカーボ・ローディングの例 '''
|-
! 大会(試合)日を基準とした時期 || 運動量 || 食事 || 備考
|-
| 約1週間前~4日前 || 減らす || 通常(混合食) || 体内グリコーゲンを維持
|-
| 3日前 || 減らす || 高炭水化物 || 体内グリコーゲンを蓄積
|-
| 2日前~前日 || 減らす・休む || 高炭水化物 || 体内グリコーゲンを蓄積
|}
 
単に大会(試合)前に炭水化物を多めに摂るだけでも1.1~1.2倍程度のグリコーゲン貯蔵量増大は見込めるとされるが、カーボ・ローディングでは1.4~1.5倍程度の貯蔵が可能である。いずれにせよ、大会前数日間は運動量を減らすか、休まなければ効果は見込めなない
 
== 脚注 ==
<references />
 
==関連項目==
* [[持久力]]
* [[グリコーゲン]]
* [[炭水化物]]
* [[栄養素]]
* [[スポーツ医学]]
 
== 外部リンク ==
* [http://www.clubwgh.jp/carboloading.html カーボローディング講座]
 
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