「相 (言語学)」の版間の差分

編集の要約なし
{{Otheruses|言語学の用語|その他の相|相}}
{{文法カテゴリー}}
'''相'''(そう)あるいは'''アスペクト'''(aspect)は、[[言語学]]・[[文法|文法学]]の[[用語]]で、[[述語]]が表す事象の完成度などの差異化をもたらす[[文法カテゴリー|文法形式]]である。語交替や語形変化を伴う。
 
「相」はもともと[[スラヴ語派|スラヴ語]]に見られる完了性と不完了性の対立を呼ぶ[[言葉]]であった。なお[[ロシア語]]の場合、「相」ではなく「体」を用いて「完了体」「不完了体」とするのが慣例である。以前は古典語の文法解説において voice を「相」と訳しているものが多かったが、現代では '''aspect''' を「相」と呼んで '''voice''' は[[態]]と呼ぶようになっている。
 
事象について相が表現する内容として次のようなものがある:
結果や経験を表す[[完了相]] (perfect) と、出来事を全体としてとらえる[[完結相]] (perfective) はしばしば混同されるが、実は異なるものである。<!--後者は完全相、全体相、完成相とも呼ばれる。-->
 
相は、多くの[[言語]]において[[時制]]と組み合わされた形態(現在[[進行形]]、現在[[完了形]]など)で存在するが、スラヴ語などでは[[時制]]と区別される独立のカテゴリーを形成している。[[ロジバン]]でも、アスペクトを表現する相制が間制(時間と空間のテンス)と法制([[法 (文法)|法]])に対して独立している。ただしこれらの制用法は同じ統語論原理に基づいており、自由に組み合わせられる。
 
== 日本語 ==
[[日本語]]では、
 
*[[]]が降っている・雨が降っていた(非完結相)
*雨が降る・雨が降った(完結相)
 
というように、[[助動詞 (言語学)|助動詞]]「ている」があると出来事の一部を取り出す非完結相を表し、「ている」が無いと出来事を全体としてとらえる完結相を表す。なお、「る」と「た」は[[時制]]を表す。
 
また、「雨が降っている」は、出来事が継続していることを表しているが(進行相)、「[[椅子]]に座っている」のように、「ている」が瞬間的に変化する[[動詞]]につけられた場合、変化の結果が持続していることを表している(結果相)。さらに「雨が降り始めた」(起動相)、「雨が降り止んだ」(終結相)というように複合動詞を用いることでさまざまな相を表す。
 
なお、[[共通語]]では例えば同じ「買っている」でも、「彼は今[[帽子]]を買っている」「彼は[[昨日]]この[[]]で帽子を買っている」のように進行相・完了相の両方に用いられる。しかし[[西日本方言|西日本の方言]]には、前者の進行相を「買いよる」、後者の完了相を「買うとる(買うちょる)」(つまりテの有無)などと区別することがある。
 
日本語文法では「アスペクト」を「様態」と表すことがあるが、「様態」という述語は(特に学校文法などで)狭義に用いられることがある(「そうだ」には伝聞と様態の二つの意味がある、などと書かれる)ので、注意が必要である。
 
== 日本手話 ==
日本手話においてアスペクト(相)の[[問題]]は研究途上にある。知られているところでは次のようなものが挙げられる。なお(かっこ)内の[[説明]]部分がアスペクト変化の文法的要素。続く部分が日本語訳。
 
*歩く(歩く動作を継続する)    (継続相) 「ずっと歩く」
 
== ロシア語 ==
[[ロシア語]]では、多くの動詞に関して完了体と不完了体が[[ペア]]で存在する(動詞の性格により一方しかないものもある)。
例えば、 {{lang|ru|делать}}(делать(不完了体:作る)と {{lang|ru|сделать}}(сделать(完了体:作り上げる、作ってしまう)など。完了体の現在形は(機能的には「現在」は考えられないので)実際には[[未来]]を表す。
形態としては例のように[[接頭辞]](動詞によって違う)の有無のほか、[[語幹]]の形が少し違う場合、また全く異なる形態で示される場合もある。
 
== 参考文献 ==
5,901

回編集