「胚発生」の版間の差分

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[[ファイル:HomunculusLarge.png|thumb|right|110px100px|オランダの科学者[[ニコラス・ハルトゼーカー|ハルトゼーカー]] (Nicolas Hartsoeker) が唱えた精子の姿。中にホムンクルスが入っている]]
[[ファイル:Cell differentiation.gif|400px|thumb|right|胚の細胞の分化]]
'''胚発生'''(はいはっせい)または[[生物学]]における'''発生'''(はっせい)とは、[[多細胞生物]]が[[受精卵]]([[単為生殖|単為発生]]の場合もある)から成体になるまでの過程を指す。広義には[[老化]]や[[再生 (生物学)|再生]]も含まれる。[[発生生物学]]において研究がなされる。
 
== 前成説と後成説 ==
[[ファイル:HomunculusLarge.png|thumb|right|110px|オランダの科学者[[ニコラス・ハルトゼーカー|ハルトゼーカー]] (Nicolas Hartsoeker) が唱えた精子の姿。中にホムンクルスが入っている]]
古くは、[[卵]]または[[精子]]の中に小さな人の形をしたもの(これを[[ホムンクルス]]という)があらかじめ存在し(つまり、受精卵の中に、子孫の雛形がある)、[[発生]]はホムンクルスが大きくなる過程であるという'''[[前成説]]'''が唱えられた時代があった。後の研究で、そのようなものは存在しないことが明らかとなった。他方、受精卵の中には雛形に相当するものは何もなく、次第に形ができて来るという考え方を'''[[後成説]]'''という。
 
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様々な[[無脊椎動物]]の発生過程の研究から、動物の発生には、一定の共通する型があると考えられるようになった。
 
[[file:Gray9.png |thumb|300px|[[受精]]後の[[哺乳動物]][[卵子]]の[[卵割]]の最初の段階。図表のz.p.は[[透明帯]]。p.gl.は[[:en:Polar body]]:[[極体]]。aは2細胞期。bは4細胞期。cは8細胞期。d、eは[[桑実胚]]期。]]
=== 卵割 ===
{{main|卵割}}
[[file:Gray9.png |thumb|300px|[[受精]]後の[[哺乳動物]][[卵子]]の[[卵割]]の最初の段階。図表のz.p.は[[透明帯]]。p.gl.は[[:en:Polar body]]:[[極体]]。aは2細胞期。bは4細胞期。cは8細胞期。d、eは[[桑実胚]]期。]]
多細胞動物の発生は、受精卵の細胞分裂、いわゆる[[卵割]]から始まる。卵割は同調的な分裂により、細胞数を2の級数で増やす。通常は2細胞期に左右に、4細胞期に前後に、8細胞期に腹背に分かれる。卵黄の多い卵では、このとき動物極側(卵黄が少ない)の方が細胞が小さくなる。
 
=== 胞胚期 ===
[[file:Blastulation.png |thumb|300px|[[:en:Blastulation]]:胞胚形成 、'''1''' - [[:en:Morula]]:[[桑実胚]]、'''2''' - [[:en:blastula]]:[[胞胚]]]]
=== 胞胚期 ===
ある程度細胞数が増えると、多くの場合、内部に空洞ができる。その外側は一層の細胞に覆われた形になる。この時期を[[胞胚]](ほうはい)期と呼ぶ。胞胚の内部の空洞は[[卵割腔]](らんかつこう)または、[[胞胚腔]](ほうはいこう)と呼ばれる。[[ウニ]]卵は[[胞胚期]]に[[孵化]]し、表面に繊毛を持って泳ぐ。
 
卵割腔がなく、内部まで細胞で満たされるものもある。また、[[脊椎動物]]では複数の細胞層が生じる。
 
=== [[原腸]]の形成 ===
[[Image:Gastrulation.png|thumb|300px|二[[胚葉]]動物の[[原腸]]陥入:(1)[[胞胚]]から(2)[[原腸胚]]の形成。[[外胚葉]]細胞(オレンジ)の一部は内側に移動して[[内胚葉]](赤)を形成する。]]
=== [[原腸]]の形成 ===
[[胞胚]]の表面の細胞層が内部に入り込む。これは陥入(かんにゅう)と呼ばれる。そして、一つの口を持った袋を内部に形成する。これが[[消化管]]の始まりである。この袋は[[原腸]]と呼ばれ、その出入り口は[[原口 (生物学)|原口]]と呼ばれる。この時期の胚を嚢胚(のうはい)または[[原腸胚]](げんちょうはい)とよび、その形成を[[原腸胚形成]]{{enlink|Gastrulation}}という。
 
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原腸が陥入したことで、それまで平等に並んでいた細胞が、内側と外側に分かれたことになる。そこで、外に残った細胞群を[[外胚葉]](がいはいよう)、内側に入った細胞群を[[内胚葉]](ないはいよう)と呼ぶ。外胚葉からは主に[[表皮]]と[[神経]]が、内胚葉からは[[消化管]]が形成される。刺胞動物は、このような構造をほとんどそのままに成体になるので、[[二胚葉性動物]]と言われる。
 
それ以外の動物では、外胚葉と内胚葉の隙間に細胞群が入り込み、そこで発達を始める。この細胞群を[[中胚葉]](ちゅうはいよう)とよぶ。中胚葉からは[[筋肉]]、[[血管]]系などが作られる。また、中胚葉からは[[体腔]]が作られる。これらの[[動物]]は三胚葉に分類される。
 
=== 形態形成 ===