「JR西日本キハ187系気動車」の版間の差分

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|編成出力= 1324kW (1800ps)
|駆動方式= 液体式
|変速段=2.803(1803(1)<br />1.852(2852(2)<br />1.236(3236(3)<br />0.890(4890(4)<br /> ※終減速比2.688
|台車=円錐積層ゴム式制御振子ボルスタレス台車([[蛇行動|ヨーダンパ付]])<br />WDT61(1WDT61(1軸駆動)
|ブレーキ方式= [[電気指令式ブレーキ]]<br />(応荷重装置・耐雪付)<br />[[エンジンブレーキ|機関ブレーキ]]併用
|保安装置=ATS-Sw(0・10番台)<br />ATS-Sw・ATS-P(500番台)<br />[[緊急列車停止装置|EB装置]]
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== 概要 ==
[[山陰地方|山陰地区]]において陰陽連絡[[特別急行列車|特急]]を中心に使用されてきた[[国鉄キハ181系気動車|キハ181系]]の老朽化に伴う置き換え用として、[[新潟鐵工所]](現在の[[新潟トランシス]])・[[日本車輌製造]]で製造された。[[山陰本線]]をはじめとする山陰地区の各路線は急勾配・急カーブの区間が多いことから、大出力の[[ディーゼルエンジン|エンジン]]と[[振り子式車両|振り子]]装置を搭載している。また本系列の投入にあわせて山陰本線の軌道改良工事も行われ、従来に比べて大幅な高速化を実現した。
 
気動車における振り子機構は、エンジンから[[鉄道車両の台車|台車]]への動力伝達によって生ずる反作用の問題から困難とされてきたが、2基のエンジンを対称に配置することによって問題の解決が可能となり、[[四国旅客鉄道]](JR四国)[[JR四国2000系気動車|2000系気動車]]や[[智頭急行]][[智頭急行HOT7000系気動車|HOT7000系気動車]]の登場により実用化された。本系列は、これらの機構を踏襲しており、カーブ進入時には、遠心力による自然車体傾斜に先行して機械的に車体傾斜を生じさせ、乗り心地の改善を図る「制御付自然振り子方式」を採用する。
 
走行機関には、[[小松製作所|コマツ]]製SA6D140H (450ps/2,100rpm) が1両につき2台設置され、山岳区間の走行にも適した高い加速性能を確保している。また、各車両の動力軸は、車両中央よりの2軸となっている。[[トルクコンバータ|変速機]]は変速1段・直結4段の自動切替 (DW21)
 
基本的な部品や機器は、同時期に製造された[[JR西日本223系電車|223系電車]]や[[JR西日本キハ126系気動車|キハ126系気動車]]と共通化し、製造コストとメンテナンスコストの削減を図っている。[[操縦席|運転台]]は223系電車に準拠しており、[[マスター・コントローラー|横軸ツインレバー型マスコン]]、ボタン式[[緊急列車停止装置|EB装置]]、[[DICS|TICS]](列車情報制御装置)のタッチパネル式[[鉄道車両のモニタ装置|モニタリング装置]]などを備える(なお、この気動車版TICS(TICS ([[DICS]]) は本系列とキハ126系の製造時に開発された)。制御方式も223系などの同社製の電車に準拠したものとなっており、従来の気動車でみられた「機械駆動方式」ではなく、TICSを用いた電気制御方式が採用されている。また、冷暖房装置や制御装置、補助電源などの電力は、駆動エンジンに直結した[[発電機]]で発電し供給する方式が採用されている。[[ブレーキ]]は[[エンジンブレーキ|機関ブレーキ]]併用[[電気指令式ブレーキ|電気指令式空気ブレーキ]]を採用し、雪の多い区間を走行することから耐雪ブレーキも装備されている。
 
ただし、正面が貫通式で流線型になっていないので長大トンネルでは空気抵抗(トンネル抵抗)が大きく、またトンネル突入時の正面にかかる風圧も凄まじいため、長大トンネルでは速度を制限して走行している。
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車体は[[ステンレス鋼|ステンレス]]構体を採用し、低重心化と軽量化が図られている。旅客数が少ない区間で運用されることから全車両が[[普通車 (鉄道車両)|普通車]]の貫通先頭車から構成される。2両編成を基本とするが、1両単位での増結が可能であり、全車両に[[連結器#密着連結器|密着連結器]]が搭載されている。踏切が多い線区を走行するため、先頭車の前面には警戒色でもある黄色が用いられている。
 
[[列車便所|トイレ]]は山陰本線上で[[下関駅|下関]]寄りの車両の[[デッキ]]にあり、[[車椅子]]対応、おむつ交換台付きである。なお、洗面台は独立スペースではなくトイレ内に設置されている。客用[[扉]]には[[自動ドア#半自動|半自動]]ボタンが設置されているが、営業運転においてドアの半自動扱いは行われていない(JRグループの特急形車両で旅客が操作する半自動ボタンが設置されているのは本系列と同社[[JR西日本キハ189系気動車|キハ189系気動車]]、[[JR西日本285系電車|285系電車]]、[[JR東海373系電車]]のみである。しかも前者は[[新潟トランシス]]が、後者2つは[[日本車輌製造]]が製造に関与)。また、キハ126系0番台と共通の[[ドアチャイム]]も設置されている。本系列のドアチャイムは全編成共通である。
 
内装は暖色系の色彩でまとめられ、内装の全ての部品が簡単な工具により取り付け・取り外しが可能である。座席は[[JR西日本683系電車|683系]]と同一のものが用いられ、部品の共通化によるコストダウンも図られている。
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[[Image:JR DC kiha187-1007.jpg|thumb|240px|right|キハ187-1007<br />(2007年5月16日 米子駅)]]
 
[[2001年]]7月7日の山陰本線[[米子駅]] - [[益田駅]]間高速化に伴い、特急「[[おき (列車)|スーパーおき]]」「スーパーくにびき」(現在の「[[まつかぜ (列車)|スーパーまつかぜ]]」)用として登場したグループ。0番台(1次車)は2001年に14両(0番台・1000番台、各7両)が新潟鐵工所で製造された。10番台(2次車)は[[2003年]]の[[鳥取駅]] - 米子駅間高速化による特急増発用として4両(10番台・1010番台、各2両)が日本車輌製造で製造された。全車が[[西日本旅客鉄道米子支社|米子支社]][[後藤総合車両所]]に配置されている。
 
山陰本線の高速化事業は、まず[[島根県]]側において県とJR西日本による共同事業として進められた。その内容は、曲線通過速度向上のための路盤改良および[[プレストレスト・コンクリート|PC]][[枕木]]化、駅構内の[[一線スルー]]化による速度制限の撤廃などであり、これに適した車両として、本系列およびキハ126系気動車が新たに投入された。
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;キハ187形0番台・キハ187形10番台
:[[新山口駅|新山口]]寄り先頭車<br />[[バリアフリー]]対応[[便器#腰掛大便器(洋式・洋風大便器)|洋式]]トイレ設置
;キハ187形1000番台・キハ187形1010番台
:[[鳥取駅|鳥取]]寄り先頭車<br />立席スペース(携帯電話コーナー)設置
 
多客期は編成を分解し、Mc1・Mc2を増結して3両編成または2本の編成を連結して4両編成で運転する場合がある。「スーパーまつかぜ」2号については、通常は2本の編成を連結した4両編成で、多客期は編成を分解し、Mc1・Mc2を増結した6両編成または4本の編成を連結した8両編成となる場合がある。
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; キハ187形500番台
: 岡山・鳥取寄り先頭車。バリアフリー対応洋式トイレ設置。
; キハ187形1500番台
: 上郡寄り先頭車。立席スペース(携帯電話コーナー)設置。
 
多客期は編成を分解してMc1'・Mc3を増結して3両編成、または2本の編成を連結して4両編成となる場合がある。過去には0・10番台のうちブレーキ改良の本工事が行われた車両を中間に組み込み、6両編成となる場合があった。なお、[[郡家駅]]の[[プラットホーム|ホーム]][[有効長]]の関係上、最大6両編成に制限されている。