「山陽電気鉄道5030系電車」の版間の差分

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製造は全車とも[[川崎重工業]]兵庫工場が担当している。
 
山陽電気鉄道では車両の形式称号について書類上は「クモハ」や「モハ」などの車種を示す記号を用いているが、現車では車内を含め一切表記しておらず、また車両番号が重複しないよう同一数字を用いる形式では奇数・偶数で車種を分けて管理している。このため、本記事の以下の記述では、車種構成の項以外についてはこれらの記号を基本的に省略し、必要に応じて (M'c) (M) などの略記号を付して解説する。また、解説の便宜上、神戸(西代・三宮)方先頭車+F(Formation=編成の略)を編成名として記述(例:5020以下6両編成=5020F)する。
{{鉄道車両
|車両名=山陽電気鉄道5030系電車
|全長=19,000
|全幅=先頭車2,800 中間車2,796
|全高=4,060 4,100(100(パンタグラフ搭載車)
|車両重量=33.1~ - 33.7t(52307t(5230) 28.3t(56303t(5630) 24.4t(55304t(5530)
|編成重量=
|軌間=1,435
|電動機=[[富士電機ホールディングス|富士電機]]製[[かご形三相誘導電動機]]<br />MLR105 170kW
|編成出力=2,040kW
|歯車比=82:15 (5.47)
|制御装置=[[富士電機ホールディングス|富士電機]]製CDA964 (IGBTCDA964(IGBT素子方式VVVFインバータ制御)
|ブレーキ方式= HRDA-1電気指令式
|保安装置=
[[1998年]][[2月15日]]から開始された[[直通特急 (阪神・山陽)|姫路 - 阪神梅田間直通運転]]に伴う所要編成数の増加に伴い、在来の[[山陽電気鉄道5000系電車|5000系]]の後継車種として設計・製造された。又、[[山陽電気鉄道2300系電車|2300系]]の置き換えも行われた。
 
[[1964年]]の[[山陽電気鉄道3000系電車|3000系]]以来、山陽電鉄では電車用標準電動機として長らく三菱電機MB-3020Sが採用されてきたが、20世紀の終焉と前後してこの電動機の製造が打ち切られ、しばらくは社内で廃車発生品や予備品の転用・交換<ref>廃車となった[[山陽電気鉄道2000系電車|2000系]]に搭載されていた三菱電機MB-3037を2300系や3両編成で運用されている3000系に搭載し、これによって捻出されたMB-3020Sを新造された5000系に搭載した。</ref>を行うことで需要に対応していたがそれにも限度があり、またVVVFインバータ制御による三相交流誘導電動機の一般化など周辺状況も[[界磁添加励磁制御]]を選択するほかかった5000系製造開始時とは大きく変化していたことから、山陽としては実に34年ぶりの新型電動機の採用となった。
 
本系列は[[1997年]]に12両、[[2000年]]に8両、合計20両が製造された。5000系と比較して、制御装置が[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]]方式VVVFインバータ制御に変更されたほか、1人-2人掛け転換クロスシートを採用(車端部はロングシート)するなど内装面でも変化が見られる。
 
*モハ5230形5230・5232
**電動車 (M1) 。主制御器とパンタグラフを搭載し、モハ5230形奇数番号車とはユニットを構成しない単独の電動車であるが、パンタグラフについてはこちらの偶数番号車に集約搭載しているため、5030系のみの編成では奇数番号車との2両で1単位として扱われる。
*モハ5230形5231・5233・5235・5237・5239・5241
**電動車 (M2) 。主制御器を搭載する。基本的には偶数番号車と同様の設計だが、パンタグラフを搭載しないため、運用時には5030系単独の編成ではモハ5230形偶数番号車から、5000系と5030系の混結編成ではモハ5250形から1,500[[ボルト (単位)|V]]母線給電を受ける必要がある。
*モハ5250形5250-5255
**電動車 (M3) 。主制御器とパンタグラフを搭載する。
*クハ5630形5630 - 5633
**制御車 (Tc) 。偶数番号車 (Tc1) が神戸寄り<ref>Tc1は山陽では[[山陽電気鉄道200形電車|200形タイプIII (111 - 113) ]]以来の神戸(大阪)向きである。</ref>、奇数番号車(Tc2)が姫路寄りにそれぞれ運転台を備える制御車。運転台の位置以外は基本的に共通設計で、いずれもCPとSIVを搭載する。
*サハ5530形5530・5531
**付随車 (T) 。補機類を一切搭載しない。
 
== 編成 ==
直通特急用を前提として設計された本系列では、編成は6両編成を基本とする。そのため、神戸から5630形 (Tc1) - 5230形 (M1) - 5230形 (M2) -5530形 (T) -5250形 (M3) - 5630形 (Tc2) の6両編成を基本とする。
 
ただし5000系の項で記したとおり、2000年の直通特急増発にあたって5000系4両編成4本に中間車を2両ずつ組み込んで6両編成を増強したが、この際、主電動機の生産終了で従来と同じ5200形が製造できなかったことから、本系列の5230形 (M2) ・5250形 (M3) を一部仕様変更の上で製造してこれに充てている。
 
{| style="text-align:center; border-spacing:2em 0em; float:left;"
 
== 車体 ==
車体は5000系5次車に準じており、窓配置も継承しているが、座席は阪神線内の混雑に対処するために山側1人-浜側2人掛けの転換クロスシートとなった<ref>神戸(大阪)先頭で進行方向左側が山側、右側が浜側となる。</ref>ほか、車内スピーカーも増設された。
 
1次車2編成には[[阪神電気鉄道|阪神]][[阪神8000系電車|8000系]](車両更新済みの分のみ)や[[阪神9000系電車|9000系]]、[[阪神9300系電車|9300系]]、[[阪神1000系電車|1000系]]、[[阪神5500系電車|5500系]]と同じく扉開閉予告ブザーが装備されているほか、車内にはLED式案内装置<ref>面積は、阪神車両と比較して縦の長さが倍程度の大型サイズ。表示部の下には山陽姫路 - 阪神梅田までの路線図(ただ阪神線内は直通特急停車駅のみ)も掲示されていたが、この路線図は[[阪神なんば線]]開業以降に撤去された。</ref>と非常電話装置が標準装備されている。
 
2次車ではアルミニウム構体の接合法が外板の見栄えの向上を図るために[[ミグ溶接]]から[[摩擦攪拌接合|摩擦攪拌式 (FSW) ]]に変更され、新車間の連結面には外幌が取り付けられた。また、クロスシートの配置が山側2人-浜側1人掛けと逆になったほか、5000系の編成に2両ずつ挟んで使用するため、車内案内装置と非常電話装置は準備工事にとどまっている<ref>本来LEDの案内表示機となる部分には広告枠が付けられている。</ref>。
 
冷房装置は5000系のCU-71Sを低騒音・高効率形に改良したCS-71SCを搭載している。またこの機種変更により、これまで屋根上の冷房機の前後左右各1基ずつ搭載されていた通風器が廃止されている。
山陽初採用となったVVVFインバータ制御装置は、高耐圧[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]]を使用する3レベルインバータ制御器の富士電機CDA964で、モーターをIGBT素子で1基ずつ制御する個別制御方式を採る。
 
山陽では2000系以降長らく「富士電機(あるいは前身の川崎電機製造)製の制御装置+三菱電機製のモーター」の組み合わせであったが、本系列では制御器との組み合わせの関係上、モーターも富士電機製三相交流誘導電動機であるMLR105<ref>定格出力170kW。</ref>となった。この電動機は保守上3000・5000系と駆動装置を共通化することが求められたため、高回転数化により軽量化と出力強化の両立を図るケースが多いこの種の誘導電動機としては異例の強トルク低回転数設計となっており、歯車比も5000系以前と共通の82:15 (5.47) である。
 
=== 台車 ===
 
=== 補助電源・空気圧縮機 ===
補助電源装置は両端の5630形にIGBT方式静止型インバーターであるCDA963 (170kVA) を搭載、片方が故障しても冷房装置の能力を半減させるだけで運転を継続する機能を有している。
 
また、この補助電源の変更に伴い[[空気圧縮機|CP]]も交流電源駆動のHS20-1が採用され、メンテナンスフリー化が図られた。
直通特急の運転開始を1年後に控えた1997年3月、5630F・5632Fの6両編成2本が竣工した。山陽電鉄では1991年竣工の5000系5022F以降、増結用中間車の増備ばかり続いていたことから、編成単位での増備は7年ぶりのことである。
 
直通特急の運転開始1年前と早期落成が図られたのは、5000系在来車への阪神線全線乗り入れ対応工事<ref>5500形への連結器偏差アダプタの搭載、運転台に対する列車種類選別装置とデッドマン装置の解除機能の追加など。なお、この改造は検査や事故発生時を考慮して、4両編成のまま残された2編成に対しても施工されている。</ref>や、直通区間への試運転による予備車不足の解消を図るためであり、両編成とも阪神線内への試運転に充当されるかたわら、ダイヤ改正までは阪急神戸線の[[六甲駅|阪急六甲]]への乗り入れ運用にも充当されていた<ref>なお、直通特急運転に関するプレスリリースは本形式の登場直後であったことから、運転台に取り付けられた阪神線内乗り入れを示す表示などは取り外されていたり隠されていたりしていた。</ref>。
 
直通特急の運転開始を前にして両社の車両を使った試運転は何度も実施されたが、1997年7月30日の阪神梅田初乗り入れ日には5630Fが充当され、阪神梅田での折り返しの際には「特急・姫路」の方向幕を掲出して翌年の運転開始をPRするとともに、写真撮影に訪れた鉄道ファンに格好の被写体を提供していた。翌年2月の直通特急の運転開始時には5000系6本と本系列2本の6両編成8本が、直通特急の運用に充当されるようになった。
 
2001年3月のダイヤ改正に際して山陽電鉄は5030系2次車8両を増備して5000系4両編成4本に組み込み、6両編成を12本へ増やして直通特急運用の増加に対応した。また、このダイヤ改正では直通特急が大増発されたことによって本系列による阪神線内および高速神戸駅折り返しの間合い運用が出現、夜間には梅田駅構内や御影留置線で滞泊する運用も出現した。
 
[[2006年]]10月のダイヤ改正以降は運用に大きな変化はなく、[[2010年]]1月現在、本系列は20両が在籍して5000系とともに直通特急や特急を主体にして運用されている。
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