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許容差設計は「品質改善の成果をコスト改善に還元できる手法」なのである。
ここで初めて「[[損失関数]]」が必要になるのである。損失関数は「目標値からのばらつき」に比例するもので、目標値に調整した後のSN比の真数の逆数に比例する。すなわち、<math>L</math>(円) = <math>\frac{A}{\Delta^2}</math> (1/SN比)で表され、<math>\Delta</math>は機能限界、<math>A</math>は機能限界を超えたときの損失で市場に
#部品や組み立て品の許容差設計
#直交多項式を使った応答解析による許容差設計
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許容差<math>\Delta</math>は下記のように損失関数から決める。
<math>\Delta = \sqrt{\frac{A}{A_0}} \Delta_0
<math>A</math>:部品コストや<math>\Delta</math>を超えたときの廃棄費用
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<math>\Delta_0</math>:機能限界で消費者の許容限界
生産者と組み立て者の場合は、生産者の許容差<math>\Delta</math>は組み立て者の機能限界<math>\Delta_0</math>と組み立て者が機能限界<math>\Delta_0</math>を超えたときの損失<math>A_0</math>から上式で決める。
安全率 <math>\varphi</math> は上式から、
<math>\sqrt{\frac{A_0}{A}} = \frac{\Delta_0}{\Delta} = \varphi
で表される。
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で表される。
組み立て品の許容差を決めるときには、機能限界<math>\Delta_0</math>から出力特性<math>y</math>の許容差<math>\Delta y</math>を求め、直交多項式
<math>
安全率 <math> \varphi = \sqrt{\frac{A_0}{A}}
出力特性の許容差 <math>\Delta y
A部品の許容差 <math>\Delta A
B部品の許容差 <math>\Delta B = \frac{\Delta y}{b} = \frac{\Delta_0}{b \varphi}
==オンライン(製造)における品質工学==
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==MT法(MTシステム)==
[[MT]](Mahalanobis Taguchi)法という新しい多次元情報データによる予測、診断、分析法が提案され、実用例が多数の企業から報告されている。第一次産業革命は、加工運搬などの肉体労働を機械化することで、重労働作業から人間を解放したのみでなく、生産性の向上で生活水準を豊かにした。(現在はMahalanobisの距離を使っていない手法も普及し、その中でT法が主力となると
米国では、農業の生産性が向上し、現在では2%以下の農業人口で、米国の全人口の2倍の人々に対して十分な農産物が供給できるようになったという。
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それらの改善は、農作業や農産物の運搬、貯蔵に必要な作業の機械化による生産性が建国当時の100倍になったが、現在も人間による作業が残されている。
特に乳幼児や高齢者の世話に多くの人手を必要にしている。それらの作業を機械化するには漫画に出てくるようなロボットの開発が必要である。人間や動物の持つ能力でコンピュータが持っていない能力の
パターン認識は、広くは言語の理解能力であるが、品質工学のMT法では蓄積されたデータベースからの判断問題(診断や予測)のみを取り上げる。
当初提案されたのはMT(Mahalanobis Taguchi)法であったがその後各種提案されている。MT法というとこの最初に提案されたMT法を指したり、この提案された
戦略としての品質工学は欧米ではタグチメソッド(Taguchi MethodsとかTaguchi Quality Engineering)と呼ばれている。
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タグチメソッドは、予測の精度を機能性評価によるSN比(信号対雑音比)を用いる方法である。SN比は判断の誤りの大きさを結果で評価する方法で、関数空間の関係のみならず、多次元空間の関係にも応用できるのである。
多次元空間には
商品や技術分野でパラメータ設計を行うときにも制御因子を選ぶのは専門家の仕事であって、システムの良否を判断することがタグチメソッドの機能性の評価であると同じことである。
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===MTA法===
MTシステムの
===TS法===
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===T法===
TS法と同じように予測の対象が正・負の符号が考えられる場合、下記の
T法(1):両側T法で表される場合。パターン差による推定法は結果が中央付近のメンバーを単位空間にとる。経営利益や株価や降雨量などは変化が安定しているときのデータが単位空間で正負のどちらのデータも予測したい場合に用いる。
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T法(3)RT法:信号の真値がない場合。文字認識の場合、「違う」ということは分かるが、どの程度「違う」のか分からない。火災の場合でも、ぼやや火事や大火事など真値が分からないので、項目ごとにメンバー(データ)を求めて、データごとのSN比と感度を求めて、両者からMTA法を使って単位空間の距離<math>D</math>を求める。単位空間の<math>D</math>と単位空間に属さないメンバーの<math>D</math>を比較する。
T法(1)(2)では項目に対してデータ数はいくらでもよく、<math>
【項目診断の流れ】
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このような曲線の場合は、変数変換で比例関係にはできない。SN比は、ノイズに対する安定性の評価であることから、比例関係でない場合も色々なノイズ条件下でも標準条件と同じように機能することを評価したいのである。この評価方法を標準SN比(別称 N0(エヌゼロ)法)と言うが、TS法及びT法と並び、新しい概念である。なお、古くから正常と異常の判定基準(0, 1)評価の標準寄与率から求められる標準SN比があるが、それとは区別されたい。
従来のSN比は、顧客の欲しい機能を表す信号の効果と顧客が望まないノイズの効果との比で表したものであるが、信号の効果の中には、比例項の変動<math>S_\beta </math>と信号の2次項のばらつきSMresが含まれるため、そのばらつきは誤差変動<math>S_e</math>とは別なばらつきでノイズの影響ではないのである。そこで、ノイズの影響だけが顧客が望まないものであるから、信号の効果とノイズの効果を完全に分離することを考えたのが標準SN比である。したがって、2段階設計では、まずノイズの効果だけを考えて最適条件を求めてから、信号の効果を<math>\beta_1 = 1</math>、2次効果<math>\beta_2 = 0 </math>になるように要因効果図の制御因子でチューニングするのである。従来SN比に比べて再現性が高くなるのが特徴である。
従来のSN比は <math>\eta =
標準SN比は、目的機能でも基本機能でも用いられるが、ベンチマークと品質の比較をする場合には再現性は必要ないので、従来SN比を用いることになる。
===エネルギー比型SN比(新SN比)===
機能性評価では,実験データの出力のエネルギー(ST)は,有効エネルギー(Sβ)と有害エネルギー(SN)の和でピタコラスの定理で表
SN比(η)=(Sβ/nr)/(SN/nr)=Sβ/SN デシベルでは10log(Sβ/SN)
感度(S)=10log(Sβ/nr)
▲ SN比は相対比較であるから,利得の改善に意味があって,SN比の絶対値は問題にしないという考えが従来SN比であるが,絶対値も変わらない新SN比の方が損失関数を求める場合には便利である。
==リンク==
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