「ジークベルト・タラッシュ」の版間の差分

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タラッシュは稀代の理論家として知られている。[[ヴィルヘルム・シュタイニッツ]]の弱点である攻めが遅いこと<ref name="チェス入門 180頁">『チェス入門』、180頁。</ref>、攻撃開始までに敵にもその体制を整える余裕を与えたことに注目した<ref name="チェス入門 180頁"/>。そしてどうすればシュタイニッツの弱点を克服できるかを考えた<ref name="チェス入門 180頁"/>
 
タラッシュの提唱した「中原の理論」は序盤においてe4、d4のどちらを[[ポーン]]によって先に占めるかによってそのゲームの展開が決定されるかというものである<ref>『チェス入門』、181頁。</ref>。タラッシュがチェスプレーヤーとしてデビューした当時のプレーヤーの間では1.e4と指すのが一般的だったが<ref name="チェス入門 182頁">『チェス入門』、182頁。</ref>、「中原の理論」によって1.d4の決定的ともいえる優位が示され<ref name="チェス入門 182頁"/>、チェス界を席捲した<ref name="チェス入門 182頁"/>。そのため当時は「白が1.d4と指したら、黒はもう戦わずして負けたようなものだ」と冗談半分に言われた<ref name="チェス入門 183頁">『チェス入門』、183頁。</ref>
 
チェスでは白が先手を取るため<ref name="チェス入門 183頁"/>、[[20世紀]]に入り1.d4に対するいくつかの新しい防御法が発見されるまで<ref name="チェス入門 183頁"/>、チェス界は1.d4と指して白が勝つというゲーム展開によって支配されることになった<ref name="チェス入門 183頁"/>。20世紀に入って登場した1.d4に対する黒の応手として知られているのが[[ニムゾ・インディアン・ディフェンス]]や[[キングズ・インディアン・ディフェンス]]であり、[[1490年]]頃から指されていた[[クイーンズ・ギャンビット]]<ref>『やさしい実戦集』、100頁。</ref>も20世紀に入り現代的に改良され、1.d4に対する黒の応手としてよく指されるようになった。
 
なおクイーンズ・ギャンビットの変化の1つである1.d4 d5 2.c4 e6 3.Nc3 c5はタラッシュ・ディフェンスと呼ばれる<ref>『定跡と戦い方』、127、129-130頁。</ref>
 
== 実践家として ==
タラッシュは実践家としても大きな業績を残している。[[1908年]]に当時の[[チェスの世界チャンピオン一覧|世界チャンピオン]]であるエマーヌエール・ラスカーへの挑戦者となっている。結果はタラッシュの3勝5引き分け8敗に終わったが、世界チャンピオンへの挑戦者となったことは理論面だけではなく実践面でも功績を残したチェスプレーヤーであることを証明している。
 
== 参考文献 ==
* [[金田英二]] 著 『チェス入門』 [[日東書院]]、[[1975年]][[5月1日]]初版発行
* [[有田謙二]] 著 『チェス・マスター・ブックス 1 定跡と戦い方』 [[河出書房新社]]、[[1980年]][[1月25日]]初版発行、[[2010年]][[9月30日]]新装版初版発行、ISBN 978-4-309-73141-4<ref>ISBN番号は新装版のもの。</ref>
* 有田謙二 著 『チェス・マスター・ブックス 5 やさしい実戦集』 河出書房新社、[[1976年]][[6月15日]]初版発行
 
== 脚注・出典 ==
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