「日本の商標制度」の版間の差分

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== 商標法による保護 ==
{{seealso|商標法#日本}}
=== 定義 ===
日本では、[[商標により権利]]「商標」「商標権」を定られおり、これいる。商標法おけ商標の定義は以下ようになとおりである。
 
<blockquote>
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であって、モノ(商品)やサービス(役務)を生産販売する事業者が、それを識別するために用いるもの、となる。
 
=== 商標の効力 ===
商標は、設定の登録により発生する(法18(18条1項)(設定登録までの手続は後述)。商標は1以上の商品または役務(以下、単に商品という)を指定して登録される。これを「指定商品」とよぶ。
 
商標の効力は専用権と禁止権に分けられ、それぞれ以下の範囲の効力をもつ。(「専用権」と「禁止権」の文言は商標法の文面にはあらわれないことに注意)
; 専用権
: 商標者(専用使用権でそう設定したときの通常専用使用権者を含む)は、指定商品について名称を使用する権利を専有する(法25(25条)。
; 禁止権
: 指定商品について登録商標に類似する商標を使用すること、指定商品に類似する商品について商標または商標に類似する商標を使用する行為(37条1号)など商標又は専用使用権を侵害するとみなされ(37条)商標権者又は専用使用権者は、侵害の停止又は予防を請求す(法37ことができ、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を、請求することができる(361号)。
; 商標の効力が及ばない範囲商標
: 26条には、その商品の普通名称など、商標の効力が及ばない範囲商標(他の商標の一部となつているものを含む。)が規定されている。これに該当する場合には、専用権、禁止商標権の範囲で使用しても、権利の行使を受けることは効力が及ばない。普通名称などは特定人に使用を独占させることが好ましくないと考えられるからである。たとえば、「アスカレーター」が権利取得商標登録されていても、それに類似する「エスカレーター」が普通名称である場合は「アスカレーター」に係る権利の効力は、「エスカレーター」の使用行為には及ばない(26条1項3号)。
; 存続期間
: 商標の存続期間は設定日から10年間であるが(法19(19条1項)、回数を無制限とする商標権者の更新登録の申請により更新することができる(同条2項)とされており回数の制限はないため、更新を繰り返すことにより権利が永続する(同条2項)。特許権、意匠権、著作権のような他の知的財産権と異なり、商標権が永続できるのは、権利者が名称を継続して使用する限りにおいては、名称の価値(商品のブランド価値)は時が経っても陳腐化することがないと考えられるからである。一方、10年ごとに更新を必要としたのは、<!--使用されなくなった権利についてまで権利を継続する必要はないからである。-->使用されなくなった商標についてまで権利を継続する必要はないからである。<!--使用されなくなった権利についてまで継続する必要はないからである。--><!--どれだ?-->
 
=== 権利取得商標登録の手続 ===
権利の取得商標登録は、次のような流れになる。
# [[特許庁]]長官に出願願書を提出(送付)する(5条)。<!--出願(送付)とありましたが、他の条文中に送付という言葉は使われているので削りました-->
# 特許庁長官による方式審査(書面の不備の審査)が行われる。書面に不備がある場合には手続特許庁長官は、補完すべしと令が出さじなけばならない(5条の2 2項)。
# 特許庁[[審査官 (特許庁)|審査官]]による実体審査により、登録要件(後述)を満たしているかが審査される(14条)。
# 実体審査により、拒絶の理由が発見された場合には「拒絶理由通知書」が、特許庁から送達される(15条の2)。出願人は「手続補正書」を提出して出願の内容を訂正することによって拒絶理由を解消したり、指定期間内に「意見書」を提出して審査官の認定に反論することができる。例えば4条1項11号違反の拒絶の理由の場合には、重複する指定商品又は指定役務を減縮補正をする手続補正書を提出する。
# 拒絶の理由が発見されない場合(もしくは、「拒絶の理由」が解消した場合)には査定が行われ(16条)、査定の謄本が出願人に送達される(17条によって準用される特許法52条2項)。
# 査定の謄本が送達された場合は、その送達の日から所定の法定期間(30日)内に10年分の登録料(もしくは半期分の「分割納付」)を納付することにより、設定登録が行われ、商標が発生する。
# 商標権の設定されの登録があっ権利とき、その内容のうち法が掲げる事項が、特許庁が発行する商標公報に掲載される(18条3項)。
# 審査で、「意見書/手続補正書」等を提出しても、拒絶の理由が解消しない場合には、拒絶の理由が送達された日から40日を目途として、行政処分である拒絶査定が行われる(15条)。拒絶査定に不服がある場合には、拒絶査定の謄本が出願人に送達されてから3月以内に、特許庁長官に対し「拒絶査定不服審判」を請求することができる(44条)。
# 拒絶査定不服審判の請求に対して、特許庁審判官の合議体は審理を行い、審判成立(請求認容)または審判不成立(請求棄却)の審決を行い、審判請求人(出願人)に審決謄本を送達する(56条によって準用される特許法157条)。
# 前記の審決に不服のある場合は、その審決の謄本が送達された日から30日以内に[[東京高等裁判所]]([[知的財産高等裁判所]])に審決取消の訴を起こすことができる(63条2項によって準用される[[特許法]]178条3項)。
 
=== 権利取得商標登録の要件 ===
権利取得の要件のうち、主なものを挙げる。
; 自他商品等識別能力を有すること(3条1項)
: 自他商品等識別能力を有さない名称は名称としての機能を発揮し得ないから、登録を受けることができない。自他商品等識別能力を有さない例として、その商品等の普通名称(3条1項1号。例えば指定商品「りんご」に対して名称「アップル」)、その商品等について慣用されている名称(3条1項2号。審査基準によれば、指定商品「清酒」に対して商標「正宗」など)、商品の産地、品質等を普通に用いられる方法で表示する名称(3条1項3号。例えば指定商品「りんご」に対して商標「青森」)などが挙げられている。ただし、形式的に自他商品等識別力を有さないと考えられる名称であっても、実際に使用した結果、識別力を具備するに至った場合には権利商標登録取得す受けることができる(3条2項)。
; 4条1項各号に該当しないこと
: 4条1項1号から19号に権利取得商標登録拒絶され受けことができない条件が列挙されている。このうち、実際に適用されることが多いと思われるものをいくつか挙げる。
:* 公序良俗違反(4条1項7号)
:* 他人の広く知られた名称と同一または類似の名称(4条1項10号)
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: 指定商品等は施行規則の別表で定められた区分に従って記載しなければならない。例えば化学品は第1類、食肉は第29類などと定められており、食肉を指定商品とする場合には「第29類食肉」と記載する。誤った分類を記載した場合(例えば「第1類食肉」と記載した場合)や分類を記載しなかった場合には拒絶理由となる。
 
=== 権利商標登録の取消および無効 ===
一旦登録された権利であっても、所定の理由がある場合には権利商標登録が取り消されたり無効とされたりすることがある。権利を消しまたは無効にする主な手段は以下のとおりである。
 
; 異議の申立て
: 設定商標登録後も、商標掲載公発行の日から2月以内であれば、何人も特許庁長官に対して異議の申立てを行うことができる(43条の2)。異議申立てがあった場合、3人または5人の審判官による審理が行われ、43条の2第1号および2号に定められた取消理由があると判断された場合には、権利登録は取り消され、権利(専用使用権、通常使用権を含む)は初めからなかったものとされる(取消の遡及効、43条の3第3項)。
; 無効審判
: 商標が3条や4条などの規定に違反した商標が誤って商標登録された場合や、商標登録後に無効理由が生じた場合には、利害関係者は権利商標登録を無効にすることを請求できる(無効審判、46条)。一定の私益的な無効理由については、5年の除斥期間が設けられており、除斥期間経過後は無効審判の請求ができない(47条)。これは、登録後一定期間経過するとその商標に信用が化体するため、無効にする利益よりもすでに生じている信用を優先させたものである。なお、公益的な無効理由については、信用を優先させることは適当ではないため、除斥期間は設けられていない。
; 不使用取消審判
: 法は、名称に化体された信用を保護するために権利者に専用権および禁止権を認めているのであり、実際に使用されない名称には信用が化体しないから、使用されていない名称に保護を与え続ける必要はない。そこで、継続して3年以上日本国内で指定商品等について名称登録商標が使用されていない場合には、何人も権利登録商標の取消を請求することができる(不使用取消審判、50条1項)。これに対して権利者が商標自身や(又は使用権者のいずれか)が使用していたことを立証できない場合には、商標は審判請求の登録の日に遡って消滅する(50条2項、54条2項)。なお、不使用取消審判の請求がされることを知ってから、取消を免れるために駆け込み的に使用を始めても、取消を免れることはできない(50条3項)。
; 商標者による不正使用取消審判
: 商標者が禁止権の範囲内で、品質の誤認や出所の混同を招くような不正な方法で登録商標または登録商標に類似する商標を使用した場合には、何人も、その商標登録すことについて審判を請求することができる(51条)。取消となった場合には、商標は取消審決が確定したときに消滅する(54条1項)。
; 使用権者による不正使用取消審判
: 専用使用権者または通常使用権者が専用権または禁止権の範囲内で、品質の誤認や出所の混同を招くような不正な方法で登録商標または登録商標に類似する商標を使用した場合には、何人も、当該商標登録すことについて審判を請求することができる。ただし、当該商標権者がその事実を知らなかった場合において、相当の注意をしていたときを除く(使用権者による不正使用取消審判、53条)。取消となった場合には、商標は取消審決が確定したときに消滅する(54条1項)。
 
=== 地域団体商標(平成17年度改正) ===