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[[Image:Sisma three components.jpg|thumb|right|200px|地震動を波形で示したグラフ。<br/>黒 : 東西動成分<br/>青 : 南北動成分<br/>赤 : 上下動成分]]
'''地震動'''(じしんどう)とは、[[地震]]によって発生する揺れのこと。地震の揺れを[[振動]]として捉えた、あるいは[[工学]]的に見た概念であり、[[波動]]として捉えたり、[[物理学]]的に見た場合は[[地震波]]と呼ぶ。一般的には地震動自体も「地震」と呼ぶことが多い。
 
== 力学的特徴 ==
地震動は連続的な動きではなく、短い周期で動きを多数繰り返す[[振動]]である。繰り返しの振動の主要な部分は、地震を発生させている[[断層]]で加圧(固定)→開放(ずれ)→加圧(固定)→開放(ずれ)…の過程が非常に短い周期で繰り返されることによって生まれる。
 
地震を発生させる[[断層]]では、地震を起こす際に面同士が強い力によってずれるが、ずれる面は岩盤や固い土砂であるため滑らかではなく、ずれる面は極微小地震(マグニチュード1未満の地震)でも数m&sup2;、M9以上の地震でおよそ1万km&sup2;と非常に広いため、ずれる速さは一定にはならず、場所によってずれる速さやずれやすさにばらつきが出るなどして、不均一な振動となる。
 
発生した地震動は、およそ3~7[[メートル毎秒|km/s]]で周囲に伝わっていく。伝わる速さや伝わりやすさは振動の性質によって異なる。
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震源で発生した地震動(地震波)は、有限の速度をもって周囲に伝わる。その速さはおよそ3~7km/sで、[[音波]]の10~20倍も速いが、[[光速度]]と比べれば5万~10万分の1にとどまるため、地震が発生してから周囲の地表が揺れるまでには時間がかかり、その時間は震源から遠くなるほど長くなる。この時間差を利用したシステムが[[地震警報システム]]である。
 
地震動のうち、周期が短く伝播速度が7km/s前後と早い[[P波]]は、最初に到達してカタカタという小さな揺れをもたらし、[[初期微動]]と呼ばれている。揺れが小さいのは周期が非常に短く減衰が大きいためであり、震源に近いところではあまり減衰していない[[P波]]によって[[地鳴り]]のような音が発生する。
 
周期が比較的長くP波の半分ほどの速度で伝播する[[S波]]は、初期微動の後に到達してガタガタという激しい揺れをもたらし、[[主要動]]と呼ばれている。地震によってS波の周期は異なり、卓越する地震動の周期(最も振幅が大きい地震動の周期)も変わるため、被害の様子も変わってくる。
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周期が長いほど減衰しにくく、長距離を長時間伝わる。また、地震動を伝える地盤が固いほど、周期が短い地震動を伝えやすい。
 
周期と被害の関係については、[[1980年代]]ごろから地震計の精度が向上したことを受けて、解明が進んだ。現在も研究が進み、防災の面から新たな発見も期待されている分野である。
 
=== 極短周期地震動 ===
周期0.5秒以下の地震動。屋内の[[家具]]や[[物]]などが最も揺れやすい周期。計測[[震度計]]の感度が最も強いのがこの地震動であるため、震度と被害や体感震度との間のずれを生む原因とされている。
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周期0.5秒~1秒の地震動。やや短周期地震動も含めることがある。[[人間]]が最も揺れを感じやすい地震動。
 
=== 稍短周期地震動(やや短周期地震動 ===
周期1秒~2秒の地震動。[[木構造 (建築)|木造]][[家屋]]、非木造の中低層建築物が最も揺れやすい地震動。
 
人間が住む建造物の多くはこの周期の揺れで最も被害を受けやすいため、この周期の地震動が長く観測される(卓越する)と人的被害が大きくなる傾向にある。このことから、俗に'''キラーパルス'''(killer(killer pulse)pulse)と呼ばれる。キラーパルスに関しては、はじめの揺れの振幅や振幅の継続時間、あるいは初動の揺れの方向によって、建物の壊れやすさが異なるという研究結果もある。
 
=== 稍長周期地震動(やや長周期地震動 ===
周期2秒~5秒の地震動。巨大な[[タンク]]や[[鉄塔]]など、中規模建築物が最も揺れやすい地震動。
 
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== 出典 ==
*[http://www.kz.tsukuba.ac.jp/~sakai/dsn.htm 長周期地震動と短周期地震動の違いを簡単な模型を使ってわかりやすく?示したデモンストレーション] [[筑波大学]]システム情報工学研究科 地震防災・構造動力学研究室
 
== 関連項目 ==