「プラット・アンド・ホイットニー J58」の版間の差分

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J58本体での抽気とその回収について追記。
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マッハ2.5を超える飛行時には後方バイパスドアが開き、空気が過剰に供給されるのを防ぐ。
後方バイパスドアを経由した空気は衝撃波トラップブリード等を経由した空気と合流してBYPASS AIRとなり、エンジン外周を経由してノズルへ送られる。
バイパスエアはアフターバーナーから噴射された排気ガスとノズル内部で混合して噴射され、体積と流量を増大し推力を増すほか、エンジン冷却の機能も持つ。
 
 
吸入式ドア(SUCK-IN DOORS)
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以上のメカニズムによって、マッハ3周辺では最初の衝撃波コーンによるラム圧縮で空気が過熱され、ターボジェットは燃焼室内の燃料/空気の比率を下げなければ、タービンが焼損する。マッハ3周辺ではターボジェット部の圧縮機と燃焼室による推力は20%に低下し、残り80%の推力がインテークダクトでのラム圧縮とノズルでの膨張(アフターバーナーを含む)によって生み出される。言い換えると、推力のうち20%のみが圧縮機と燃焼室によって受け止められ、80%はインテークダクトとアフターバーナーで受け止められる。
 
== 抽気系統とJ58本体の動作概要 ==
 
参考文献<ref>http://www.bobabernethy.com/pdfs/Never%20Told%20Tales%20of%20P&W3.pdf</ref>にて抽気および抽気された空気の扱いについて説明されている。
 
抽気を行わないときにはエンジンに吸入された空気"コア-フロー"エア<ref>http://aerostories.free.fr/technique/J58/J58_01/page10.html</ref>は、9段の圧縮機を経て燃焼室に供給される。
 
このときにはJ58は9段圧縮機を持つターボジェットとして動作する。
 
高速飛行時には抽気経路が開き、一部の空気は4段の圧縮機を経たのみで後段5段を経ずに抽出され、燃焼室外周を通過しタービンを経ずにアフターバーナーへ送られ、燃焼に用いられる。
 
参考文献3ページ右上に示された特許文書の抜粋図がその説明である。
 
この抽気を用いた燃焼系統は圧縮機から供給された空気を燃焼に用い、かつ燃焼ガスでタービンを駆動しないため一種の[[モータージェット]]であるが、圧縮機を経由した空気を使っているためにラムジェットではない。
 
参考文献<ref>http://www.bobabernethy.com/pdfs/Never%20Told%20Tales%20of%20P&W3.pdf</ref>にて開発者が抽気を行う理由を記述している。
"With a little knowledge of compressor aerodynamics I could see at Mach 3 the front stages would be deep in
stall from too low airflow and the rear stages were choked preventing the airflow to increase."とあるのが言及箇所である。
 
すなわち、マッハ3での飛行時には圧縮機後段がチョーク状態となり空気流量が制約されるが、この流量では前段が流量過少となって失速を生じる。この流量と失速の問題は始動時にも生じる。これを回避するために抽気機構を設けた。
 
参考文献<ref>http://www.bobabernethy.com/pdfs/Never%20Told%20Tales%20of%20P&W3.pdf</ref>に"The same problem exists when starting the engine and P&W solution was to open “start” bleeds."
とあるとおりである。
 
高速飛行時に抽気系での燃焼を行っているとき、J58は低圧力比系(抽気系)と高圧力比系から成る複合ジェットエンジンとなっている。
 
開発者はこのシステムをRecover Bleed Air engine(抽気回収型エンジン)と名づけている。
 
== J58-P4の仕様 ==