「シュビムワーゲン」の版間の差分

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キューベルワーゲンの記事を参照すべき重複部分を削りました
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[[Imageファイル:VW_Schwimmwagen_1.jpg|thumb|300px|シュヴィムワーゲン Typ 166の現存車輌]]
[[Imageファイル:VW Schwimmwagen 2.jpg|thumb|300px250px|運転席車体内装]]
[[画像ファイル:VW Schwimmwagen 3.jpg|thumb|300px250px|シュヴィムワーゲン車体後部の跳ね上げ式プロペラ]]
[[Image:KDF 166.JPG|thumb|300px]]
[[ファイル:Bundesarchiv Bild 101I-298-1771-19, Nordfrankreich, Schwimmwagen.jpg|thumb|250px|プロペラを下ろして水上走行へ移行しようとする様子]]
'''シュビムワーゲン'''([[ドイツ語]]:'''{{lang|de|Schwimmwagen}}''')は、[[第二次世界大戦]]中に[[ドイツ軍]]が使用した[[四輪駆動]]の[[水陸両用車]]である。1941年に[[キューベルワーゲン]]の[[シャシ (自動車)|車台]]をベースにTyp 128が開発されたが、1942年から戦場における不具合を改善して[[ホイールベース]]を短縮した改良型'''Typ 166'''が生産された。大戦中に最も多く生産された軍用水陸両用車である。
[[ファイル:Bundesarchiv Bild 101I-256-1228-10, Paris, Wehrmachtsparade.jpg|thumb|250px|1942年、配備後間もない武装親衛隊([[第1SS装甲師団|LSSAH師団]])のシュヴィムワーゲン]]
'''シュヴィム(シュビム) ワーゲン'''(独:Schwimmwagen)は、[[第二次世界大戦]]中に[[ドイツ軍]]が使用した[[四輪駆動]]の[[水陸両用車]]。大戦中に最も多く生産された軍用水陸両用車である (本項では「Wagen」のカタカナ表記について、[[フォルクスワーゲン#フォルクスワーゲンの名称|フォルクスワーゲン]]の例に倣い「ワーゲン」と表記する)。
 
==開発==
なお、「{{lang|de|Schwimmwagen}}」のカタカナ表記には、<!--「ヴ」([[英語]]の「{{lang|en|[[v]]}}」)の発音をする-->「{{lang|de|[[w]]}}」の表記を「ヴァ行」とするか「バ行」とするかで「'''シュビムワーゲン'''」と「'''シュヴィムワーゲン'''」の二通りが混在している。但し、同じ「{{lang|de|[[w]]}}」の文字で始まる「Wagen」については[[フォルクスワーゲン#概要|ヤナセ]]の実績を認め、「バーゲン」と書かれたり「ヴァーゲン」と書かれたりすることは滅多にない。
1940年、[[ドイツ国防]]、1940年[[ポーランド侵攻]]以来の戦訓として、歩兵一個分隊が乗車したまま河川を渡河できる水陸両用車輌の必要性を認識した。そこで1940年6月、[[陸軍兵器局]]開発・試験部第6課(WaPrüf 6)[[ポルシェ]]社にTyp 82[[キューベルワーゲン]]を基にした[[プロトタイプ]]の設計を依頼し、同年7月より、ポルシェと[[ハイルブロン]]のダンツ社によって、'''Typ 128'''水陸両用車の開発が開始された。
 
==フォルクスワーゲンからキューベルワーゲン==
1939年1月には、[[陸軍兵器局]]からフォルクスワーゲンを軍用車輌に転用する要求があり、陸軍兵器局は、具体的に次の事項を要求した。
# 3名が乗車できること
# 合計重量が950kg(うち自重が550kg、兵士3名と貨物で400kg)を超えないこと
# 高い生産性を持つこと
# 高い不整地走破性能を持つこと
また、民間転用も可能な設計を要求された。約9ヶ月の開発期間の後、1939年11月にはプロトタイプを陸軍兵器局に提示することができた。このプロトタイプは、1940年にTyp 82にまで発展し、量産された。この車両は、その椅子の特徴から「キューベルワーゲン」と呼ばれた。
 
==キューベルワーゲンからシュヴィムワーゲン==
[[画像:VW Schwimmwagen 3.jpg|thumb|300px|シュヴィムワーゲン後部の跳ね上げ式プロペラ]]
ドイツ陸軍は、1940年[[ポーランド侵攻]]の戦訓として、歩兵一個分隊が乗車したまま河川を渡河できる水陸両用車輌の必要性を認識した。そこで陸軍兵器局は、ポルシェ社にTyp 82キューベルワーゲンを基にした[[プロトタイプ]]の設計を依頼した。
 
設計上、キューベルワーゲンとの最も大きな違いは、四輪駆動とすることであった。また、バスタブのような車台構造、車体後部に取り付けられた3枚翼のプロペラ(着脱式、使用しない際は上に跳ね上げる)、及び強化された1,131cc(24.5馬力)の水平対向型エンジンが特徴である。プロペラによる水上推進は10km/hでの航行を可能にした。
 
1940年9月には最初の試作車が完成し、11月に3輌が初めて陸軍に引き渡された。ポルシェと軍により、1941年まで、[[シュヴァルツヴァルト]]や[[チロル]]、バルカン半島などで実用試験が行われた結果、水陸両用車としての車体安定性や走破性が不十分である事が明らかになった。また、[[武装親衛隊]]のオートバイ歩兵大隊で使用している[[サイドカー]]をこの水陸両用車と置き換えたい[[親衛隊作戦本部]]からの要請もあり、整備性や不整地走破性の向上を計った改良型'''Typ 166'''が設計され、1941年8月にその試作車が製作された。Typ 128の軸距はキューベルワーゲン同様240cmであったが、Typ 166では200cmに短縮され、車体長は37.5cm、車体幅は14cmコンパクト化された。1942年春から先行量産車によるテストが重ねられた後、同年秋から部隊配備に向けて本格的な量産が開始された。
ポルシェ博士率いるポルシェ社は、[[ハイルブロン]]にあるダンツ社と共に、Typ 128 水陸両用車を開発した。1941年には走行試験用車輌が完成し、フォルクスワーゲン製造会社で製造が開始された。しかし、Typ 128 は戦場において幾つかの不具合が見られたため、改良型 Typ 166が設計された。Typ 166 の車体は Typ 128 よりも37.5cm 短くされ、整備性と不整地走破性がより向上した。Typ 166 は1942年から量産され、歴史上最も成功した軍用水陸両用車となった。制式名称は Leichter Personenkraftwagen K2s(4x4)Volkswagen Typ 166、およその意味は「軽乗用自動車 K2s (4輪、4輪駆動) フォルクスワーゲン 166式)。その水陸両用能力から「シュヴィムワーゲン」Schwimm-Wagen(英:Swim car、泳ぐ車)または「シュヴィマー」Schwimmer(英:Swimmer、泳ぐ人・水泳選手)と呼ばれた。
 
 
制式名称は'''Leichter Personenkraftwagen K2s (4x4) Volkswagen Typ 166'''「軽乗用自動車K2s(4輪駆動)フォルクスワーゲン166型」で、その水陸両用能力から「シュヴィムワーゲン」Schwimmwagen(英:Swim car、泳ぐ車)または「シュヴィマー」Schwimmer(英:Swimmer、泳ぐ人・水泳選手)と呼ばれた。
1944年には連合軍の爆撃により、主な製造工場であった [[:de:Ambi-Budd|Ambi-Budd-Werke]]社が完全に破壊された。それ以降は、現[[ヴォルフスブルク]]市のフォルクスワーゲン製造会社の工場で、限られた数が製造された。1941年から1945年までの間に、Typ 128 とTyp 166 を含めて14,276輌のシュヴィムワーゲンが製造された。
 
1944年には8月、連合軍の[[ベルリン]]爆撃により、主な車体製造工場であを請け負ていた [[:de:Ambi-Budd|Ambi-Budd-Werke]]社の工場完全に破壊された。それ事で、事実上シュヴィムワーゲンの生産は不可能となり、以降は、現[[ヴォルフスブルク]]市のフォルクスワーゲン製造会工場で、限られた残存部品を使って少数が製造さ組み立てらただけであった。1941年から19451944年までの間に、Typ 128 とTyp 166 を含めて14,276輌のシュヴィムワーゲンTyp 166が製造された。
==活躍==
Typ 128 の最初の量産車輌は、1940年に[[ドイツ国防軍]]の工兵部隊に配備された。また、武装親衛隊にもTyp 128 が1941年に配備されたが、改良要求が出され、Typ 166 に代替されている。武装親衛隊では東部戦線の不整地走破能力に問題のある [[BMW R75]] や[[ツンダップ]]社の[[:en:Zündapp|KS 750]] [[サイドカー]]の代わりにオートバイ歩兵大隊に配備された。
 
==活==
数量的に限定されて陸軍と武装親衛隊の一部に配備されただけであった。両車は水上能力が滅多に活用されなかったとしても、優れた不整地走破能力の点から重用された。
最初のシュヴィムワーゲンであるTyp 128は、1941年に[[ドイツ陸軍]]の工兵部隊に配備された。改良型であるTyp 166は1942年後半から部隊配備が始まり、当初は武装親衛隊主力[[師団]]のオートバイ歩兵大隊を中心に配備された。サイドカーよりも乗車定員、貨物積載量、不整地走破性に勝るシュヴィムワーゲンは、装甲部隊の偵察大隊や司令部中隊付き工兵隊のような高い機動力を求められる部隊を中心に割り振られたが、その需要に対して生産数は少なく、陸軍、武装親衛隊共に、キューベルワーゲンほど広範囲に行き渡る事は無かった。また、本来Typ 166には幅広の専用タイヤが設定されていたが、ゴムの欠乏による供給不足から、キューベルワーゲンと同じ5.25-16サイズのタイヤを装着した車輌も多く見られた。
 
==性能諸元==
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|128
|align="center"|4,200×1,620×1,720 mm
|align="center"|5.25-16 不整地
|align="center" rowspan="2"|渡河・航行可能
|align="center"|355mm
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|166
|align="center"|3,825×1,480×1,615 mm
|align="center"|5.25200-1612 (不整地初期生産車)<br />200-16または2005.25-12 (熱帯)16
|align="center"|350mm
|align="center"|770mm
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==派生形==
キューベルワーゲンとシュヴィムワーゲンは密接な関係にあるため、ここでは双方を混在させて表示する。また、大半は設計、試作のみに留まったものが多数あり、量産されたと限ら至っていないこと。原語表記注意ついてはドイツ語版記事を参照。下記の表では「カブリオ・オープントップ」のような重語気味となる表現は削除した。原語表記についてはドイツ語版記事を参照
 
{|
233 ⟶ 223行目:
|-
|Typ 128
|シュヴィムワーゲン (A型)
|-
|Typ 129
|シュヴィムワーゲン (特別型)
|-
|Typ 138
|シュヴィムワーゲン (B型)
|-
|Typ 155
245 ⟶ 235行目:
|-
|Typ 156
|シュヴィムワーゲンのレール軌条走行型(軌陸車)
|-
|Typ 157
|82型・87型のレール軌条走行型(軌陸車)
|-
|Typ 160
260 ⟶ 250行目:
|-
|Typ 166
|シュヴィムワーゲン (C型)
|-
|Typ 177
278 ⟶ 268行目:
|-
|Typ 188
|シュヴィムワーゲン (D型)
|-
|Typ 198