「ヴァイオリン協奏曲 (ブラームス)」の版間の差分

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==作品の内容==
;第1楽章 Allegro non troppo [[ニ長調]]
:[[ニ長調]]、[[ソナタ形式]]。冒頭からゆったりとした第1主題がヴィオラ、チェロ、ファゴットにより演奏される。オーケストラによる第2主題の提示がないまま弦楽器群が[[マズルカ]]風のリズムを力強く奏すとコデッタとなり流れるように下降してそのまま第2提示部へ入る。独奏ヴァイオリンが情熱的な音で演奏に加わり第1主題をオーケストラと歌い交わす。オーケストラによる提示部で披露された動機が回想されるうちに独奏ヴァイオリンが優美な第2主題を奏でる。再びコデッタ現れ、総休止で提示部が終わる。
:展開部はオーケストラのトゥッティによる第1主題で始まりこれまでに登場した動機を次々に活用し、入念に変形・組み合わせしてブラームスの美質を存分に味わえる。また独奏ヴァイオリンには9度、10度という幅広い音程での重音奏法が要求されている。これについてヨアヒムが「よほど大きな手でないと難しい」と修正を提案したのを拒絶している。再現部もやはりトゥッティで始まり、提示部の主題を順番に再現し、[[カデンツァ]]となる。
:ブラームスはカデンツァを書いていないため、この協奏曲は多くのヴァイオリニストがそれぞれのカデンツァを書いており、その種類が多いことでも知られている。主なものに、初演者のヨアヒム、[[フリッツ・クライスラー]]、[[レオポルド・アウアー]]、[[アドルフ・ブッシュ]]、[[ヤッシャ・ハイフェッツ]]らのものがあるが、今日よく演奏されるのはヨアヒムとクライスラーのものであろう。カデンツァの後は第1主題に基づく終結部が続く。
;第2楽章 Adagio [[ヘ長調]]
: [[ヘ長調]]、[[三部形式]]。管楽器による合奏で始まり、オーボエが美しい主題を奏でる。[[パブロ・デ・サラサーテ|サラサーテ]]がこの作品の出版譜をブラームスから贈られながら、それでも演奏しない理由として「オーボエが旋律を奏でて聴衆を魅了しているというのに、自分がヴァイオリンを持ってぼんやりそれを眺めていることに我慢がならない」と語ったと言われる魅惑的な旋律である。独奏ヴァイオリンがこの旋律を引き継ぎ装飾的に奏でた後、経過句に入り中間部へ移る。中間部はヴァイオリンが憧れを切々と訴える「ヴァイオリンによる[[コロラトゥーラ]]のアリア」と評される部分である。主部に戻ると再びオーボエが旋律を歌うが、時折中間部の動機が聞こえ、平穏のうちに終わる。
;第3楽章 Allegro giocoso,ma non troppo - Vivace ニ長調
:ニ長調、変則的な[[ロンド・ソナタ形式]]。ロンド主題はジプシー風の力強い主題で、独奏、トゥッティと何度か繰り返される。第1副主題は独奏ヴァイオリンが8度音程の重音で奏でる上行音型。続くロンド主題の後の第2副主題は2拍子と3拍子を組み合わせリズムに変化を持たせた主題。この主題を操作して行くうちやがて第1副主題が再現される。再び冒頭主題が戻ると続いて[[対位法]]的なカデンツァとなる。これにオーケストラが順次加わって行き結尾へと移る。ポコ・ピウ・プレストの結尾は[[トルコ行進曲]]風のリズムをチェロが刻み、独奏ヴァイオリンが主題を変形した旋律を演奏するが、やがて管楽器が第1副主題を暗示する。最後は低弦が[[ピツィカート]]を奏する上で独奏ヴァイオリンが主要主題による和音を静かに奏で、八分休符をはさんで力強く終わる。
 
{{ブラームスの協奏曲}}