「点火時期」の版間の差分

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== 点火時期のセッティング ==
[[ファイル:timinglight.jpg|thumb|right|300px|点火時期の測定及び調整に用いられる'''タイミングライト''']]
点火時期は、圧縮ストロークの際に点火火花が混合気に点火する上死点前 (BTDC) の角度によって示される。これは'''点火進角'''とも呼ばれる。一般的な点火時期はBTDC12度程度で設定されており、これよりさらに早める場合には「点火時期を進角させる」、これよりも遅らせる場合には「点火時期を遅角させる」と称する。これを調整するためにはディストリビューターかカムポジションセンサーの位置を円周方向にずらし、[[タイミングライト]]でプーリーのタイミング表示を照らしながら設定する。これは'''点火進角'''とも呼ばれる。
 
理想的には上死点と同時に点火を行うことが望ましいのだが、点火プラグがスパークしてから燃焼が[[燃焼室]]全体内圧力が最大がるまでには若干のタイムラグが生じるため、点火進角の設定が必要になる。点火進角により上死点より僅かに手前でスパークが行われ、燃焼室全体の混合気に点火するタイミング内圧力が丁度上死点付近直後に最大となることが、完全燃焼効率のために重要である。一般的にはピストンを押し下げる力が最大限に発揮されるには上死点後 (ATDC) 20度前後で燃焼室全体に火炎が伝搬することが望ましいとされており、これ適切な上死点前 (BTDC)よりも早すぎる位置で点火が行われると、混合気の爆発膨張によりまだ上死点まで上がりきっていないピストンを押し戻す力が発生してしまい、パワーロスに繋がってしまう。逆にこれよりも遅すぎる位置で点火が行われるとピストンが下がった位置で燃焼が行われてしまい、多くの未燃焼ガスが発生してしまう。
 
点火時期はエンジン回転数が増加するのに従って、通常よりも更に早い位置で点火する必要がある。また始動時や極低回転のアイドリング時などには通常よりも遅い点火時期を設定する必要もある。そのためにディストリビューターや[[ダイレクトイグニッション]]にはカム角度やクランク角度によって適切に点火時期を調節する機構が備わっていなければいけない。通常、エンジンルーム内部には全ての点火進角の基準となる点火時期がステッカーや打刻などの形で表示されており、この点火時期を基準に進角や遅角を行うのである。