「最小作用の原理」の版間の差分

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量子力学における最小作用の原理
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== 計算上の注意点 ==
偏微分を計算する際に、違う経路を算出する場合がある。例えば、東京-大阪間を地表に沿って移動する計算をすると、名古屋付近を経由する最短経路でなく、[[対蹠点]]を通る解が出てしまう場合がある。
 
==量子力学における最小作用の原理==
古典力学においては、時刻<math>t_a</math>に配位空間の座標<math>q_a</math>から出発し、時刻<math>t_b</math>に座標<math>q_b</math>に到達する粒子の軌道は、最小作用の原理によって、作用積分
 
:<math> S[q(t)]= \int_{t_a}^{t_b} L(q(t), \dot{q}(t))</math>
 
に対する停留条件
 
:<math>\delta S=0 \,</math>
 
によって与えられる。
 
量子力学においても、<math>\hbar \rightarrow 0</math>とすると古典力学に近づくことが期待できるため、同様の関係が存在することが予想される。通常の正準量子化を行ったハミルトニアンによる量子力学の記述では、この関係の存在は必ずしも明確ではないが、ファインマンが考案した[[経路積分]]の手法を用いることで、量子論における最小作用の原理の役割を理解することができる。[[経路積分]]によれば、遷移確率
 
:<math>
K(q_b,t_b; q_a,t_a)
= \left \langle q_b \left | e^{ - { i \over {\hbar}} \hat{H} (t_b - t_a) } \right| q_a \right \rangle
</math>
 
は、作用積分''S'' を用いて
 
:<math>\begin{align}
K(q_b,t_b; q_a,t_a)&= \lim_{N \to \infty} \int_{q_a(t_a)}^{q_b(t_b)}
\prod_{i=0}^{N-1} c_i dq_i \,
e^{ {i \over {\hbar} } S[q]} \\
&= \int_{q_a(t_a)}^{q_b(t_b)} \mathcal{D}q \,
e^{ {i \over {\hbar} } S[q]}
\end{align}
</math>
で与えられる。
 
被積分関数である指数関数の中身は、作用積分と<math>i/\hbar</math>を乗じた形であるため、<math>\hbar \rightarrow 0</math>とすると、わずかな''S'' の変動によって、被積分関数は符号を変えつつ、激しく振動するため、積分は打ち消しあう。従って、<math>q_a(t)</math>と<math>q_b(t)</math>を結ぶ各軌道の中でも、停留条件を与える古典的軌道<math>q_c(t)</math>がもっとも積分に寄与することになる。
 
 
 
==参考文献==