「飛行甲板」の版間の差分

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==アングルド・デッキ==
[[File:Cvnanim.gif|right|thumb|250px|米ニミッツ級のアングルド・デッキ]]
[[File:HMS Victorious (R38) aerial c1959.jpeg|left|thumb|250px|英空母「[[ヴィクトリアス (空母)|ヴィクトリアス]]」。前部エレベーターは格納庫に下がっており飛行甲板に開口部が出来ているが、アングルド・デッキがクリアならば着艦作業には支障が無い]]
[[File:Cvna1nim.gif|right|thumb|250px|英空母「セントー」のアングルド・デッキ]]
[[File:Cvnanim.gif|right|thumb|250px|米ニミッツ級のアングルド・デッキ]]
{{Main|アングルド・デッキ}}
1940年代までの飛行甲板は直線状であり、着艦に失敗した機が艦前部に駐機中の機体に衝突する恐れがあった。これを防止するため第二次大戦期までの空母の多くは滑走制止装置(Crash barrier)を備えていたが、艦載機のジェット化に伴う重量増加と着艦速度の上昇は、滑走制止装置を用いてもなお衝突事故を防ぐことが難しくなると予想された。そこで1950年代にイギリス海軍で[[アングルド・デッキ]]が考案され、1952年には「[[トライアンフ (空母)|トライアンフ]]」を用いて試験が開始された。当初は甲板形状を変更せず、着艦帯を艦の首尾線方向に対して角度をつけ描いただけのものであった。これは着艦の復行が行ないやすくなり安全性が向上するほか、発着艦が同時に行なえる利点があった。このためアングルド・デッキはさらに発展し、着艦帯方向にも飛行甲板が拡張されるようになり、20世紀後半以降の[[正規空母|大型空母]]では飛行甲板が左右非対称となっている。イギリス海軍では1950年代から既存の空母にも改装により設置されたほか、アメリカ海軍でも[[エセックス級航空母艦]]や[[ミッドウェイ級航空母艦]]に設置された。角度については、[[ニミッツ級航空母艦]]で9度となっている。
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==スキー・ジャンプ甲板==
[[File:FRS.1 ski-jump take-off HMS Invincible.JPEG|right|thumb|250px|英空母「[[インヴィンシブル (空母)|インヴィンシブル]]」のスキー・ジャンプ甲板]]
[[File:CHAKRI NARUEBET Kitty Hawk.JPEG|left|thumb|250px|スキー・ジャンプ甲板を備えた泰空母「[[チャクリ・ナルエベト (空母)|チャクリ・ナルエベト]]」。並走するのは米空母「[[キティホーク (空母)|キティ・ホーク]]」]]
[[File:FRS.1 ski-jump take-off HMS Invincible.JPEG|right|thumb|250px|英空母「[[インヴィンシブル (空母)|インヴィンシブル]]」のスキー・ジャンプ甲板]]
陸上の[[滑走路]]と異なり、艦首尾線方向の長さに制限がある飛行甲板においては、発着艦を補助するいくつかの設備が設けられている。発艦の支援としては[[カタパルト]]が設置され短い滑走距離での発艦を可能としている。航空母艦用のカタパルトは当初は油圧式であったが、より高出力の蒸気式へと発展し、将来的には電磁式が構想されている。<br/>
[[インヴィンシブル級航空母艦]]をはじめとする[[航空機の離着陸方法#垂直/短距離離着陸機|V/STOL]]空母([[軽空母]])では[[カタパルト]]は有さないが、[[スキー・ジャンプ甲板]]により搭載機の発艦を助けている。「[[アドミラル・クズネツォフ (空母)|アドミラル・クズネツォフ]]」も[[航空機の離着陸方法#通常離着陸機|CTOL]]空母では有るが、[[航空機の離着陸方法#短距離離陸拘束艦機|STOBAR]]方式によりスキー・ジャンプ甲板を有している。
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==諸装置==
===ブラスト・ディフレクター===
[[File:US Navy 050726-N-4321F-086 Capt. Gary Mace prepares to launch from catapult one aboard USS Kitty Hawk (CV 63) for a fly-over change of command of Carrier Air Wing Five (CVW-5).jpg|thumb|left|250px|米空母「キティ・ホーク」艦上で発艦直前のF/A-18E。機体の後方にある衝立のようなものがブラスト・ディフレクター]]
[[File:Sukhoi Su-33 on Admiral Kuznetsov-2.jpg|thumb|right|250px|露空母「アドミラル・クズネツォフ」艦上でブラスト・ディフレクターを後方より見る]]
ジェット排気が発艦待ちの機体(および機外装備品)や甲板要員に影響を与えないようにするため、ジェット・ブラスト・ディフレクターが甲板に埋め込まれており、発艦直前の[[アフターバーナー]]使用時に甲板から立ち上がり、ジェット排気を上方へ逃がしている。
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===エレベーター===
[[File:USS Hancock (CV-19)16 at Philippines, December 194420Feb1944.jpg|right|thumb|250px|エセックス級「[[ハレキシコック (空母)|ハコック]]」。飛行甲板の左舷側中央付近にある突起状のものがサイドエレベーター]]
[[File:Aircraft carrier HMS Eagle (Warships To-day, 1936).jpg|left|thumb|250px|十字型の前部エレベーターが特徴的な英空母「[[イーグル (空母・初代)|イーグル]]」。エレベーターは格納庫に下がっており飛行甲板に開口部が出来ている]]
[[File:USS Hancock (CV-19) at Philippines, December 1944.jpg|right|thumb|250px|米エセックス級「[[ハンコック (空母)|ハンコック]]」。飛行甲板の左舷側中央付近にある板状のものがサイドエレベーター]]
航空機を格納庫から飛行甲板に揚げるための装置。第二次大戦期までは飛行甲板の中心線上に設けられ、上昇時には飛行甲板(滑走甲板)の一部を形成していた。しかし従来のエレベーターの設置方法では艦載機を甲板上に揚げる際、もしくは艦載機を格納庫に下ろす際に飛行甲板に大穴が開く格好となり、艦載機の運用に不便を来たした。これを解決するため艦の舷側部に格納庫と通じる開口部を設け、そこから艦載機の上げ下げを行うためのサイドエレベーターが考案された。
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== 装甲 ==
[[File:USS FD Roosevelt CVB-42 Gitmo 1950.jpg|thumb|left|200px|ミッドウェイ級「[[フランクリン・D・ルーズベルト (空母)|フランクリン・D・ルーズベルト]]」]]
[[File:HMS Illustrious (AWM 302415).jpg|thumb|right|200px|英イラストリアス級「[[イラストリアス (空母・初代)|イラストリアス]]」]]
飛行甲板は艦体上部にあり、それに[[装甲]]を施すことは復原性が悪化するため、容易なことではなかった。飛行甲板の装甲化はイギリス海軍が最初に行い、「[[イーグル (空母・初代)|イーグル]]」や「[[アーク・ロイヤル (空母・初代)|アーク・ロイヤル]]」といった初期の空母でもすでに装甲が施されていた。<br/>
[[イラストリアス級航空母艦|イラストリアス級]]も飛行甲板に装甲を施していたが、その代償として搭載機数の減少を招いた。日米海軍は軽防御で搭載機数の多い空母を優先して建造したが、飛行甲板の脆弱さは実戦運用に不利の面があった。<br/>