「アダルトゲーム」の版間の差分

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=== 音声と声優 ===
グラフィックが女優による映像ではなく、絵による画像が主流のアダルトゲームにおいては、キャラクターの台詞合わせた音声データ入れ出力させる場合がある。その音声は[[声優]]が担当することがほとんどである。
 
アダルトゲームへの音声の導入は、後述する音楽面と同様に[[CD-ROM]]・大容量[[ハードディスク]]・[[パルス符号変調|PCM]]・データ圧縮技術というなどのハードウェア・ソフトウェア両面の技術進歩と普及があって初めて可能になった要素で、時期的には家庭用ゲーム機における導入とそれほど大差は無く、1990年代前半くらいから徐々に普及し始め、2000年代前半には普遍的なものになった。
 
コンピュータゲーム業界全体では「第三次声優ブーム」のあおりを受けて、高騰の一途を辿る声優の[[ギャランティー|ギャラ]]を巡って[[1997年]]9月から[[CESA]]と[[日本俳優連合]](日俳連)の間で交渉の場がもたれたが、日俳連が「ギャラをランク制の設定額よりも高額なものにすること」「ハード間移植の際の音声二次使用料を支払うこと」などを要求したため、交渉は難航。仲裁に日本音声製作者連盟(音声連)が加わり、日俳連がかなり譲歩する形で[[1999年]][[2月10日]]に合意、ゲームにもランク制が導入された<ref>{{Cite web|author=原毅彦|date=1999-02-10|url=http://gamez.itmedia.co.jp/games/news/9902/10/news01.html|title=ゲームの声優出演料などでCESAと音声連が合意|work=ITmedia Gamez|publisher=アイティメディア株式会社|accessdate=2010-03-11}}</ref>。ただし、アダルトゲーム制作会社の場合はCESAに加盟していないため、この合意の適用外であり、そのためアダルトゲームへの声あてのギャラは、アニメや一般向けゲームよりもはるかに高額であると言われている。一例をあげると[[チュアブルソフト]]は『[[スイートロビンガール]]』の声優一般公募の際、募集要項にヒロイン4名の報酬について500ワードまでについては基本報酬の50,000円以降は10ワード毎に500円を支払うと明記している<ref>ここでいうワードとはゲーム内の1ウィンドウに表示される台詞を指し最大で60文字である。</ref><ref>{{Cite web|author=チュアブルソフト|authorlink=チュアブルソフト|date=2010-07-22
|url=http://www.chuable.net/srg/srg_top.html|title=スイートロビンガール|publisher=チュアブルソフト|language=日本語|accessdate=2010-07-28}}</ref><ref>各ヒロインのワード数は約2500なので単純に計算すると150,000円前後になる。</ref>。
 
導入初期は声優業界側の各種取り決めは試行錯誤だった。またアダルトの規制基準が媒体によってまちまちで、媒体ごとに声優を交代させる必要があり、1990年代中期の作品ではメディアミックス展開が漸次進められた結果1キャラあたり4-5人も声優がいるものも存在した。この流れも1999年の法改正(詳細別節)と、ハード間競争がソニーの[[プレイステーション]]・[[プレイステーション2]]が優勢になったことを受け、1キャラあたりアダルト表現まで請け負う声優と、非アダルトの関連作品のみを担う声優の2名に大別されるケースが多くなった。
 
声優がアダルトゲームに声をあてる場合、声優名を非公開とするか、またはアダルト用の別の[[芸名]]を使うことがほとんどであるが、稀に普段使用している声優名のままでクレジットされている人物もいる。別の芸名を使う場合、一貫して特定のアダルト用の別の芸名を使う者、作品ごとに複数のアダルト用の別の芸名を使い分ける者など、声優によって様々である。そういう風にしてこの様な手法でひそかにアダルトゲームに声をあてている声優多く存在する。他方でアダルトゲームやアダルトアニメに対しては声優を出演させず、ノンアダルト化されたコンシューマ機移植版やメディアミックス作品への出演ならばOKという姿勢を取る方針の声優事務所も存在している。その為、アダルトゲームでは声が聞かれない声優も数多い一方で、声優業界に登場してから数年間はアダルトゲームに出演していなかった声優が、所属事務所の変更などを契機にアダルトゲーム用の別芸名で新規に参入してくるという事例も見られる。
 
2010年現在アダルトゲームでは、[[アトリエピーチ]]や[[イエローテイル]](この2社を指してエロゲー界の「桃色黄色」という通称がある)といったプロダクション会社が、制作会社に替わって大まかな選考・スケジュール調整を各声優事務所や声優と行う形態が主流で、事務所の所属者には[[グロス]]単位でオファーが来てまとめて出演というパターンが多い。起用するゲーム会社には、アダルトゲームに声をあてることができて、かつ能力・条件の合う声優の絶対数がまだまだ少ないのと、キャラクターの性格設定がある程度パターン化されたことも手伝って、声とキャラクターの性格イメージの関係が確立されている一部の声優にオファーが集中を指名して起用する傾向がある。
 
また、特にアダルトゲームの場合、ノベル形式のアドベンチャーゲームが主流のため、台詞の量がアニメに比して多いという特徴がある。大作では台本はおよそ電話帳[[タウンページ]]2冊前後、メインヒロインではその1.5〜2倍に達する分量があり(ただし、アニメ用と異なり、ゲームスタッフがプリンターとコピー機を駆使して作った簡易製本<ref>{{Cite web|author=恋純ほたる|date=2008-11-13|url=http://blog.livedoor.jp/geek/archives/50762686.html|title=マジスキ 台本印刷中|work=アキバBLOG|language=日本語|accessdate=2009-03-22}}</ref>であることが多く、単純には比較できない)、これを1人ずつ個別にスタジオに籠って収録している。テレビアニメの様な掛け合いによる方式すなゆる[[アフレコ]]と同様の形式での収録は基本的に行われない。また、大半のアニメ作品が1話あたり30分で分割して収録できるのに対して、ゲームの場合スタジオレンタル料との兼ね合いから短期間に集中して収録するため、1日あたりの拘束時間が長くなってしまうため、ゲームの仕事が多く入ると他の仕事は取りにくくなる。逆に、テレビアニメで成功し人気声優となった場合に、アニメ業界やテレビ局から声優事務所に対して声優の声に対するイメージ保護、端的に言えば「(テレビアニメで人気の)声優をアダルト作品に出演させるな」という要求が発生することもある。
 
これらの都合から、特にテレビアニメで主役級で成功している声優はアダルトゲームの収録に呼びにくい、あるいは呼べなくなるという事情もあり、結果として、アダルトゲーム業界で実績を持ち数多くの仕事を受けられてい特定の声優にオファーが集中する傾向があり、人気となれば年間に50本以上、中堅でも30本前後の作品で起用される。その結果、アダルトゲームとその関連作品の収録だけで年間スケジュールの大半が埋まってしまう声優も少なくない。
 
ただし、アダルトゲームの声優も非アダルト分野における[[声優#アイドル声優|アイドル声優]]と同様に新たな人材が次々と登場してくる新陳代謝の激しい業界であり、演技力が要求されることも変わらないため、ヒット作と人気演じたキャラクターを得の人気の沸騰によって一時的には全盛と言える人気を得ながらも、その後伸び悩んで結局は短期間の泡沫的な人気で終わってしまう者も少なくない。
 
=== 歌と音楽(BGM) ===