「マタイ受難曲」の版間の差分

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この復活上演はいくつかのカットが伴われ、また古楽管楽器[[コーラングレ|オーボエ・ダ・カッチャ]]を、同じ音域のオーボエ属楽器である[[イングリッシュホルン]]ではなく[[バスクラリネット]]で代用するなど、メンデルスゾーンの時代により一般的であった、より現代に近いオーケストラの編成によって演奏された。この編成の演奏を再現した録音CDも存在する。当時の新聞評は芳しいものではなく、無理解な批評家によって「遁走曲([[フーガ]])とはひとつの声部が他の声部から逃げていくものであるが、この場合第一に逃げ出すのは聴衆である」と批判された。しかしこれを期に、当時は一部の鍵盤楽器練習曲などを除いて忘れ去られていたバッハの中・大規模作品をはじめとする音楽が再評価されることになったのである。
 
== 楽器編成 ==
* オーケストラ
** 以下の編成を2組
** [[フラウト・トラヴェルソ]]Ⅰ/Ⅱ、[[オーボエ]]Ⅰ/Ⅱ([[オーボエ・ダモーレ]]持ち替え)、[[ヴァイオリン]]Ⅰ/Ⅱ、[[ヴィオラ]]、[[ヴィオラ・ダ・ガンバ]](独奏用)、[[オルガン]]と[[通奏低音]]
** 第1オーケストラは更に[[リコーダー|ブロックフレーテ]]Ⅰ/Ⅱ、オーボエは[[コーラングレ|オーボエ・ダ・カッチャ]]にも持ち替える。
** 通奏低音の低音楽器には、[[チェロ]]、[[ヴィオローネ]](または[[コントラバス]])、[[ファゴット]]が、編成にあわせて適宜用いられる。オルガンが2台使用されるが、オルガンの右手は通奏低音の和声充填の他、第1曲等でソプラノ・リピエーノと[[ユニゾン]]で[[コラール]][[定旋律]]を演奏する。また筆写されたパート譜から、第2オルガンの代りに[[チェンバロ]]が用いられたケースがあることも知られている。
** 第1オーケストラのヴィオラ・ダ・ガンバは、第56,57曲に用いられるが、初期稿では[[リュート]]が想定されていた<ref name="durr">アルフレート・デュル, 服部幸一訳 ベーレンライター版『マタイ受難曲』「序文」1976年10月 音楽之友社</ref>。
** 再演時、第2オルガンの代りに[[チェンバロ]]が用いられた。これにより弱くなるコラール定旋律を補強するため、ソプラノ・リピエーノの人数が増やされた。また第2オーケストラのヴィオラ・ダ・ガンバが第34,35曲に追加された<ref name="durr"></ref>。
* 合唱
** 四声部合唱2組
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** ソリスト群:[[テノール]](福音史家)、[[バス (声域)|バス]](イエス)、及びアリアと福音書中の登場人物を、ソプラノ、アルト、テノール、バスが適宜分担する。
** バッハの時代、女性が教会内で歌唱することはなく、すべての声部は[[ボーイソプラノ]]をはじめとする男性によって歌われた。近現代の演奏で、女声を使用する場合、ソプラノ・リピエーノのみをボーイソプラノとして、劇的な演奏効果を狙うことが多い。
* 編成規模(再演時の記録による)<ref>ポール・デュ=ブーシェ, 樋口隆一監修『バッハ - 神はわが王なり』1996年6月 創元社 ISBN 4-422-21118-8</ref>
** 各オーケストラ:17人の奏者
** 各合唱隊:12人(各声部3人)
** ソプラノ・リピエーノ:3~6人
 
== 演奏時間 ==
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*[[ゲオルク・クリストフ・ビラー]]指揮、[[ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団]]、聖トーマス教会聖歌隊、福音史家:マルティン・ペツォルト
:[[2007年]]録音。現[[トーマスカントル]]の、初稿(初演時の版)による世界初録音。
 
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==