「よろずや平四郎活人剣」の版間の差分

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{{Portal|文学}}
『'''よろずや平四郎活人剣'''』(よろずやへいしろうかつじんけん)は、[[藤沢周平]]作の[[日本]]の[[時代小説]]。[[1983年]]に発表された。
 
[[1998年]]に[[日本放送協会|NHK]]にて[[金曜時代劇]]新・腕におぼえありのタイトルで、また、[[2007年]]には[[テレビ東京]]にてよろずや平四郎活人剣のタイトルでそれぞれテレビドラマ化されている。
 
== 小説 ==
『[[オール讀物]]』([[文藝春秋]])[[1980年]]10月号から[[1982年]]11月号に掲載。[[1983年]][[文藝春秋]]刊(上中下3分冊)。[[1985年]][[文春文庫]]:上 ISBN 978-4167192365, 下 ISBN 978-4167192372
 
『よろずや平四郎活人剣』は、旗本神名家の冷や飯食い(次男以降の男子)である神名平四郎を主人公とした[[短編小説|連作短編]]時代小説である。連作を繋げる縦の糸は、[[天保の改革]]・[[蛮社の獄]]を背景に、平四郎の兄で[[目付]]の神名監物と[[鳥居耀蔵]]の対立、および神名兄弟と鳥居配下の奥田伝之丞との争いである。また、平四郎の元許婚の消息の探求の物語も、同時に縦の糸としての役割を持つ。
 
== 時代背景 ==
[[天保]]12年(1841([[1841]])の8月頃<ref>[[出羽国|羽州]][[庄内藩|荘内]]での藩主転封引きとめの一揆が成功して、幕命撤回がされたのは天保12年7月12日(詳しくは[[庄内藩#三方領地替え]]参照)。上巻第2話はそれから2ヶ月ほど後のことで、第1話は第2話の20日ほど前の話である。</ref>から天保14年閏9月13日の夕刻までの期間を描いている。[[老中]][[水野忠邦]]が天保の改革を行ない、失脚するまでの時期である。改革によって生じた社会の混乱や、水野派と反水野派の政争が、本作で描かれるエピソードの背景の1つとなっている。
 
{{ネタバレ|よろずや平四郎活人剣|スキップ=作動}}
: 幕府[[目付]]神名監物の腹違いの末弟。24歳<ref>本作開始時点の[[天保]]12年(1841年)での年齢。以下、他の登場人物の年齢についても、特に断りが無い場合には同様。</ref>。
: [[#雲弘流|雲弘流]]矢部道場では次席に位置する高弟。父が下婢に手を出して生まれた子であるため、神名家ではずっと冷遇されてきたということもあり、明石、北見と共に新しく道場を開設するという計画が持ち上がった時に、すぐに話に乗って実家を出た。しかし、明石が共同出資した金を持ち逃げしたために計画が頓挫してしまう。
: 現在は、一人暮らしの長屋の部屋に、「よろずもめごと仲裁つかまつり候」という看板<ref>文字は北見に書いてもらった。この文句の他に、「喧嘩50文、口論20文、取りもどし物100文、さがし物200文」などと細字で書いてある。</ref>を掲げて、糊口を凌いでいる。仲裁屋家業は、たまに大口の依頼が入ることもあるが、持ち前の優しさや正義感から、利益にならないどころか足が出るような依頼も受けることがあり、1人が食べていくのがやっとというところである。
: 元許嫁の早苗の消息を5年ぶりにつかんだが、すでに人妻となっていたために、最初は遠くから眺めるだけであった。しかし、彼女が置かれている境遇が明らかになっていくに従って、何とかしてやりたいという思いが募っていく。
 
: 知行1000石の[[旗本]]で[[目付]]。平四郎の腹違いの兄であり、家督を継ぐ前の名は万之助。
: 同じ目付、後に[[町奉行|南町奉行]]になった[[鳥居耀蔵]]と対立する一派に属しており、しばしば平四郎に探索の手伝いや護衛を命じる。その任務は危険が伴う上、ほとんどただ働きのため、平四郎は不満を抱いているが、もちろん逆らえない。
 
; 里尾
: 監物の妻で、42歳。子が3人いる。
: 早くに母を亡くした平四郎にとっては、幼い頃は母親代わりだった。妾腹故に厄介者扱いされがちな平四郎に対して、昔も今も温かく接してくれている。
 
; まさ
: 平四郎の実母。出入り商人の口利きで神名家に台所働きの下婢として奉公に上がったが、先代の監物が晩年の半[[脳卒中|中気]]の身で手をつけ、平四郎を産んだ。その後体を壊して実家に戻され、病死した。
 
; 槙野
: 女中の老女格。下婢の子である平四郎のことは快く思っておらず、里尾が平四郎に小遣いを与えようとすると邪魔をする。
 
; 嘉助
: 下男。20歳前に先々代の神名家に奉公に入り、今では70に近い年齢。嘉助は平四郎の母を哀れに思い、平四郎のことも心配してくれている。
 
; おふく
: 台所婆さん。平四郎が16歳か17歳の時、母まさのことを教えてくれた。まさはおふくの下で働いていたためか、娘のように感じていたようで、平四郎のことも心配してくれている。
 
; 岸井新六
: [[武家奉公人|若党]]。監物が外出する際はよく供をする。
 
; 間坂彦内
: [[用人]]。
 
; 勝之助
: 平四郎の兄の1人で三男。妾腹だが、平四郎と違って母親の身元がしっかりしているため、神名家ではそれなりの扱いを受け、天保10年(1839([[1839]])にしかるべき家に婿入りしている。
 
; 他の兄弟
: 勝之助の他に、他家に養子に出された兄が少なくとももう1人おり、婚約が解消されて一時行状が荒れていた平四郎をなじったが、人数も名も不明。平四郎が末弟なので弟はいない。姉妹については、いるかいないかも含めて記されていない。
: 39歳<ref>天保15年に42歳の厄年を迎えるという記述がある。</ref>で、3人の中では最も風采が良く、他の2人にも道場の大家にも代表者格として認められていた。しかし、平四郎と北見が共同出資した金<ref>平四郎が5両、北見は10両出した。明石は20両出すと言ったが、平四郎はそれは嘘だっただろうと後に考えた。</ref>を持って夜逃げした。後に、[[本所 (墨田区)|南本所]]に住んでいるところを突き止められたが、のらりくらりとかわして、金を返そうとしない。
: 夜逃げ後、麹町にある直心流道場の筒井三斎に取り入って、道場の経営を手伝うようになった。しかし、出入りの商人から賄賂を取っていたのがばれて、門弟たちから批判され、疎外されているらしい。
 
; 北見十蔵
: 平四郎が共に道場を開こうとした友人の1人。30歳。元は[[仙台藩]]士だったが、物語開始時点の3年前に浪人となり、江戸に出てきた。[[#雲弘流|雲弘流]]の元になった弘流を学んでおり、その縁で矢部道場に出入りするようになって平四郎らと出会った。
: 紺屋町糸屋の[[隠居]]所だった離れを借りて、そこで[[寺子屋]]の師匠もやっている。達筆で、平四郎の仲裁屋の看板も北見が書いた。教え子の母親たちからの受けもよく、交代で料理や掃除の手伝いをしに来てらもっている。
: 仙台にいた時、塚原家に婿に入って嫡男をもうけたが、上司が起こした不正事件に巻き込まれ、累が及ぶのを恐れた塚原家の親戚一同に強いられて離縁し、江戸に出てきた。
 
; 明石の妻
: 平四郎よりも1、2歳年下で<ref>もっとも、平四郎は女性の歳を実年齢よりも若く見積もる癖があるので、当てにならない。</ref>。昔は[[茶屋|水茶屋]]で働いていた町娘という出自のせいか、愛嬌があって世話好き。明石とも水茶屋で出会った。
: 夫が平四郎と北見の金を着服したことを、彼女は知らない。そのため、平四郎が訪ねて行っても、明石は家に上げるのを極度に恐れている。
 
; 塚原高江
: 北見の妻。北見は婿として塚原家に入った。形式上は離婚して夫婦ではないが、それは塚原の親戚一同に強いられたものであり、今も北見を慕っている。
: 江戸で暮らす北見を訪ねてきた時、平四郎も会っていて、品がよい女性という印象を持った。2度目に訪ねてきた時には、一人息子の保之助を伴ってきた。
: 保之助が成長して嫁を迎えたら、国元を離れて北見と暮らすつもりでいる。
 
; 塚原保之助
: 北見の一人息子。天保14年時点でまだ8歳だが、塚原家50石の現在の当主である。
 
; 伊部金之助
: 矢部道場の仲間。平四郎が、早苗の居場所を探って欲しいと依頼した。その後も、早苗に関する調査を依頼している。酒好きで、しかもひどい泣き上戸。
=== 水野・鳥居勢力 ===
; 水野忠邦
: 実在の人物。[[老中]]首座として[[天保の改革]]を断行した。徹底した質素倹約こそ、幕府の財政再建と[[旗本]][[御家人]]の生活安定に必要だと信じており、過激な奢侈禁止や商家への締め付けを行なった。それにより、商人たちが離散し、江戸の町がさびれてもかまわないとさえ公言している。その理想を実現するために、[[鳥居耀蔵]]らを重用した。
: しかし、商人たちが改革に嫌気をさして店をたたむことで、かえって物価が上昇するという矛盾が生じ、さらに天保14年(1843年)、江戸・畿内周辺に対して[[上知令]]を断行しようとしたところ、多くの大名・旗本の反対に遭い、鳥居ら腹心の裏切りもあって失脚した。
: 史実については、[[水野忠邦]]のページを参照。
 
; 鳥居耀蔵(ようぞう)
: 実在の人物。[[老中]]首座[[水野忠邦]]の懐刀として、[[天保の改革]]の実行に力を尽くした。
: [[蘭学]]嫌いであり、[[目付]]時代の天保10年5月には、[[渡辺崋山]]や[[高野長英]]ら[[尚歯会]](蛮社)の蘭学者たちに弾圧を加えた(いわゆる[[蛮社の獄]])。高野長英が獄中で書いたとされる「蛮社遭厄小記」を巡って、監物や平四郎と暗闘を繰り返した。
: [[町奉行|南町奉行]]だった[[矢部定謙]]を讒言によって失脚させて後任に座ると、厳しい取り締まりを行なって市民生活を締め付けたため、耀蔵という通称と甲斐守という官位をもじって「ようかい」(妖怪)と呼ばれ、恐れられた。また、本来目付配下の御小人目付の職掌である御家人への監察も行ない、早苗の夫である菱沼惣兵衛も金貸しによって得た財産や証文を没収された。
: [[勘定奉行]]兼任となった後、水野が[[上知令]]問題で躓き求心力を失ったと判断すると、裏切って反水野派の盟主である[[土井利位]]に水野の機密資料を残らず提供し、保身を計った。
: 史実については、[[鳥居耀蔵]]のページを参照。
 
; 奥田伝之丞
: [[目付]]時代の[[鳥居耀蔵]]配下の御小人目付<ref>[[目付]]の配下で、目見以下の御家人の監察を任務とする。</ref>。元は[[黒鍬]]者である。すさまじい[[抜刀術|居合い]]を遣い、対立する監物配下の御小人目付である樫村喜左衛門の手下2人を惨殺した。
: 鳥居が[[町奉行|南町奉行]]となって後も手足となって働き(もちろん、町奉行である鳥居が、目付配下の奥田を使うのは越権行為である)、市中取締まりの指揮を執っている。鳥居と対立する監物にとって、奥田は非常に危険な存在であるため、平四郎もいずれ奥田と決着を付ける時が来ることを覚悟している。
 
=== 反水野・鳥居勢力 ===
; 堀田正篤
: 実在の人物で、[[老中]]。蘭学の徒であり、開国派でもあった堀田は、蛮社の[[高野長英]]が書いた「蛮社遭厄小記」を、[[鳥居耀蔵]]に先んじて手に入れるよう監物と平四郎に命じた。
: 史実については、[[堀田正睦]]のページを参照。
 
; 筒井伊賀守
: 先の[[町奉行|南町奉行]]。蛮社に属する[[下曽根信敦]]の父親で、「蛮社遭厄小記」が[[鳥居耀蔵]]の手に落ちれば蘭学の徒は根こそぎ検束され、[[高野長英]][[渡辺崋山]]らは極刑を命ぜられるだろうと憂慮している。そのため、元の配下を使って本の行方を追わせた。
: 史実については、[[筒井政憲]]のページを参照。
 
; 遠山景元
: 実在の人物。テレビ時代劇「[[遠山の金さん]]」のモデル。
: [[町奉行|北町奉行]]。行き過ぎた奢侈禁止や、株仲間の解散など、急激すぎてかえって人々の暮らしを圧迫する[[天保の改革]]に対しては批判的である。そのため、[[水野忠邦]][[鳥居耀蔵]]によって、一時差し控え<ref>将軍への目見停止処分。</ref>を命ぜられ、さらに、天保14年2月には、地位は高いが閑職である[[大目付]]へと追いやられた。
: 監物は、遠山が一般民衆の気持ちを良く理解していると評価している。
: 史実については、[[遠山景元]]のページを参照。
 
; 矢部定謙(さだのり)
: 実在の人物。[[町奉行|南町奉行]]だったが、北町奉行の遠山同様、[[天保の改革]]に対しては批判的であったため、失脚して[[鳥居耀蔵]]にその座を奪われた。
: 史実については、[[矢部定謙]]のページを参照。
 
; 樫村喜左衛門
: 監物の配下で、御小人目付。[[高野長英]]から「蛮社遭厄小記」を預かったとされる田島耕作の身柄を確保する任務を受けており、平四郎も兄の命によりその仕事を手伝った。一見のんびりしているようだが、滅多なことには動じない肝の太さと辛抱強さを身につけている。剣もなかなかの遣い手。
 
; 仙吉
: 樫村が使っている手下の1人。探索の腕を見込んで、平四郎も何度か自分の仲裁屋の仕事を手伝ってもらったことがある。5歳と2歳の子どもがいる。
 
; 六兵衛、峯蔵、長助
: 樫村が使っている手下。
 
; 土井利位(としつら)
: [[老中]]。反水野派の中心人物として活躍する。[[水野忠邦]]が江戸・畿内周辺に対して[[上知令]]を断行しようとした際、[[鳥居耀蔵]]の裏切りを誘い、水野を辞任に追い込んだ。
: 史実については、[[土井利位]]のページを参照。
 
; 吉兵衛
: 平四郎が住む村松町の与助店(1部屋4畳半プラス3畳の長屋)を差配する大家。
 
; 三造・およし
: 夫は駕籠かき。裏店名物の激烈な夫婦喧嘩を繰り返している。仲裁屋の看板を掲げたばかりの平四郎は、2人の喧嘩を仲裁したが、仲裁料を取ろうとして失敗した。
: 4歳くらいの娘がいるが、[[天保]]13年(1842年)の春にもう1人生まれた。
: 夫婦喧嘩をしていない時のおよしはとても人が良く、平四郎が捨て子を拾ってきたときには、快く乳を与え、よかったら面倒を見ようかとも言ってくれた。
 
; お六
: 30代の女。亭主は左官の下職をしている働き者だが、お六は一日中おしゃべりをしている。子が2人いるが放ったらかしである。
 
; 徳平・おくま
: 隣の部屋の夫婦。夫は叩き大工(あまり高度な技量を必要としない仕事しか任されない大工)で、50歳近い。2人とも無類の好人物である。
 
; おとり
: 祈祷師の妻。
; 矢部三左衛門
: 芝露月町の裏通りにある、雲弘流の剣術道場を開いており、大変繁盛している。平四郎たちの道場開設が失敗したのは、まさか明石の資金着服のせいだとは思いもよらず、弟子が集まらなかったせいだと思っている。
 
; 高野長英
: 実在の人物。[[鳥居耀蔵]]の[[蛮社の獄|蛮社に対する弾圧]]により投獄され、牢内で「蛮社遭厄小記」という本を書いて肉親に送った。その内容は問題のないものだったが、本作品では高野は同じ題名の本をもう1冊書いており、そこには鳥居の弾圧に対する痛烈な批判と、遠大な対外政策が書かれていた。それを知った鳥居と、鳥居と対立する老中の堀田の命を受けた神名監物・平四郎兄弟は、それぞれその書を求めて暗闘を繰り返すことになる。
: 史実については、[[高野長英]]のページを参照。
 
; 田島耕作
: [[高野長英]]の弟子で、「蛮社遭厄小記」を預かった人物。[[鳥居耀蔵]]と彼に対抗する監物が、田島の身柄の確保を目指して暗闘しており、平四郎もたびたびその手伝いをさせられた。
 
; 桝六
: 平四郎が臼杵屋徳兵衛から依頼された仕事で交渉した、相手方の代理人。人の頼み事を引き受けて始末をつける仕事をしている。その点は平四郎の仲裁屋と同じだが、やっていることは悪人たちの代弁であり、かなり悪辣なこともしているらしい。面長で小柄でしわだらけの年寄りだが、脅し文句には凄味がある。
: 平四郎とは、別の事件でも顔を合わせることになる。
 
; 菱沼惣兵衛
: 早苗の夫。42歳。御書物[[同心]]で30俵2人扶持の御家人だが、高利貸しをしていて内証は豊かである。早苗の実家である塚原家が取りつぶされた後、200両の金を貸した。利息が膨らんで借金が500両となった時、借金のかたに早苗を妻に迎えた。
: [[鳥居耀蔵]]にその行状をとがめられ、役を解かれたばかりか、金貸しで儲けた財産や証文を没収されてしまった。
 
== 各話のあらすじ ==
=== 上巻 ===
'''; 1.辻斬り'''
: 平四郎や北見と共に道場を開く予定だった明石が、金を持って夜逃げしてしまった。途方に暮れた平四郎は、仲裁家業を始める。そんなとき、兄の監物が長屋を訪れ、旗本窪井小左衛門が、辻斬りを働いていると告げ、将軍家の血筋が混じっている家系故に公に罪に問うことはできないため、力づくでやめさせるよう命じた。しかし、小左衛門は無形流居合の名手だった。
; 2.浮気妻
 
'''2.浮気妻'''
: 北見が明石の居所をつかんだと聞いた平四郎は、さっそく会いに行く。あれこれ嘘を並べてその場を逃れようとした明石だが、平四郎の仲裁家業のことを聞いて、客を1人紹介してくれる。それは、浮気の相手である男に金を脅し取られている、南本所石原町の紙商市毛屋のおかみ、おこうだった。
; 3.盗む子ども
 
'''3.盗む子ども'''
: 妻子を亡くして生きる希望を失っていた老人、伊兵衛は、家に子どもがいれば張り合いがあるだろうと、北見を通じて平四郎に、ふさわしい子を紹介してくれるよう依頼した。ところが、平四郎が連れてきた竹蔵という子には、万引きの癖があった。
 
'''; 4.逃げる浪人'''
: 戸田勘十郎という浪人が平四郎の長屋を訪ねてきて、自分は敵持ちだと告白した。そして、討手である古沢武左衛門を返り討ちにするのは易しいが、古沢の老母をこれ以上悲しませたくないし、自分にも将来を約束した女ができたので、平四郎が武左衛門と談合し、敵討ちをあきらめさせて欲しいと依頼した。
; 5.亡霊
 
'''5.亡霊'''
: 佐久間町の糸問屋、臼杵屋徳兵衛の依頼は、脅迫事件の解決だった。徳兵衛を脅していたのは3人の男で、25年前に呉服屋から200両を盗み出した5人組の盗賊の生き残りであって、徳兵衛もその仲間の1人だったという。
; 6.女難
 
'''6.女難'''
: 浮気の後始末をしてやった市毛屋のおこうが、友だちのおたかをつれてやってきた。妾狂いをしている夫長兵衛と妾を別れさせて欲しいというのである。平四郎は妾のおきぬを手切れ金によって納得させたが、問題は相撲取りのような体格の長兵衛をどう納得させるかだった。
; 7.子攫い
 
'''7.子攫い'''
: 北見の寺子屋の教え子が誘拐され、身代金200両を要求された。平四郎は北見と共に身代金の受け渡しの場に赴いて、子どもを無事に取り戻すことになった。ところが、親である小原屋郷右衛門と面会した平四郎は、どうやらこの事件は身代金目的の犯罪ではなさそうだという感触を得る。
; 8.娘ごころ
 
'''8.娘ごころ'''
: 天保12年の年末。近所の煮豆屋の娘おとしが、首をくくろうと図って未遂に終わった。自殺企図の理由は、好き合った長崎屋の若旦那が、親の勧めを断れずに嫁を迎えることになったからだと知った平四郎は、煮豆丼1杯という報酬でその始末を付けることを約束する。
; 9.離縁のぞみ
 
'''9.離縁のぞみ'''
: 高砂町の竹皮問屋粟野屋のおかみ、おとわが平四郎を訪ねてきて、夫である角左右衛門と離縁したいと語った。夫はおとわの話を聞こうともせず、かえって暴力をふるうという。
; 10.伝授の剣
 
'''10.伝授の剣'''
: 明石半太夫が珍しく訪ねてきて、彼が経営の手伝いをしている筒井道場の日田孫之丞という高弟が、このたび秘伝の風切ノ太刀を授けられることになったが、それを喜ばない先輩の埴生康之介が不穏な動きをする恐れがあるという。それで、日田が仕える藩からの依頼ということで、埴生と交渉して丸く収めてもらいたいと語った。
; 11.道楽息子
 
'''11.道楽息子'''
: 本銀町1丁目の竹皮問屋、橘屋甚兵衛は、道楽息子の庄次郎を家から追い出した。庄次郎は家を出た後に、女郎上がりだというおもんと所帯を持ったが、いつか息子が改心して戻ってきてくれることを願っている甚兵衛は、二人を別れさせてくれと平四郎に願った。
; 12.一匹狼
 
'''12.一匹狼'''
: 東両国の料理屋あづま屋のおかみおこまは、幼なじみの吉次が妻と死に別れ、幼い子どもたちを抱えながら、借金の取り立てという危ない仕事をしているのが心配で、彼を奉公人として雇ってやりたいという。しかし、説得に向かった平四郎に、吉次は「女の世話にはならねえ」と答えた。
 
=== 下巻 ===
'''; 1.消えた娘'''
: 監物の護衛をしていた平四郎は、末広河岸で「娘を帰せ」と怒鳴って暴れ、人足たちに乱暴されている老婆おとらを助けた。後日、おとらが訪ねてきて、孫娘のきえが姿を消したので探し回っていると言った。平四郎はきえ探しを手伝ってやることにした。
; 2.嫉妬
 
'''2.嫉妬'''
: 北見の家からの帰り、平四郎は女の赤ん坊を拾った。長屋の女たちの助けを借りながら親探しを始めたものの、さっぱり手がかりが見つからない。赤ん坊を拾って3日目、平四郎が留守の間に若い武士が現れ、平四郎の部屋を家捜しして、「赤ん坊はどこだ」と女たちを脅す事件が起こった。
; 3.過去の男
 
'''3.過去の男'''
: 17歳のおあきには、夫婦約束をした喜太郎という男がいるが、最近おあきを避けている様子で、夜も出歩いていつも留守だという。平四郎は、喜太郎の行状を調べ、もし女がいるようであれば説教して別れさせることを約束した。しかし、喜太郎は浮気ではなく、もっと危険なことをしていたのである。
; 4.密通
 
'''4.密通'''
: 掘留2丁目で染種問屋を営む美濃屋八兵衛は、妻を亡くして奥向きをやりくりする者がいなくなって困っていたとき、昔女中をやっていたおくまを呼び戻して頼りにした。ところが、酔って帰った時に人妻であるおくまと間違いを起こし、それを種に夫である徳五郎に脅されていた。平四郎は[[美人局]]かと疑ったが、徳五郎は妙におくまのことを恐れていると感じる。
; 5.家出女房
 
'''5.家出女房'''
: 煮しめ屋のおちかが、長屋の隣の部屋に住む大工の芳次郎のことで相談にやってきた。女房に逃げられ、2人の子どもを抱えてぼんやりと日を過ごしていて、見かねたおちかが芳次郎一家の世話をしているという。平四郎は、逃げた女房おきちを説得して、元の鞘に戻すという依頼を受けた。調べてみると、おきちの周辺には博奕打ちの男がいるようだった。
; 6.走る男
 
'''6.走る男'''
: 平四郎は、小間物問屋小花屋手代の清吉が、鑿を握った檜物職人熊五郎に追いかけられているところに出くわす。熊五郎によれば、女房のおよしが清吉との密通を白状したという。ひとまずその場を分けた平四郎は、無実だと訴える清吉の潔白を晴らすこととなった。
; 7.逆転
 
'''7.逆転'''
: 富沢町で古着商を営む手嶋屋彦六が、夫婦喧嘩の仲裁を願ってきた。行商から始めてようやく店を構え、そろそろ外回りの仕事を辞めて店の帳場に座りたいと思ったが、女房のおうらが帳場を譲ろうとせず、喧嘩のたびに暴力をふるうという。
; 8.襲う蛇
 
'''8.襲う蛇'''
: 北国某藩の江戸留守居役の宮内喜平は、この1ヶ月ばかり浪人が後をつけてきて困っているという。やめるよう抗議しても、人を喰った返事しかしない。そこで、平四郎に談判してもらいたいという依頼をしてきた。
; 9.暁の決闘
 
'''9.暁の決闘'''
: 明石が訪ねてきて、北見の家に妻と息子が来ているということと、どうやら近々北見が果たし合いをやるつもりだが、詳しいことを話そうとしないと告げた。平四郎は、息子が美人局に引っかかって脅されているという山城屋善助からの依頼をこなしながら、北見から事情を聞き出そうとしていた。
; 10.浮草の女
 
'''10.浮草の女'''
: 雉子町で雪駄屋を営む筑波屋の娘なみによれば、半年ほど前から、父親の弥助が飲み屋の女の所に通い、すでに200両を超える金を使っているという。なみの頼みで調べを始めた平四郎は、その女の背後に男がいることを突き止め、弥助を説得にかかったが、弥助は思わぬことを言い始めた。
; 11.宿敵
 
'''11.宿敵'''
: 平四郎は、水野老中に対する反対の声が高まっていく中、鳥居が水野を裏切りにかかっているという話を監物から聞かされ、驚いた。過去を知る男から脅されているという桔梗屋小兵衛のために、相手の男と交渉しながら、監物の護衛も務めていた平四郎は、突然黒い影が監物に斬りかかったのを見た。
; 12.燃える落日
 
'''12.燃える落日'''
: 平四郎たちは、ついに念願の道場を手に入れた。道場開きはまだ先のことだったが、道場で内輪の祝いが催された。そして、平四郎が長屋に戻ってみると、思わぬ人が彼の帰りを待っていた。
 
}}
{{テレビ東京金曜時代劇}}
 
== 脚注 ==
<references/>
 
{{DEFAULTSORT:よろすやへいしろうかつしんけん}}
[[Category:藤沢周平の小説]]
[[Category:テレビドラマ連動データ放送]]
[[Category:松竹製作のテレビ番組]]
[[Category:江戸時代を舞台とした作品]]
 
== 脚注 ==
<references/>
18,095

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