「和装本」の版間の差分

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[[File:Tsukigase-Kisho-Manuscript-Books.jpg|thumb|[[明治時代]]の携帯本で、四つ目袋綴じの形態。]]
'''和装本'''(わそうぼん)とは、日本の伝統的な[[製本]]法によって製作された書籍のこと。'''和本'''(わほん)ともいう。
 
== 解説 ==
和装本は[[巻子本]]や[[折り本|折本]]なども含む、日本古来の[[装幀]]の総称であるが、実際にはほとんどの場合、[[背表紙]]を持たず[[表紙]]と本文の紙葉の大きさにほとんど差異がない冊子本形態のものを指していう。その代表的なものとしては紙の連接に糊を用いて製本する[[粘葉装]](胡葉装ともいう)、ノート綴じに近い形態の[[綴葉装]]、紙を二つ折りにして綴じる[[袋綴]]などがある。葉装は中国[[唐]]の時代に始まった装丁であり、それが日本にまで伝わったものである。なお綴葉装や平紐による[[大和綴]]に似た装丁の書籍が[[敦煌市|敦煌]]などの中国の遺跡で発見されており、これらの装丁も中国由来であるという説がある。
 
和本の多くは本文を記した[[和紙]]を[[こより]]や糸で綴じ、その上に付ける表紙は紙を2、3枚ほど裏打ちしたものである。ゆえに重量は洋装本に比べて軽い。その大きさは漉いたままの和紙を四つまたは六つに折ってできたものが基準になっており、[[大本]](おおぼん)、中本、小本、横本など様々な寸法のものがある。和本の本文は写本のほか木版刷り、石版、銅版、活版によるものもある。木版本は写本に比べれば大量に製本でき、[[江戸時代]]の木版出版の隆盛により作られた書籍が和本として大量に残り、[[博物館]]や郷土資料館、[[図書館]]などに収蔵される。一方相当数が古書籍として、今でも [[古書店]]などで取引されている。
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== 袋綴じ装丁の和本 ==
現在一般に目にする和本や古典籍の復刻本の多くは、ページの紙を二つ折にして糸で綴じる「袋綴じ」と呼ばれるもので、代表的な四つ目綴じ(綴じ側に四つ目打ち穴が開いているたもの)が多い代表的であるが、ほかにも綴じ方によって五つ目綴じ、亀甲綴じ、麻の葉綴じと呼ばれるのがある。その工程の一例をあげれば以下のようである。
 
#出来上がった本文を二つ折りにし、しっかりと折り目をつけ並べる。
#[[折丁]]をそろえる。丁合(ちょうあい)をとる。
#目打ちで下綴じをするための穴をあける。
#こよりで下綴じをする。
#紙の三方を本の大きさに切り落として大きさを揃える
#糊で前後の表紙をつける。
#目打ちで糸を通す穴を表紙にあける。
#針を使って糸を通し、綴じる(本綴じという)
#題箋(名を記した紙片)を表紙に貼り、完成。
 
==参考文献==
*岸本眞実「和本」(『日本歴史大事典 3』(小学館、2001年) ISBN 978-4-095-23003-0)
*『宮内庁書陵部 書庫渉獵―書写と装訂』-櫛笥節男(2006年、おうふう)
*村上翠亭、山崎曜著『和装本のつくりかた』(二玄社、2009年)ISBN 978-4-544-02623-8