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<div class="references-small"></div>'''罷免'''(ひめん)とは、[[公務員]]の職を強制的に免ずることをいう。
'''罷免'''(ひめん)とは、任命権を持つ者が、法令の規定に基づいて配下の[[公務員]]の職を強制的に免ずることをいう。通例では「罷免」という表現は、単に役職(配置)のみならず公務員としての身分(官職)の剥奪も同時に行われる場合に用いられる。公務員自らの意思により職を辞す場合は「辞職」または「辞任」と呼ばれ、罷免とは区別される。「罷免」は[[国務大臣]]・[[裁判官]]などの政治的任用による職に用いる用語で、一般の公務員については「[[免職]]」を用いる。
 
==概要==
== 国務大臣の罷免 ==
'''罷免'''(ひめん)とは、任命権を持つ者が、法令の規定に基づいて配下の[[公務員]]の職を強制的に免ずることをいう。通例では「罷免」という表現は、単に役職(配置)のみならず公務員としての身分(官職)の剥奪も同時に行われる場合に用いられる。公務員自らの意思により職を辞す場合は「辞職」または「辞任」と呼ばれ、罷免とは区別される。「罷免」は[[国務大臣]]・[[裁判官]]などの政治的任用による職に用いる用語で、一般の公務員については「[[免職]]」を用いる。
 
「罷免」は特別の任用による職に用いる用語で、一般の公務員については「[[免職]]」を用いる。
 
== 政治的任用 ==
=== 国務大臣の罷免 ===
[[内閣総理大臣]]は、[[日本国憲法第68条]]の規定に基づき、国務大臣を'''任意に'''罷免することが可能。罷免する理由としては、[[全会一致]]を要する[[閣議]]において、「閣議決定・閣議了解の採択に反対する国務大臣が出た場合にその者を罷免し閣内意思の一致を図る」例、あるいは『総理が「ある大臣に国務大臣たるにふさわしくない行為があった」と判断し辞任を促したものの当該大臣が非を認めず自主的辞任を拒んだため罷免する』例、などがある。
 
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|}
 
=== 他の副大臣・大臣治任用職務官の罷免 ===
[[国家行政組織法]]第16条・第17条と[[内閣府設置法]]第13条・第14条により、[[副大臣]]と[[大臣政務官]]は各省大臣(内閣府の場合は内閣総理大臣)の申出により、内閣が罷免できると規定されている。また[[外務公務員法]]第8条では[[特命全権大使|大使]]及び[[特命全権公使|公使]]は[[外務大臣 (日本)|外務大臣]]の申出により内閣が罷免ができると規定されている。
 
憲法に規定された閣僚任免権と内閣法に規定された閣議の全会一致規定から、[[副大臣]]と[[大臣政務官]]と[[大使]]と[[公使]]の罷免権は最終的に首相が留保しており、また首相が閣僚罷免権を背景にいつでも発動することができる。
 
[[政務次官]]、副大臣、大臣政務官の罷免例は何回かある。
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|}
 
=== 裁判官特命全権大使・特命全権公使の罷免 ===
[[外務公務員法]]第8条では[[特命全権大使]]及び[[特命全権公使]]は[[外務大臣 (日本)|外務大臣]]の申出により内閣が罷免ができると規定されている。
[[裁判官]]は、[[日本国憲法第78条]]の規定に基づき、以下の二つの場合でしか罷免されない。
 
憲法に規定された閣僚任免権と内閣法に規定された閣議の全会一致規定から、大使と公使の罷免権は最終的に首相が留保しており、また首相が閣僚罷免権を背景にいつでも発動することができる。
{|border="1" cellpadding="1" cellspacing="0"
|+'''政治家任用職の罷免例'''
|-bgcolor="#EEEEEE"
!年月日!!内閣!!名前!!役職!!主な理由
|-
|nowrap|2002年(平成14年)4月2日||nowrap|[[第1次小泉内閣]]||nowrap|[[東郷和彦]]||nowrap|在オランダ特命全権大使||nowrap|[[鈴木宗男事件]]
|}
 
== 政治的任用以外 ==
=== 裁判官の罷免 ===
[[裁判官]]の罷免[[日本国憲法第78条]]と[[日本国憲法第79条]]に規定に基づきされ、以下のつの場合以外しか罷免されない。
#心身の故障により職務を執ることができないと裁判で決定された場合。
#公の[[弾劾]]<ref>弾劾事由は「職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠ったとき」「その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったとき」</ref>による場合。
#公の[[弾劾]](具体的には、[[国会議員]]で構成される[[弾劾裁判所]]での弾劾)による場合。
これは、[[司法権]]の独立を保つため、[[行政機関]]などの外部の圧力の影響を受けないよう、裁判官の身分保障をするためである。[[最高裁判所裁判官]]は、[[日本国憲法第79条]]および最高裁判所裁判官国民審査法に基づき、#[[衆議院議員総選挙]]の際に[[最高裁判所裁判官国民審査|国民審査]]を受け、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、そのされた場合([[最高裁判所裁判官は罷免される]]のみ)
 
=== 国家公務員・地方公務員会同意人事の罷免 ===
[[国会同意人事]]の罷免は以下の場合以外では罷免されない。
[[日本国憲法第15条]]にて、公務員を罷免する権利を国民が有し、[[日本国憲法第16条]]では公務員の罷免を請願する権利を有する。現状では、各種公務員の罷免を請求する場合、『罷免の[[請願]]』と言う請願形式で行うのが一般的である。
#[[欠格]]条項に該当した場合
#心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合
#職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合
#国会の閉会又は衆議院の解散中に任命され、両議院の事後の承認を得られない場合
 
== その他 ==
[[検察官]]については[[検察官適格審査会]]で罷免をすることができる。
[[日本国憲法第15条]]にて、公務員を罷免する権利を国民が有し、[[日本国憲法第16条]]では公務員の罷免を請願する権利を有する。現状では、各種公務員の罷免を請求する場合、『罷免の[[請願]]』と言う請願形式で行うのが一般的である。
 
== 脚注 ==
[[地方自治体]]の政治要職者については、[[有権者]]が規定された一定数の解職請求の署名を集めて解職請求を機に任期が終わる前に解職することが可能な[[リコール (地方公共団体)|リコール]]制度が存在する。
<references/>
 
== 関連項目 ==