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'''Mitsouko'''(ミツコ)とは、1919年にフレグランスの老舗[[ゲラン]]三代目調香師ジャン・ポール・ゲランによって調香発売された香水。
{{出典の明記|date=2010年6月}}
'''Mitsouko'''(ミツコ)とは、1919年にフレグランスの老舗[[ゲラン]]三代目調香師ジャン・ポール・ゲランによって調香された香水。
 
分類はシプレー系。スパイシーフローラル調。
ジャン・ポール・ゲランと親交があったフランスの小説家クロード・ファーレルの小説『ラ・バタイユ(戦場)』のヒロインである日本の海軍提督夫人ミツコをイメージして、控えめだが神秘的で優雅な香りに仕上げている。
 
シプレー系。スパイシーフローラル調で、トップノート(香り初め)シプレーらしいフレッシュな柑橘系の[[ベルガモット]]、ミドルノート(基調)は甘く華やかなローズ、[[ジャスミン]]、[[ピーチ]]、ラストノート(残り香)神秘的な[[オークモス]]スパイス[[ベチバー]][[シダーウッディド]]、[[ブラックペッパ]]、[[シナモン]]、[[アンバーグリス]]
 
== 概要 ==
[[バカラ]]社製のシンプルなボトルが有名。
調香師ジャック・ゲランが、親交のあった作家クロード・ファレール(本名フレデリック・シャルル・ボルゴーヌ)が小説の中でゲランの香水を取り上げた礼に、ファレールの『ラ・バタイユ』のヒロインである日本海軍海軍大将夫人ミツコの名を冠して作った香水。
1919年に発表された『ラ・バタイユ』は、年の離れた厳格な海軍大将の妻として暮らしている年若く魅力的な貴婦人ミツコが、快活な若い英国海軍士官と恋に落ちるが不倫の愛を潔しとせず彼を拒むという筋。
師にあたるピエール・ロティのエキゾティスム文学の流れを引くロマンス作品だが、現代はロティの亜流という評価が強く本国でもマイナーな作品となっている。
たまたま同名でジャック・ゲランとほぼ同時代にヨーロッパ社交界で活躍した日本人女性クーデンホーフ伯爵夫人光子が香水の名前の由来と誤解している日本人が多い。
 
調香したジャック・ゲランはゲランの創業者ピエール・フランソワ・パスカル・ゲランの息子エメの甥で、最も偉大な調香師の一人として名高い。
ジャック・ゲランの生み出した香水は「リュ」「ルール・ブルー」「シャリマー」「夜間飛行」など、現代でも広く愛される名品揃いだが、ジャックに才能を見いだされた孫のジャン・ポール・ゲラン、ジャン・ポールに師事しゲラン一族以外で初のゲラン「グローバル大使」に任命されたロジャ・ダブが共に、「Mitsouko」をゲランを代表する香水と推している。
 
シプレー系香水の生みの親である1917年に発売されていたコティ社の「ル・シプール」の影響を強く受けた香水の一つだが、「ル・シプール」の革や煙草を思わせるハードな調合に対して、MitsoukoはアルデヒドC14の甘い桃の香りを存在感のあるオークモスと温かみのあるパチュリーに合わせて官能的だが媚びない気品のある印象を生み出している。
アルデヒドC14を初めて使った香水としても有名。
女性名を冠する香水だが、他の多くのシプレー系と同様に男女共に使うことができる。
有名人でも、喜劇王チャーリー・チャップリンから、1930年代のアメリカのセックスシンボル「プラチナブロンド」ジーン・ハーロウまで男女問わず愛用者は多い。
 
Mitsoukoの影響を受けたとされる香水にはロシャス社の「ファム」、バレンシアガ社の「カドリーユ」、イヴサンローラン社の「イヴレス」、ザ・パーティー社の「ザ・パーティー」などが挙げられる。
 
== 逸話 ==
*日本では[[クーデンホーフ光子|クーデンホーフ伯爵夫人光子]]がイメージモデルと言われているが、根拠はない。2002年にゲランの社長フィリップ・ゲラン自身が光子夫人がMitsoukoの由来になったかという[[吉田直哉]]の質問に対して、ジャック・ゲランが実在人物をモデルにした可能性をはっきりと否定している。
*桃の香りの香料はアルデヒドC14(γ-ウンデカラクトン)と言われる[[アルデヒド]]類の一種。最初、ジャン・ポール・ゲランは凛として神秘的なイメージを出すために桃の香りは少なめに処方する予定だったが、C14を予定より多く配合したレシピが思いがけず優雅であったため、予定外のレシピのほうを発表した。
*[[チャーリー・チャップリン]]が好んだ香水として知られる。
*日本では[[クーデンホーフ光子|クーデンホーフ伯爵夫人光子]]がイメージモデルと言われているが、根拠はない。
*ロシアバレエ団の創設者である[[セルゲイ・ディアギレフ]]は、公演旅行に必ずMitsoukoを携え緞帳に香りを付けていたという逸話で知られる。
*[[アメリカ]]の名女優[[ジーン・ハーロウ]]が愛用していたことで知られる。ジーン・ハーロウの2番目の夫であったポール・バーンは、1932年9月5日離婚に際して全身に妻の愛用していたMitsoukoを浴びて浴室で拳銃自殺した。
“Dearest Dear, Unfortuately this is the only way to make good the frightful wrong I have done you and to wipe out my abject humiliation, I Love you. Paul
 You understand that last night was only a comedy”
という有名な遺書を残して浴室で拳銃自殺した。
*[[フランス]]のポップシンガーグループ[[リタ・ミツコ|Les Rita Mitsuko]]の名前の由来になっている。
 
== 参考文献 ==
*ロジャ・ダブ「香水の歴史」原書房 ISBN:978-4562045488
 
[[Category:ブランド|みつこ]]