「錯誤」の版間の差分

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; 内容の錯誤
: 内容の錯誤とは表示行為の意義についての誤りである<ref>我妻栄・有泉亨・川井健著 『民法 第二版 1 総則・物権法』 勁草書房、2005年4月、149頁</ref>。契約書の購入代金の欄に「100ドル」と書くべきだったのに1ドルと1ポンドは同じ価値だと誤信していたため「100ポンド」と書いてしまった場合がその例である。
なお、表示機関による錯誤(意思表示が使者などの伝達機関によって伝達された場合に本人と伝達機関との間に食い違いを生じた場合)は民法95条の錯誤となりうる(ドイツ民法120条も同旨)<ref>遠藤浩・川井健・原島重義・広中俊雄・水本浩・山本進一著 『民法1 民法総則 第4版増補改訂2版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2002年5月、164頁</ref><ref>我妻栄・有泉亨・川井健著 『民法 第二版 1 総則・物権法』 勁草書房、2005年4月、149頁</ref>。
 
==== 動機の錯誤 ====
: 動機の錯誤は民法95条にいう錯誤にあたらず、動機が表示されて意思表示の内容となった場合に限り民法95条にいう錯誤となるとする(従来の通説・判例。判例として大判大3・12・15民録20輯1101頁)<ref>遠藤浩・川井健・原島重義・広中俊雄・水本浩・山本進一著 『民法1 民法総則 第4版増補改訂2版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2002年5月、162頁</ref>。ただ、動機が表示されて意思表示の内容となった場合を含めるとすると、錯誤を意思と表示の不一致という理論構成がとりにくくなるため、錯誤の定義について「真意と表示から推断される意思の不一致」あるいは「意思表示と事実の不一致」といった定義の修正が図られている<ref>遠藤浩・川井健・原島重義・広中俊雄・水本浩・山本進一著 『民法1 民法総則 第4版増補改訂2版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2002年5月、162頁</ref>。このような理論構成に対しては表意者保護よりも取引の安全を優先するものとの指摘がある<ref>内田貴著 『民法Ⅰ 第3版 債権各論』 東京大学出版会、2008年4月、67頁</ref>。
* 一元的構成説
: 錯誤の生ずるのは多くの場合に動機の錯誤であること、動機の錯誤と表示行為の錯誤との区別は明確にできないこと、錯誤無効の判断には相手側の事情も考慮すべきとして動機の錯誤も95条にいう錯誤になりうるとし、民法95条の錯誤無効については要素の錯誤の存否や重過失の有無の観点から捉えられるべきであるとする<ref>内田貴著 『民法Ⅰ 第3版 債権各論』 東京大学出版会、2008年4月、73頁</ref><ref>遠藤浩・川井健・原島重義・広中俊雄・水本浩・山本進一著 『民法1 民法総則 第4版増補改訂2版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2002年5月、163頁</ref>。近時このような構成をとったのではないかとみられる判例も出されている(最判平14・7・11判時1805号58頁)<ref>我妻栄・有泉亨・川井健著 『民法 第二版 1 総則・物権法』 勁草書房、2005年4月、150頁</ref>。
 
ただ、動機の表示を必要とする説においても動機の表示は黙示による場合を含むと解釈され、他方、一元的に構成する説においても要素の錯誤や重過失の点から動機の錯誤が常に民法95条の錯誤となるとは限らないと解釈されるのであれば両者には結果的に大きな差はないとの見方もある<ref>遠藤浩・川井健・原島重義・広中俊雄・水本浩・山本進一著 『民法1 民法総則 第4版増補改訂2版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2002年5月、163頁</ref>。
 
なお、以上の動機の錯誤において議論の対象となるのは、広義の動機の錯誤のうち主として物の性状についての評価の誤りであり、いわゆる狭義の動機の錯誤(杖を紛失したと誤信して新品を買った場合など)は表示の有無と関係なく民法95条の錯誤とはならず無効とならない(通説・判例。判例として最判昭47・5・19民集26巻4号723頁)<ref>遠藤浩・川井健・原島重義・広中俊雄・水本浩・山本進一著 『民法1 民法総則 第4版増補改訂2版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2002年5月、164頁</ref><ref>我妻栄・有泉亨・川井健著 『民法 第二版 1 総則・物権法』 勁草書房、2005年4月、150-151頁</ref>。
 
=== 錯誤の効果 ===
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