「アンミアヌス・マルケリヌス」の版間の差分

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野島崎沖 (会話 | 投稿記録)
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文学作品としての評価も高く、「タキトゥスから[[ダンテ・アリギエーリ|ダンテ]]の間に生まれた中で最も偉大な作家である」と語った人物もいる<ref>E. Stein, Geschichte des spätrömischen Reiches, Vienna 1928</ref>。その文体は荒々しく、大げさな表現やひどくあいまいな部分が散見されるものの、批評的な文章もあり社会・経済問題を見事に描き出している。ローマ帝国内にいる非ローマ人に対しては[[ティトゥス・リウィウス]]やタキトゥスに比べてもより視野の広い姿勢を示している。自身が訪れた様々な国についての記述は特に興味がそそられる。
 
『歴史』内でアンミアヌスは度重なる外征による国内体制の疲弊・中流層の経済的没落・軍規の乱れにより崩壊していくローマ帝国を浮き彫りにする。それは彼の死後20年に渡る[[ゴート戦争(376年–382年)|ゴート戦争]]により帝国が没落していく事を十分に予測させる。[[エーリヒ・アウエルバッハ]]は、アンミアヌスを優れた表現力の持ち主とし、難解でなければ最も傑出した古代文学者だとした。その一方、彼はタキトゥスと同じく鳥瞰的でストイックな文体であるため、陰鬱な現実の内容と美文調がちぐはぐになり、しかも暗黒の対立物としての光明が示されないため恐ろしい内容であるとした<ref>エーリヒ・アウエルバッハ 『[[ミメーシス (アウエルバッハ)|ミメーシス]]』(上) [[篠田一士]]・[[川村二郎]]訳、筑摩書房〈[[ちくま学芸文庫]]〉、1994年。65-70頁</ref>。
 
==出典・参考文献==