「支配人」の版間の差分

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'''支配人'''(しはいにん)とは、日本法において、[[商人]]([[会社]]を含む)が選任した特定の[[営業所]]([[商法]])・[[本店]]または[[支店]]([[会社法]])の責任者たる[[商業使用人]]のこと。
 
[[商法]]について以下では、条数のみ記載する。
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== 役職としての支配人 ==
日本においては、[[支店]]([[支社]])など、[[本店]]([[本社]])以外の業務拠点の責任者の[[役職]]名として「支配人」とう言葉はあまり使われず、支店長(支社長)など「拠点単位+長」を使うことが多い。ただし、支配人には法律上大きな権限が与えられ支配人の氏名は[[商業登記|登記]]事項であることから、[[取締役]]や[[執行役]]等と同様に、肩書きの表記では役職名と併記される例えば、「支配人 ○○支店長」や「支配人 ○○部長」など。また、取締役や執行役が支配人を兼任することもある。
 
営業主が所有する[[不動産]]の運用先として[[運営]]されることの多い[[ゴルフ場]]、[[ホテル]]や[[劇場]]などの業界では、営業主(オーナー)が業務に精通した[[商業使用人|使用人]]や業者に事業運営を任せる場合があり、この場合は本店・支店を問わず「支配人」が置かれる。また、複数の営業所を統括する役職として「総支配人」や「統括支配人」が置かれることもある。
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[[委員会設置会社]]の取締役は、当該会社の支配人を兼ねることができない([[b:会社法第331条|会社法331条]])。
 
監査役は、株式会社若しくはその子会社の支配人を兼ねることができない([[b:会社法第335条|会社法335条]])
 
取締役会設置会社以外の株式会社では、定款に定めがある場合以外には、取締役が支配人の選任及び解任を行う([[b:会社法第348条|会社法348条]])
 
[[取締役会設置会社]]では[[取締役会]]または委任された[[執行役]]が、支配人の選任及び解任を行う([[b:会社法第362条|会社法362条]])
 
==権限・義務==
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支配人の代理権に加えた制限は、[[善意の第三者]]に対抗することはできない([[b:商法第21条|21条]]3項、会社法11条3項)。そのため、例えば1億円以上の取引は本社の決済を必要とすると会社内部の規則で定めていたとしても、取引の相手方が内部規則を知らなかった場合は取引の効果は会社に帰属することになる。
 
支配人は、商人(会社法上また会社」)に対して[[競業避止義務]]を負い、商人または会社の許可がない限り、自ら営業を行うこと、自己または第三者のために商人または会社の事業の部類に属する取引をすること、又精力分散防止義務を負い、他の会社又は商人または会社の使用人になること、他の会社の[[取締役]]・[[執行役]]・[[業務執行社員]]になることが禁止されている、また、精力分散防止義務を負う([[b:商法第23条|23条]]1項、[[b:会社法第12条|会社法12条]]1項)。
 
== 表見支配人 ==
商人または会社が、営業所の営業の主任者であるかのような名称を付した商業使用人のことを、'''表見支配人'''(ひょうけんしはいにん)という。この場合、[[取引の安全]]を考慮して、善意の第三者に対しては支配人とみなされ、表見支配人の行った行為は、商人または会社に帰属する([[b:商法第24条|24条]]、[[b:会社法第13条|会社法13条]])。これは、[[権利外観理論]]([[表見法理]])の現れである。
 
==名目的支配人==
[[過払金]]返還請求訴訟などにおいて、[[貸金業者]]側が、支配人[[登記]]をした者を[[訴訟代理人]]として出廷させることがしばしばある。
 
[[簡易裁判所]]以外の裁判所においては、代表者本人または[[弁護士]]たる[[訴訟代理人]]が出廷するのが原則であるが、支配人を選任した場合は、支配人も裁判上の行為をする権限を有するので、訴訟代理人出廷することができる([[b:商法第21条|商法21条]]1項、[[b:会社法第11条|会社法11条]]1項)。そして、{{要出典範囲|貸金業者は大量に[[訴訟]]を抱えており弁護士に依頼すると費用が掛かるため、あるいは[[弁護士倫理]]に拘束される弁護士より支配人の方が、偽造書証の提出等不当な訴訟活動を自由に展開できるという理由で、自社の[[従業員]]に対し支配人登記をし、支配人を訴訟代理人として出廷させることが多い|date=2011年11月}}
 
しかし、{{要出典範囲|実際に貸金業者が出廷させる支配人は、たいてい訴訟専属の法務部職員であり、同一の[[事業所]]に複数の支配人が登記されていたり、実質的には支店の営業について何らの裁量権を有していないなど、およそ支配人としての権限を有しておらず、このような者は[[民事訴訟法]]に定める「支配人」ではない(単なる[[脱法]]行為である。)という理由で、法廷から排除されることになっている|date=2011年11月}}。この場合、貸金業者側が新たに代理人弁護士あるいは代表者を出廷させて追認するなどしない限り、「支配人」が行った訴訟活動は効力を有しないことになる。
 
== 関連項目 ==
* [[代表取締役]]([[b:会社法第349条|会社法349条]])
* [[船長]]([[b:商法第713条|713条]]、[[b:商法第714条|714条]])
* [[参事]]([[協同組合]]等)
 
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