「勤労の義務」の版間の差分

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==== 解釈と意見 ====
この規定について[[法学者]]で[[憲法]]を専攻している[[宮沢俊義]]は「[[日本国憲法]]の場合は[[ソビエト連邦|ソ連]]やその諸国のような[[社会主義]]体制をとるものではないからそれらの国々が定める勤労の義務の性質とはおのずと違うであろうが、全ての国民は働いて生活をすることを原則とすることにおいてはそれらの諸国と同じである。」「ただ、[[私的所有権|私有財産]]制を認め([[日本国憲法第29条]])、かつ[[職業選択の自由]]を認めている([[日本国憲法第22条]])。よって[[不労所得]]生活も十分可能となる。しかし、憲法の精神からいえば、生活するために勤労する必要がない人も、勤労に従事し、それによって得られる所得を社会国家<ref>[[wikt:社会国家]]</ref>的施策のために提供するという心構えは当然に要請されるであろう。」としている<ref>日本国憲法とは何か 八木秀次 PHP研究所 2003年 ISBN 9784569628394 p221-222</ref>。実際、[[7月30日]][[第90回帝国議会]][[衆議院]]第5回[[帝国憲法改正小委員会]]<ref>出席委員は委員長は[[芦田均]]。委員は[[江藤夏雄]]、[[吉田安]]、鈴木義男、森戸辰男、[[林平馬]]、[[大島多藏]]、[[笠井重治]]、[[北れい吉]]、[[高橋泰雄]]、[[原夫次郎]]、[[西尾末広|西尾末廣]]。[[国務大臣]]は[[木村篤太郎]]([[法務大臣|司法大臣]])、[[金森徳次郎]](国務大臣)。政府出席委員は[[佐藤達夫 (法制官僚)|佐藤達夫]]([[法制局]]次長)</ref>にて日本社会党の[[鈴木義男]]は「勤労ノ義務ハ[[道徳]]的義務トシテ置ク外ナイ」と説明している<ref>[http://www.shugiin.go.jp/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/seikengikai/S210730-s05.htm 日本国憲法制定時の関係会議録(衆議院)小委員会 昭和21年7月30日] 第5回 衆議院 2011年11月12日閲覧</ref>。
 
以上の経緯から、憲法の規定では、[[労働基本権|労働権]]の保障と対応して、一種の「[[精神]]的規定」にとどまっている。また、そう解さざるを得ない。