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[[file:Bujun Shiban.jpg|thumb|right|150px|無準師範像]]
'''頂相'''('''ちんぞう'''、他に'''ちんそう'''、'''ちょうそう'''とも)は、[[禅宗]]の[[僧侶]]の[[肖像画]]、または[[彫刻]]のこと。師に当たる僧が弟子の僧侶に対して、[[印可|印可状]]の一部として自賛の肖像を与えるところから、禅宗の普及と共に多く描かれた。彫刻の場合、禅院の開山となった高僧を偲ぶため、弟子筋の僧侶が作らせた物である。そのため、その寺にとっては本尊と同じくらい重要であり、本堂に安置されるか開山堂というその像を置くための特別な御堂が造られた。絵画にしろ彫刻にしろ、頂相は禅僧にとって師の現身そのものであり、師僧の特徴を正確に捉えた、真に迫る造形に特色がある。彫刻の場合、頂相画に倣って法衣の裾を長く垂らして座る姿に表されるが、衣に包まれた体部は単純に表し、写実は面貌に集中する表現法が確立している。特に[[鎌倉時代]]から[[南北朝時代 (日本)|南北朝時代]]にかけては優品が作られ、多くは[[国宝]]や[[重要文化財]]に指定されている。
'''頂相'''('''ちんぞう'''、他に'''ちんそう'''、'''ちょうそう'''とも)は、[[禅宗]]の[[僧侶]]の[[肖像画]]、または肖像[[彫刻]]のこと。
 
== 概要 ==
[[file:Lanxi Daolong.jpg|thumb|right|150px|蘭渓道隆像]]
頂相は字義的には「頭部(頂)の相貌」という意味であるが、元々は仏の頂の有様を示し、転じて禅僧の肖像を表す用語となった。禅宗では言葉や仏典に拠らず、人と人との交流の中で直感的に悟りに至ることを重視しており、師匠の人格そのものが[[法 (仏教)|仏法]]として尊ばれ、弟子は師との厳しい精神的な修練を通じて悟りに至ると考えられた。そして、師の僧が弟子の僧侶に対して、法を正しく嗣いだことを示す[[印可|印可状]]の一部として自賛の肖像を与え、弟子はそれを師そのものとして崇め、大切にしたことから、禅宗の普及と共に多く描かれた。
 
頂相は本来画像であったが、やがて彫像としても表すようになる。彫刻の場合、禅院の開山となった高僧を偲ぶため、弟子筋の僧侶が作らせた物である。そのため、その寺にとっては本尊と同様に重要であり、本堂に安置されるか「開山堂」というその像を置くための特別な御堂が造られた。
 
絵画にしろ彫刻にしろ、頂相は禅僧にとって師の現身そのものであり、師僧の特徴を正確に捉え、像主の高い精神性をも表現しようとした造形に特色がある。頂相の形式は、曲録([[椅子]])に法衣を垂らして座し、手には竹篦(弟子を指導する際、迷いを打ち叩くのに用いる道具)を持つのが一般的である。彫刻の場合、頂相画に倣って法衣の裾を長く垂らして座る姿に表されるが、衣に包まれた体部は単純に表し、写実は面貌に集中する表現法が確立している。一方、画像では半身像や、円の中に描かれる円相図、[[座禅]]中の脚の疲れを取り睡魔を払うため、立って静かに歩行しながらを落ち着かせる所作をしている径行(きんひん)図なども見られる。
 
特に[[鎌倉時代]]から[[南北朝時代 (日本)|南北朝時代]]にかけては優品が作られ、多くは[[国宝]]や[[重要文化財]]に指定されている。
 
== 代表的作品 ==
[[file:Portrait of Daitō Kokushi.jpg|thumb|right|150px|大燈国師像]]
=== 国宝 ===
*「[[無準師範]]像」 [[東福寺]]蔵 [[南宋]]時代 [[嘉熙]]2年([[1238年]]) 自賛
*「[[蘭渓道隆]]像」 [[建長寺]]蔵・[[鎌倉国宝館]][[寄託]] [[文永]]8年([[1271年]]) 自賛
*「[[大燈国師]]像」 [[大徳寺]]蔵 [[建武]]元年([[1334年]])
 
=== 重要文化財 ===
; 画像
*「[[兀庵普寧]]像」 [[正伝寺]]蔵・[[京都国立博物館]]寄託 13世紀 長嘉筆 自賛
*「[[南浦紹明]]像」 [[興徳寺]]蔵 [[徳治]]2年([[1307年]])
*「[[夢窓疎石]]像」 [[妙智院]]蔵・[[奈良国立博物館]]寄託 14世紀 南北朝時代 無等周位筆 自賛
 
; 彫像
*「[[無学祖元]]坐像」 [[円覚寺]] 鎌倉時代 13世紀
*「[[高峰顕日]]坐像」 [[正統院]] [[正和]]4年([[1315年]]) 院恵作
*「[[樵谷惟僊]]坐像」 [[安楽寺]] [[嘉暦]]4年([[1329年]]) 兵部作
*「[[退耕行勇]]坐像」 [[浄妙寺]] 鎌倉時代 14世紀
 
== 参考資料 ==
* 『<small>建長寺創建750年記念</small> 鎌倉 禅の起源』展図録、[[東京国立博物館]]、2003年
 
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