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[[File:Cve-18a.jpg|thumb|250px|ボーグ級護衛空母]]
'''護衛空母'''('''ごえいくうぼ''')は、[[第二次世界大戦]]で使用された小型・低速の[[航空母艦]]である。主に[[護送船団|船団護衛]]の目的に使われる。
 
== 概要 ==
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第二次世界大戦において、[[ドイツ国防軍|ドイツ軍]]は主に[[Uボート]]を用いて、[[連合国 (第二次世界大戦)|連合国]]に対する[[通商破壊]]活動を行った。開戦以降、イギリスの商船の被害は甚大であり、一年間で約150万トンの商船を失うこととなった。しかし潜水艦は攻撃に際し、魚雷の射程まで目標に近づき、潜望鏡深度にまで浮上するため、付近を航空機で警戒しておけば、ほとんど攻撃を防ぐことができた。そのため、当初は大型の四発重[[爆撃機]]や[[飛行艇]]で船団護衛を行ったが、[[大西洋]]の中央に[[対潜哨戒機]]の航続力の限界からいわゆる「空の隙間」ができたため、そこでは船団は空からの護衛が受けられず被害が続出した。
 
そこで、[[イギリス軍]]は商船に[[カタパルト]]を装備して使い捨ての旧式[[戦闘機]]による護衛を行った([[CAMシップ]])。そして、さらに効率的に護衛する目的で、1940年頃からイギリス軍と[[アメリカ軍]](当時は表面上は中立を装っていた)は、この空の隙間を埋めるため、大型の商船を改造し短い[[飛行甲板]]からカタパルトを装備することで航空機を発艦させることのできる小型改装空母を多数建造し、これを対潜哨戒の[[船団護衛]]に用いる案が検討され始めた。商船船体を基にした、小型で安価な空母を多数整備することにより、多くの船団に対し、潜水艦に対して必要な防衛力を備えさせることが目的であった。この案が護衛空母として結実することとなる。
 
[[太平洋戦争]]開戦の後は、これら護衛空母は太平洋戦線でも活躍することになり、空母の分類として護衛空母(escort aircraft carrier)という艦種が誕生した。
 
最初の護衛空母は[[イギリス海軍]]の「[[オーダシティ (護衛空母)|オーダシティ]]」である。拿捕したドイツ貨客船「ハノーファー」を1941年1月から改装を開始し、1941年6月に就役した。
 
[[アメリカ海軍]]初の護衛空母は「[[ロング・アイランド (護衛空母)|ロング・アイランド]]」であり、竣工は1941年6月である。
 
===戦歴===
[[File:Savo Island CVE-78.jpg|thumb|250px|カサブランカ級護衛空母]]
アメリカ軍では最初、補助的な艦船として扱われていたが、大戦初期に大西洋に展開していたドイツ軍の[[Uボート]]を壊滅させるために多数建造された。護衛空母の任務は、現地での[[潜水艦]]掃討や、パトロール、偵察、輸送船などの護衛、そして航空機の輸送などである。
 
[[イギリス]]の要請により、大量に建造され、イギリス海軍に[[レンドリース法|レンドリース]]された。戦争中に100隻以上の護衛空母が就役したが、現在ではこの種類の艦船は使用されていない。
 
太平洋戦争では、上陸作戦における対地支援任務にもつき、[[ダグラス・マッカーサー]]の[[レイテ島]]上陸作戦に続く、[[レイテ沖海戦]]の中の[[レイテ沖海戦#10月25日 サマール沖海戦|サマール島沖海戦]]にも加わっている。護衛空母6隻を中心とするクリフトン・スプレイグ少将の艦隊は、[[レイテ湾]]に突入しアメリカ地上部隊の壊滅を意図する[[栗田健男]]長官の主力艦隊と遭遇し、果敢な戦闘を行った。
 
===構造===
アメリカ軍における護衛空母の艦種コードは''CVE''である。これは空母を表す''CV''に護衛(Escort)の頭文字を付加したものであるが、乗員達からは、自嘲的に燃え易い(Combustible)、壊れ易い(Vulnerable)、消耗品(Expendable)の頭文字と揶揄されていた。通称として「[[ジープ]]空母」、「赤ちゃん空母」と呼ばれた。これは簡単な改造で多数の商船改造空母を送り出すことを目的としたアメリカ海軍の方針によるもので、後述する[[大日本帝国海軍|日本海軍]]の護衛空母建造方針とは対極に位置するものである。
 
典型的な護衛空母の大きさは、全長150mぐらいであり、同時代の[[正規空母]]の270mに比べて、約半分である。[[排水量]]は正規空母の30,000トンに対して8,000トン程と1/3以下であった。速力も20ノット未満で、カサブランカ級は機関に蒸気タービンではなく蒸気レシプロを用いた。
 
アメリカ・イギリスで運用された護衛空母は油圧カタパルトを装備しており、短い飛行甲板と低速でありながらも船団護衛には十分な航空戦力の運用能力があった。
 
== アメリカ海軍の護衛空母 ==
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** ([[MACシップ]])- 民間籍で民間人により運航されたため、この項目では扱わない。
 
== 日本軍の護衛空母 ==
日本海軍も、商船を改造した特設空母を建造したが、これは当初は正規の航空母艦の補助として[[連合艦隊]]が主戦力として使用することを意図したもので、英米の護衛空母に比べると本格的なものであった。しかし特に優速で船体も大型・甲板長があった[[飛鷹型航空母艦|飛鷹型]]2隻を除くと、速力が遅く小型なことは否めず艦隊行動は行えず、カタパルトも装備していなかったために主力艦上機の運用が不可能で、航空機輸送用にしか向かなかった。その後、英米同様の船団護衛の強化の目的で[[海上護衛総司令部]]に移管された。旧式の[[艦上攻撃機]]などで対潜哨戒を行ったが、[[レーダー]]の不備から、航空機の使用できない夜間に攻撃を受けて失われる例が多かった。
* [[大鷹 (空母)|大鷹]]
* [[冲鷹 (空母)|冲鷹]] - 海上護衛総司令部への移管前に戦没。