「アダルトゲーム」の版間の差分

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ゲームジャンルは、[[アドベンチャーゲーム]]・[[ビジュアルノベル]]が圧倒的に多く<ref>{{和暦|2002}}度現在でアドベンチャーゲームが約80パーセントを占めている。{{Cite journal|和書|author=大塚雄二|year=2003|month=7|title=国内エロゲー叙事|journal=ゲーム批評|volume=10|issue=7|pages=32-33|publisher=マイクロデザイン|location=東京}}</ref>、育成[[シミュレーションゲーム]]・[[シミュレーションRPG]]・[[アクションゲーム]]・[[コンピュータRPG|RPG]]、[[シューティングゲーム]]等は珍しい。
 
ゲーム内のイベント画面やキャラクターの立ち姿のグラフィックについては、日本では[[漫画|マンガ]]・[[アニメ]]調の平面的な[[2次元コンピュータグラフィックス]]による静止画像がそのほとんどを占めており、[[3次元コンピュータグラフィックス]]のキャラクターを用いた作品は存在するが少数派である。海外のアダルトソフトでは一般的な[[ポルノ女優]]による[[ヌード]]実写映像の作品は少ない。
 
受動的に鑑賞するアダルトビデオやヌード写真とは異なり、主に[[マウス (コンピュータ)|マウス]]操作による登場人物の行動選択という形でのインタラクティヴな体裁を取り<ref>{{Cite book|和書|author=柘植光彦|authorlink=柘植光彦|coauthors=長谷川寿一、田崎秀明、萩原弘子、山岸和夫|editor=大庭健、鐘ヶ江晴彦、長谷川真理子、山崎カヲル、山崎勉|title=表現|edition=初版|date=1997-10-14|publisher=専修大学出版局|location=東京|series=シリーズ【性を問う】|language=日本語|isbn=4-88125-094-9|pages=231-235|chapter=メディアと「性」 - 「身体」の消失}}</ref>、現実の代替物ではなく独立したリアリティであり「[[萌え]]」「感動」「[[ノスタルジー]]」などとコミになった性的満足として存在している<ref name="ゲーム批評">{{Cite journal|和書|author=風野春樹|year=2003|month=7|title=エロゲーはどのような影響を人に与えるのか|journal=ゲーム批評|volume=10|issue=7|pages=26-27|publisher=マイクロデザイン|location=東京}}</ref>。このことから、日本では特有の発展を遂げた[[漫画]]・[[アニメ]]などの[[サブカルチャー]]と結びつかせる要因となり、資金や知名度の乏しい[[クリエイター]]やその集団が創作を行う場として定着し、「成人向け作品として必要量の裸と“場面”を出しておきさえすれば、後は予算と納期の範囲内で自由にクリエイターが創作意欲を満たせる」という、かつての[[日活ロマンポルノ]]と類似した制作システム構造を成立させるに至り、日本の[[おたく]][[文化]]の一翼を形成した。今日ではゲーム業界のみならずアニメ・[[漫画]]・[[小説]]などいわゆる[[メディアミックス]]関連業界全般への人材・コンテンツの供給源の1つとしても機能している。{{main|#開発スタッフの転職・他ジャンル進出|#メディアミックス}}
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アダルトゲームの場合、「家庭用ゲーム」とも呼ばれる[[コンシューマゲーム]]機では発生するハードウェアメーカーへの[[ライセンス]]権使用料や開発専用機器の導入にかかる高額なコストが無い。また、ソフトウェアの開発は、コンシューマゲーム機のソフトウェア開発に利用するワークステーションや開発キットなどよりも遥かに廉価な一般的な仕様のパソコン<ref>それこそ、プレイヤーの使用しているパソコンと仕様的に大差が無いもので開発を行っているメーカーも多い。</ref>及び汎用[[ソフトウェア開発キット]]・周辺機器があれば作業の大半が可能である。これらのことから、コンシューマゲームと比べればアダルトゲームは比較的小資本での制作が可能である。{{main|#開発環境|#制作会社}}
 
コンシューマゲーム機と比較した場合にはハードウェアメーカーによる作品内容や販売計画へのチェックや干渉が無く、販売対象を18歳以上に限定していることから、性的描写以外の部分においても[[表現の自由]]度が大きいこともアダルトゲームを特徴付けている重要な要素である。たとえば古典的な[[恋愛小説]]・[[純文学]]の様式表現を追求したい作品や、同様に子供では理解し難い[[ラブコメ]]・[[懐古趣味]]・愛憎劇や過激な[[パロディ]]要素を含む作品などでは、あえて登場人物の性描写を含めてパソコン向けのアダルトゲームのフォーマットで制作されることが多い。これはあえて児童層・少年層をターゲットに含める必要性が無い作品の性質の他<ref>移植ではなく当初からコンシューマ機向けとして制作すると、ハードウェアメーカーから「(レーティング内でも)低年齢のプレイヤーへの考慮が欲しい」などという形で横槍が入り、その結果かえってシナリオを稚拙なものにしなければならなくなってしまうなどということが往々に起きてくる。</ref>、コンシューマゲーム機においてはライセンス権やゲームソフト流通を掌握管理するハードウェアメーカーがかつては独自基準、現在でも[[コンピュータエンターテインメントレーティング機構|CERO]]準拠とはいえ独自のチェック項目を数多く設定しており、各種表現への制限が非常に厳しい上に、ハードウェアメーカー側の事情による内容への干渉・横槍も少なくなく、さらに表現の制限について作品やシナリオの持つ文芸的要素などは考慮対象にされず、根本的に性行為を想起させる要素は含ませられない<ref>異性間のキス表現や、「登場人物に子供ができる」というストーリー展開や「生まれた子供によって次代に物語が受け継がれてゆく」という子孫継続などの概念程度までは許容されるが、恋人同士が同衾するといった性行為を“匂わせる”表現や、一定水準を超える同性愛表現などには厳しい規制が入ってしまう。かつての一部ハードウェアでは[[パンチラ]]描写すら一切不可能であった。</ref>というネックがあり、資金・人材・技術の面で制作が可能であっても現実には販売不可能な一方で、ハードウェアメーカーによる干渉が無く後述するような制作システムが構築されビジュアルノベルとその[[ゲームエンジン]]が普及・発展しているアダルトゲームならば制作・販売が容易でプレイヤーからも受容されやすいことなどが大きな要因になっている。
 
== 歴史 ==