「勤労の義務」の版間の差分

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もっとも、近年では勤労の義務は主に国家が国民に対して勤労の場を確保することができるよう義務付けているのではないかと見る向きが多くなった。
その立場からすると、勤労の義務とは、労働の能力がある国民が[[失業]]状態にならないように国家が適切な施策を講じることを義務付けているものであるが、そもそも日本は社会主義国ではく労働の機会のすべてを握っていないので、すべての失業者に適当な職業を紹介できない。よって[[職業安定法]]などで[[失業対策]]をする義務を負ってい<ref>憲法読本第3版 杉原泰雄 岩波書店 2004年 ISBN 9784005004713 p144</ref>
 
この規定は、[[立法]]によって国民へのあらゆる[[強制労働]]を許容するものではなく([[日本国憲法第18条]])、違反者に対する具体的な[[罰則]]を課するよう立法や行政に義務付ける性質のものでもない。また、[[不動産]]収入などの不労所得や[[金利]]生活者の存在を認めないものではない。ただ、宮沢俊義は「それを不労所得を生活の根拠にまで濫用することが許されるなら憲法の建前とする『社会国家の理念』は、空文に帰してしまう。」「ほかの人の[[生存権]]([[日本国憲法第25条]])を保障する目的のために、そのかぎりで私有財産制に対してなんらかの制限を加えることも、当然許されると見るべきであろう。」としていて、我が国の伝統精神である「[[勤勉の精神]]」ではないとしている。日本国憲法下の[[自由主義]]・[[資本主義]]体制でも解釈と運用の仕方によっては社会主義の理想は十分実現できると理解している<ref>日本国憲法とは何か 八木秀次 PHP研究所 2003年 ISBN 9784569628394 p222</ref>。