「ベーチェット病」の版間の差分

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==歴史==
[[トルコ]]の医師[[フルス・ベーチェット]]([[:en:Hulusi Behçet|Hulusi Behçet]])による[[1937年]]の報告が最初で<ref>Behçet, Hulusi. Über rez idivierende, aphthose, durch ein virus verursachte Geschwure am Munde, am Auge und an Genitalien. Dermatol Wochenschr 1937;105:1152–7.</ref>、名前もそれに由来する。ただし、歴史家によると、[[ヒポクラテス]]の書物にこの疾患の最初の記載があるという<ref>Feigenbaum, A. Description of Behçet's syndrome in the hippocratic third book of endemic diseases. Brit J Ophthal 1956; 40: 355-357. [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC509495/pdf/brjopthal00486-0057.pdf]</ref>。
 
==概念==
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==疫学==
{{出典の明記|section=1|date=2009年2月}}
そもそも[[西洋]]とその他世界の科学レベルに極めて大きな差があった時代に[[トルコ]]で最初に報告された事からもわかる通り、この病気は西[[ヨーロッパ]]や[[アメリカ合衆国|アメリカ]]ではまれである。[[シルクロード]]沿いに多く発症するとされ、[[極東]]から[[地中海]]までの幅広いが限定された範囲でよく報告される。最多の頻度を示すトルコでは10万人当たり100人以上発症し、[[日本]]、[[大韓民国|韓国]]、[[中国]]、[[イラン]]、[[サウジアラビア]]などでは10万人当たり20人前後と報告されている。西欧では50万人あたり1人とも言われ、医療先進国であるアメリカにおいてさえこの疾患についての治療経験は乏しい。<!--[[自己免疫疾患]]の中では珍しく-->[[男性]]に多い。
 
日本の患者数は、[[1972年]]には8,000人、[[1984年]]には12,700人、[[1991年]]には18,300人とこの20年間一貫して増加している。また、1年間の発病者数も1991年では925人、1984年の1,060人と比較して減少傾向にあるものの、依然として相当数の新たな発病者が認められている。有病率は14人/10万人であり推定患者数は約2万人。30歳代に発症のピークがある。
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*[[アミロイドーシス]]
:慢性の炎症性疾患の常として、おこることがある。
 
==診断==
上記症状のうち、目、口、皮膚、外陰部の四主症状すべてがそろったものを'''完全型ベーチェット病'''、主症状のうち3つまたは主症状2つ+副症状のうち2つまたは眼病変を含む主症状2つと副症状2つを示したものを'''不全型ベーチェット病'''と称する。また、完全型の所見がそろわなくとも、強い腸症状・血管炎症状・神経症状を示し明らかにベーチェット病が原因であると考えられるものを、それぞれ'''腸管ベーチェット'''、'''血管ベーチェット'''、'''神経ベーチェット'''と称し、これら'''特殊型ベーチェット病'''は予後が悪い事がしられている。副症状はベーチェット病の発症から4~5年経過して出現するのが一般的である。しかし、稀に頭痛や髄膜刺激兆候を初発症状とする急性型神経ベーチェットをきたすことがある。
 
副症状はベーチェット病の発症から4~5年経過して出現するのが一般的である。しかし、稀に頭痛や髄膜刺激兆候を初発症状とする急性型神経ベーチェットをきたすことがある。
==治療==
皮膚症状など軽度の病態や寛解期には[[コルヒチン]]などを用いるが、生命に影響を及ぼす臓器病変(副症状にみられるもの)や重篤な眼病変などでは高用量の[[ステロイド系抗炎症薬|ステロイド]]や[[サイクロスポリン]]などの[[免疫抑制剤]]を含む強力な治療を行う。一度臓器病変をおこした場合や特殊型ベーチェット病の場合は、寛解後も少量の[[ステロイド]]を飲み続けることが多い(そうでないと容易に再燃する)。難治性網膜[[ぶどう膜炎]]に対し[[分子標的治療薬]]のひとつ、抗ヒトTNFα[[モノクローナル抗体]]製剤[[分子標的治療#キメラ抗体(語尾が〜ximab)|インフリキシマブ]]を使用することもある。
 
==予後==
主症状に関しては、寛解・再燃を繰り返す事が多く、10年くらいたつと病気の勢いは下り坂となり、20年くらいをこえるとほぼ再燃しないと言われている。ただし眼病変については、治療が遅れるなどすると失明することもあり、若年者の失明の重大な原因の一つである。
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副症状、特にそれを主な病態とする特殊型ベーチェット病においては死亡する事もあるが、{{要出典範囲|[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]において8000人、[[韓国]]において2200人の患者を追跡した研究では、9年間で死亡例は7例に過ぎなかったとのことである|date=2009年2月}}。
 
== 神経ベーチェット病 ==
ベーチェット病の約10~20%10~20%に認められる。約2~5倍男性に多い。20~40歳が好発である。神経症状は発症後3~6年後に出現する(ベーチェット病診断後)ことが多いが、神経症状が初発となる場合もある。神経ベーチェット病の分類は実質性病変(脳幹、大脳、脊髄病変)80%と非実質性病変(血管病変、動脈瘤など)20%)20%に分かれ、実質性病変はさらに急性型、慢性型に分かれる。急性型は髄膜炎症状+局所症状を示し、ステロイド反応性良好である。慢性型は急性型の経過の後に神経障害、精神症状が進行する。脳幹、大脳、小脳の委縮を伴い、髄液IL-6>20pg/ml(SLEなどでも上昇する)などが特徴的な検査所見となる。ステロイド抵抗性でありMTX少量パルス療法が(7.5~15mg/week)が有効とされている。眼ベーチェット病と用いられるシクロスポリンは神経ベーチェット病を増悪、誘発させる。
 
==参考文献==
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*[[愛し君へ]]
*[[真山亜子]]
*[[松本利夫]]([[EXILE]])
*[[柴田章吾]]([[プロ野球選手]])
 
==外部リンク==