「キノコの部位」の版間の差分

顕微鏡的所見を主に加筆:
(顕微鏡的所見を主に加筆:)
 
== 柄 ==
'''柄'''(え:stipe)とはキノコの傘の下についている円筒状の部位である。内部に[[維管束]]などの構造が分化しないため、'''茎とは呼ばない。'''また、俗に'''足'''(あし)とも言うが、正式な呼称ではない。しばしば湾曲することがあり、柄の上方と下方とで太さを異にすることもある。[[キクラゲ]]など、柄のないキノコも多い。内部は管状に中空なもの・柔らかい髄を有するもの・内部まで均一に菌糸が詰まった中実なものなどが区別される。なお、[[キヌガサタケ]]などの「柄」は、糸状の菌糸ではなく球状ないしソーセージ状に膨れた細胞群で構成された'''偽柔組織'''状の構造を有するため、しばしば'''偽柄(ぎへい)'''の呼称で区別される。
=== 傘に対する柄のつき方 ===
;中心生(ちゅうしんせい:central)
'''つぼ'''('''脚包''':volva)は、幼いキノコを包んで保護する[[外被膜]](universal veil)が破れ、柄の下端に残った部分を指す。
 
== 殻皮(かくひ: Peridium) ==
古典的な分類体系における[[腹菌類]]や一部の[[子嚢菌]]において、胞子を形成する部位を包む保護層を指す。[[キヌガサタケ]]の柄の基部に残る「つぼ」・[[エリマキツチガキ]]の星状に裂開した「外皮」と古綿状の胞子塊を包む「内皮」・[[ホコリタケ]]類の「表皮」およびその表面に付着した棘状ないし粉状または粒状の鱗片、あるいは[[チャダイゴケ]]類の子実体における杯状ないしコップ状の外壁などは、いずれもこの語で呼ばれる。キヌガサタケでは、殻皮は三層からなるが、すべてが一体化したまま柄の基部に残り、エリマキツチガキでは、やはり三層に分化した殻皮のうち、外側の二層が星状の裂片をなし、最内層は胞子塊を包む「内皮」となる。
 
多少とも明瞭なかさを形成する[[多孔菌]]類に対しても用いられることがあるが、その場合には、子実体のかさの表面に発達し、かさの「肉」とは組織学的に区別できる程度の分化を示した組織を指していう。
 
== 基本体(グレバ:gleba) ==
=== 担子器 ===
{{Main|担子菌門}}
 
=== クランプ ===
[[Image:Hypha Lentinula edodes siitake 00.jpg|right|220px|thumb|シイタケの柄を構成する菌糸<br>中央付近に'''かすがい連結'''が認められる]]
担子菌類のキノコを構成する[[菌糸]]を顕微鏡下で観察すると、菌糸の隔壁部分の側面に小さなこぶ状の突出部が見られる。これを'''クランプ・コネクション'''(clamp connection)という。略した'''クランプ'''(clamp)の呼称がポピュラーに用いられ、日本語では'''かすがい連結'''あるいは'''嘴状突起(しじょうとっき)'''の語が当てられる。担子菌類の[[二核菌糸]]に特徴的な構造で、一つの細胞の内部に二個以上の核が共存する状態([[重相]])を維持しつつ[[体細胞分裂]]をおこなうために、核が移動した痕跡である。これが見られれば二核菌糸であるとの判断ができる。ただし、種によっては、二核菌糸であってもこれを作らない例もあり、キノコの部位によってこれを形成したりしなかったりする種もしばしばある。[[ヒダハタケ科]]の種やアセハリタケ''Climacodon pulcherrimus'' (Berk. & Curt.) Nicol. では、一箇所の隔壁部に二つのかすがい連結を生じることがあり、これを'''ダブルクランプ'''('''二重クランプ''')と称する。なお、[[子嚢菌類]]に対してはこの語は適用されないのが慣例である。
 
=== 菌糸 ===
子実体の内部組織の構成要素である菌糸には、いっぱんに顕著な特徴が乏しいが、その幅・色調・細胞壁の厚み・細胞外面における沈着物の有無と所見などは、同定の手掛かりとして用いられる。また、担子器の形成に関与する'''生殖菌糸'''(generative hyphae:'''生成菌糸'''と称する場合もある)・子実体の機械的強度を付与するのではないかと推定される'''骨格菌糸'''(skeletal hyphae)および菌糸同士を緊密に結合する役割が考えられる'''結合菌糸'''(binding hyphae)などが区別されることもある。さらに、内部に[[ゴム]]質を満たした'''汁管菌糸'''(じゅうかんきんし:lactiferous hyphae)が混在することもあり、これらの菌糸の出現頻度その他も、分類上の形質として用いられる。
 
 
=== シスチジア ===
'''シスチジア'''('''cystidia''')は、キノコの組織中に認められる不稔性の異型細胞を総称する用語である。シスチジアのない[[種 (分類学)|種]]や、縁シスチジアと側シスチジアの形が違う種などがありキノコの同定では重要である。日本語では、一般に'''嚢状体'''('''のうじょうたい''')の語が当てられる。見出される部位により、ひだの先(あるいは管孔の開口部)に存在するものを'''縁シスチジア'''(えんシスチジア:'''cheilocystidia''')、ひだの側面(もしくは管孔の内壁面)にあるものを'''側シスチジア'''(そくシスチジア:'''pleurocystidia''')、柄にあるものを'''柄シスチジア'''('''caulocystidia''')
、傘の表面に見出されるものを'''傘シスチジア'''('''pilocystidia''')などと称する。縁・側の両者をまとめて'''子実層シスチジア'''(しじつそうシスチジア:'''hymenophoral cystidia''')、柄・傘の両者を総称して'''表皮シスチジア'''(ひょうひシスチジア:'''dermatocystidia''')とする。さらに、組織内の導管や乳管などに連結するものを'''偽シスチジア'''(ぎシスチジア:pseudocystidia)と呼び、そうでないものを'''レプトシスチジア'''(leptocystidia)とする区分もある。
 
 
通常、シスチジアの有無を肉眼で確認するのは困難であるが、[[ヒナノヒガサ]](''Rickenella fibula'')、[[ミヤマオチバタケ]](''Marasmius cohaerens'')など、一部の種では肉眼でも見出すことができる大きなシスチジアを持つものがある。また、ひだの縁にシスチジアが密生するものでは、ルーペでその存在を知ることが出来る場合も多い。特にひだ(もしくは管孔壁)そのものが有色でシスチジアが無色であるもの(ナヨタケ属・[[モエギタケ属]]・[[チャヒラタケ属]]など)、あるいは逆に、ひだや管孔が無色であるのにシスチジアが特有の色調を帯びるもの([[クヌギタケ属]]・[[ウラベニガサ属]]や[[イッポンシメジ属]]など)においては、ルーペを用いなくても注意深い観察によってシスチジアの有無が判断できる場合がしばしばある。
 
=== 表皮(Pellis) ===
子実体の表面を包む組織を指す呼称で、子実体の内部組織(肉)と区別し得る程度の組織的分化が認められる場合に適用される呼称である。[[腹菌類]]では殻皮とほぼ同義である。構成要素が、かさや柄などの表面に対して垂直に配列する場合には'''derm'''、平行に配列する場合には'''cutis'''と称されるが、両者の区別はややあいまいである。一種類の要素からなるもの(単層)と複数の要素で構成されるもの(複層)とがあり、後者の場合では、上表皮(suprapellis)・下表皮(subpellis)などと細分されることがある。さらに、表皮最外層の菌糸から異型細胞(表皮シスチジア)を突出させる型や、表皮層を構成する菌糸の壁が次第に溶けて崩壊し、ゼラチン質となる型([[エノキタケ]]など)もあり、その構造は科・属・種の同定に際して重視される。
 
=== 胞子 ===
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